行動を見透かされたことが恥ずかしかったわけではない。その行動に至るまでに、裕貴のことを考えてしまった事実に、後ろめたさを覚えてしまったのだ。 浅ましい欲情に、少なからず自分の存在も影響を与えていると裕貴が知ったらどんな顔をするか。そんなことを想像した啓太郎は、すかさずこう思った。 裕貴に知られたくない。 バカにされるとか、メシを食わせてもらえなくなるとか、そんな気持ちからではない。ただ、軽蔑されたくなった。「バカ、そんなんじゃない……」 「誤魔化さなくていいよ。いいじゃん、男同士なんだから、おれだって羽岡さんの切ない事情はわかってるよ」 裕貴がそんなことを言っても、まったく説得力がない。パジャマの上からいつもの大きめのカーディガンを羽織った裕貴からは、あまり男という性が感じられない。これが、啓太郎と同じようなごつい男なら、平気で際どい冗談でも交わせるのだ。 しかし少なくとも裕貴は、啓太郎にとってそんな相手ではない。 風が吹いて裕貴が寒そうに肩を竦め、乱れた前髪を掻き上げる。このとき形のいい白い額が露わになり、なぜか啓太郎はうろたえる。勘のいい裕貴が首を傾げた。「羽岡さん、どうかした? ぼーっとして。もしかして、いいところで中断させちゃった?」 からかうように言われ、一瞬カッと頭に血が昇った。気がついたときには啓太郎の唇は勝手に動いていた。「――働いている人間をからかうな」 自分でも意外なほど低い声が出ていた。裕貴もそれを感じ取ったらしく、驚いたように切れ長の目をわずかに見開く。「お前はなんでもできる時間があるだろうが、俺は違う。毎日疲れて帰ってきても、ただ寝るだけだ。誰かとつき合いたいと思っても、仕事の疲れを癒すことのほうが最優先だ」 そこまで一息に言ってから、啓太郎は大きく息を吐き出す。裕貴は何も言わず、ただ見つめてくるだけで、その静かな瞳にかえって啓太郎は苛立たされる。 胸の奥でくすぶっている感情を引きずり出し、裕貴に突きつけるように、さらにひどい言葉を投げつけていた。「こんなことを言っても、お前にはわからないだろうな。自分で買い物に出ることさえ嫌がっているぐらいだ。他人と目を合わせるのも、話すのも苦手なんだろ。俺の疲労と欲望をわかれってほうが無理な話だ。――引きこもっているお前にはな」 話し終えたときには全身が熱くなって
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