「ルネ、辺境伯への連絡は?」「可能です。馬を飛ばせば往復で10日程かと」「そうか……いずれ王妃になることを考えれば、慈善事業も必要、か」納得したように頷き、お父様は私へ視線を向ける。「いいだろう。準備は入念に。私達も力を貸すから、思ったようにやってみなさい」「ありがとうございます! お父様!」飛び上がって喜びそうになるのを抑え、部屋を出るために礼をする。ドア付近で待っていたシヴァの下へ駆け寄ると、後ろから慌てたようなお父様の声が聞こえた。「リリー、旧ソプレスに行くなら、シヴァは連れていけないよ」「え?」慌ててシヴァを見ると、眉をひそめて何か考え込んでいる。どういうことかと、お父様を見るとお父様は真剣な顔でこちらを見ていた。「何故ですか? 当然、シヴァも一緒だと思っていたのに……」「リリー、今まで話していなかったが、シヴァは旧ソプレス王国の人間だったんだ」その言葉に、胸が締め付けられる。滅んだ国と、もういないシヴァの両親。どんなことがあったか、想像するだけで辛くなる。そんな場所には、確かに連れていけない。嫌なことを、思い出してしまうだろうから。元々、これは私が勝手に言い出したことだ。婚約解消だって、私一人で何とかするしかない。お父様やルネだって、サポートしてくれる。1人でも、大丈夫なはずだ。そう……分かっているのに。「リリー……」今まで、当たり前に一緒にいたシヴァがいないという事実が、急に私を不安にさせる。泣きそうな私の顔を見て、安心させるようにお父様が声を掛けてくれるが、この不安は消えなかった。じゃあ、他に何か手があるのかと考えると、何も思いつかない。私は大して頭が良くない。あくまでリリアンナと
Last Updated : 2026-03-13 Read more