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影と希望

Author: エチカ
last update publish date: 2026-06-17 20:15:44

「あ、ありがとう、ジェイド」

 やっと。やっと、外へ出れる。

 ラヴェルはジェイドからの許可を得た事に、何の曇りもなく、笑顔を向けた。

 正直、ダメだと言われるとばかり思っていたから、予想外の展開でもあったのだ。

 話を聞いていたネロと目が合うと、下がり気味の眦をもっと下げて笑い返してくれる。

 言葉を発しないこの執事を、最初は怖いと思っていた。

 けれど、グレーヘアーの寡黙な紳士はとても表情が豊かで、気配りが細かい。

 ジェイドが傍に置くだけの、執事としての有能さも立ち居振る舞いを見ていれば分かる。

「ネロ」

 ジェイドにそう呼ばれて主の口元に耳を寄せ屈んだネロの首元を見て、ラヴェルはゴクリと息を飲んだ。

 焼け爛れた様な生々しい一文字傷。

 それは執事服の白シャツの高い襟に隠れていていつもは見えなかった。

 ハッと気づいて、ジッと見てはいけないと目を逸らす。

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