泉輝は焚き火のそばにしゃがみ込み、緑青色を細めて、いつもの誘うような笑みを浮かべた。こんがりと焼き色がつき脂が乗った肉を、美波に差し出している。「お腹すいたでしょ?食べてみて。今回は蒼瀾が作ってくれた塩を使ったから、昨日よりずっと美味しくなってるはずだよ」人を惑わすような笑みを浮かべた泉輝から、その焼き立ての肉を受け取った美波は、驚かずにはいられなかった。あの瞳の奥には、どうしても消えない憎しみが潜んでいるのに、表向きはいつも人の良さそうな笑みを浮かべている。まるで仮面でもかぶっているみたいで、見ているだけで背筋がぞくりとした。とはいえ空腹には勝てないので、あまり深く考えずにかぶりついた。外は香ばしく、中からは驚くほど肉汁が溢れてくる。さらに、塩気が獣肉特有の生臭さを消していて、昨日より格段に美味しくなっていた。咀嚼しながら思わず頷く。「うん、美味しい!」美波がそう言った瞬間、いくつもの視線が一斉に美波へと向いた。聞き間違いではないよな?美波が泉輝の焼いた肉を褒めた、だと?美波は彼らの視線に気づいて顔を上げる。皆各自忙しそうに作業はしているが、誰も食べる様子がない。「みんな、どうして食べないの?」泉輝は焚き火をつつきながら、相変わらずの笑顔で言った。「持ってきた肉が、そんなに多くないんだよ。メスである君ならいいけど、こんな量の肉じゃ、僕たちオスにとったら全然足りないからね」美波は呆然として、思わず聞き返す。「足りない?じゃあ、なんで狩りに行かないの?」泉輝の目に、冷ややかな嘲笑が浮かんだ。一度も狩りをしたことのないメスというのは、これほどまでに無知なものなのか。「今夜狩りに行くよ。それに、今狩りに出たら、今日の目的地に着く頃には、日が暮れちゃうから。夜になると野獣が増えて危険なんだ」それでも彼が美波に話しかけるときだけは、声音にどこか作り物めいた優しさが混じっていた。美波は眉をひそめる。いくら彼らが獣人だといっても、食べもせずにこのまま行くなんて、持つはずがない。その時美波の目に、獣肉を入れた袋を持っている司の姿が入った。彼女は自分が食べていた肉を置き、司が持つ袋を引き寄せた。司も無意識のうちに力を緩める。中を覗くと、干した数十枚の獣肉や、新鮮な生肉が入っていた。いくら食べる量が多いオス
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