私の名前は吉田由衣(よしだ ゆい)。お盆の夜、夫の会社でインターンをしている水原雪菜(みずはら ゆきな)のSNS投稿が流れてきた。【とある人からのプレゼント。お盆の夜、寂しくないようにって、わざわざ祭り連れてきてくれた。優しすぎる】投稿には、ホテルで夫の腕に寄り添って撮った二人の自撮り写真が添えられていた。彼女の指には、私と同じデザインの結婚指輪が輝いている。昔の私なら、すぐに夫に電話して詰め寄り、泣き喚いて彼女をクビにしろと騒いだだろう。でも今の私は、驚くほど冷静で、その投稿にそっと「いいね」を押すことができた。その三分後、まさかの夫からの着信。「雪菜がふざけてアップしただけだろ。そんなことでいちいち傷つくな。お盆を一緒に過ごせなかったからって、新人の子を泣かせる必要あるのか?」もし前だったら、きっと泣きながら大騒ぎして、二人をめちゃくちゃに罵っていただろう。でも今回は、ただ静かに電話を切った。山崎拓海 (やまざき たくみ)のことを十年間愛してきた。でも、今度こそ諦めようと思う。……拓海が朝帰りしてきたとき、私は鏡の前でメイクをしていた。前に彼から「化粧するとお化けみたいだ。雪菜みたいにすっぴんの方がいい」と言われて以来、私は五ヶ月、一度も化粧をしていなかった。「吉田さん、誤解しないでください!お盆のときは出張先で、部屋が空いてなくて仕方なく山崎社長と同室になっただけで……私が投稿したのも、あんな高級ホテル初めてで、つい虚栄心が……怒らないでください!」振り向くと、拓海の後ろに、おずおずと立っている雪菜の姿があった。拓海が咳払いをする。「君に誤解されたくなかったから、今日帰ってきたばかりだというのに、雪菜がどうしても君に謝罪したいとしつこくせがんできたんだ。あの日、君が急に雪菜のSNSにいいねなんかするせいで、あの子びっくりして泣いちゃったんだぞ」彼は私を見て、目にわずかな失望をにじませた。「もうすぐ三十歳だろ。あの子ほど気が利かないなんてな」視界の端で、一人は可憐な顔でうつむき、一人は責めるような目を向けている。まるでお盆にラブホテルに駆け込んで他人の男と不倫しているのが、私であるかのように。責め立てるような顔で立つ拓海を見て、麻痺しているはずの心が、それでも
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