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リゼルの観察

Auteur: エチカ
last update Date de publication: 2026-06-18 20:15:24

「お支度に参りました、ベル様」

「おはよう、リゼル」

 ベルは伸びた髪を片側に寄せて首を傾げ、ふんわりと笑う。

 近頃は少し表情が柔らかくなった。

 元より中性的な顔立ちと、妖艶な佇まいを持っている人ではある。

 でも、来た当初は公爵家のラヴェル・ローゼンと言うプライドが匂い立つ様だった。

 それが、いつの頃からかその気配を感じられなくなった。

 自分のような感情乏しい者にでさえ、優しく話し掛ける変わった人でもあるけれど。

 主人に使いを頼まれたリゼルは、早朝出掛けて屋敷に戻り、すぐにベルの支度をする為に部屋へと来ていた。

 今日は彼がこの屋敷に囲われて以来、初めての外出の日。

 ベル・デルメールと言う女性として、彼は今後生きて行く事になる。

「いいお天気ね、リゼル」

「良かったですね」

「えぇ、そうね。ドレスの裾を汚す心配をしなくていいものね」

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