二人きりで部屋までの道を歩いていると、シヴァは口を開く。「楽しかったか?」「それより疲れちゃったかな。ダンスの時なんてアレクサンド様の足を二回も踏んじゃって、他のご令嬢に怒られちゃったよ」ずっと縛られていたせいで頭皮が痛くなり、ヘアリボンを外しながら話しているとシヴァは足を止めた。先を行っていた彼が立ち止まったので、私も同様に立ち止まる。「それなら、試しに踊ってみるか? 見てやるよ」振り返った彼が私に手を差し出す。月光に照らされた彼は後光を差したように輝いていて、神様が月から私を迎えに来てくれたようにも見える美しい姿だった。周りを見渡せば、ちょうど中庭に下りられる場所でありダンスが出来るような空間がある。そっと手を伸ばして掴んだ手は、その白さから想像していたものとは違い温かい。「シヴァ、踊れるの?」「少しはな」ぐいっと引っ張られてダンスの時の正式な形で手を組みなおす。腰に手が回されると、さっそくステップが開始された。昔、前夜祭に出掛けた時も思ったが、シヴァは踊りが上手い。リズムが正確で振り付けも完璧なのは、きっと鍛えられた肉体のせいだろう。「お前はいつもここで足を出すのが遅れる」そう言いながら、軽いターン。思い返せば確かにこの場面でよく相手の足を踏んでいる気がする。言われた通りにシヴァの足を踏みそうになるが、彼は華麗にそれを避けてくれた。「もう一度」ダンスは基本動作の繰り返しだ。同じリズムと動作を繰り返し、再びターンするタイミングに入る。「右足」いつも踊っていた時よりも少し早いタイミングで声がかけられ、急いで足を動かす。私の体は綺麗にターンすることが出来、シヴァの足を踏むことはない。「出来た!」「教え方がいいからな」私が喜んでいると、シヴァは不敵に笑う。そのまま再び同じ動きを繰り返すと徐々にタイミングが合
最終更新日 : 2026-03-08 続きを読む