「あっ、これが嫉妬海老ね? 大きいわ」 熱を通すと鮮烈な赤い色へと変化する草海老。 そう高い食材ではないけれど、大人の掌ほどある身の大きさと甘みのある味が人気の食材ではある。 海の中では草の様に縦に揺れて泳ぐ緑色の個体が、熱を入れると赤くなるのだ。 それがまるで嫉妬した女性の頬の様だという話から、パートナーや恋人に沢山食べさせるなと言うジンクスを古い人間は信じているらしい。「たくさん食べて」「ん、甘い……」 海老を頬張ったラヴェルの口元が、ワインの赤で色付く。 小さな口を動かしながらも上品に食べるその様は、どこからどう見ても淑女に見えた。「ネロ、食後にはアレを」 傍に立っていた執事はまたコクリと頷いて炊事場へと静かに姿を消す。「アレって?」「寝酒代わりに、良い酒がある」 そう言うとラヴェルは「そう」と頬を緩ませ、こちらへと笑いかけた。◇◇◇ 食後に、と用意されたのは美しい海の色をした酒だった。 コルセットのせいで余計に食が細くなったラヴェルは、息苦しく思いながらも、せっかく用意されたその酒を一口香りを確め、口に含む。 スッキリとした味で、まろやかに嚥下出来る。 酒と言うより、飲みやすい果実水のような感じがした。「あの……おかわり頂いても?」 ラヴェルはジェイドの傍に姿勢よく立っているネロに、そう問いかけた。 だがネロはふるふると横に首を振る。「あはは、美味しいのは分かるが、この酒は意外と強い。飲みやすいからと言って、たくさん飲むと前後不覚になるぞ、ベル」「あ、そ
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