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アズユリカの風

Author: エチカ
last update publish date: 2026-06-20 20:15:37

 馬車まで先導してくれたネロは、馬車の扉を開けて中へと促してくれる。

 ラヴェルは躊躇いなくネロの手を取って、ステップへと足をかけた。

 物を言わずともネロの表情は柔らかい。

「ありがとう、ネロ」

 着席し、ドレスの裾を整えると、ネロはにこやかな笑顔を見せた。

 その後ろから貴族然としたジェイドが姿を見せる。

 長身ですらりとした美形である彼は、着るものが変わるだけで他人の目を惹く。

 いつもは軽装で白シャツにサスペンダーと言う庶民に近い格好をしているのに、今日はちゃんと領主に見えた。

「今日はいつもと違うのね?」

「ベルをエスコートするのに、いつもの格好じゃ示しが付かないだろう?」

「そう……」

 ジェイドがつけている香油の香りが、陽の光に温められて鼻腔を擽る。

 馬車の中が、彼のテリトリーとして匂い立つ気がした。

 街娘のような服に着替え

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    「ぐえっ――! げほっ、げほっ――!!!」 ラヴェルは必死に目を開け、直後に海水を激しく吐き出した。  肺が引き裂かれたように痛む。  呼吸の一つ一つが拷問だった。 「ゔっ……」 「ラヴィ様っ! お

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