玄関先へ出たリゼルが戻り「情報屋が来ています」と短く告げる。 あの男がこのタイミングで来る。 それが、少しラヴェルを警戒させた。 迷い、躊躇って、ラヴェルは「分かったわ」と食堂を出る。「ベル嬢、お久しぶりです」 セルジオの相変わらず飄々としたその姿は、何も読み取らせてはくれない。「何の御用かしら?」「いえね、もう一度ベル嬢にお会いしたくて。そちらの侍女殿に頼んであったのです」「……リゼルに?」 ラヴェルは、一瞬リゼルを見遣る。 こちらも相変わらず表情は変わらないが、視線は合わなかった。 ジェイドは今、連行されていない。 このタイミングなのは偶然なのか――? そんな疑問がラヴェルの中で沸き上がる。「ベル嬢、少し散歩でもいかがです?」「今、行って来たところなの」「おや、そうでしたか。なら、お庭でまた……」「私、今、忙しくてお帰り……」「男爵は戻りませんよ?」 食い気味にそう言われて、ラヴェルはジッとセルジオを睨んだ。 やはり、この男も何か知っているのだ。 知りたいような、帰って欲しいような。 そんな焦燥がラヴェルの脳内を巡る。 玄関の扉に手をかけているセルジオのせいで、突き飛ばしでもしなければ扉を閉める事も出来ない。「貴方はジェイドが連行される事を知っていたのね」「あぁ、男爵には“港で酔っぱらった海賊が暴れてますよ”と伝えたのに、何の対策もしないんだもの。調査隊が来るって言うのも、教えたのに」 ラヴェルはそれを聞いて、ジェイドが何故“海賊の薔薇”を規制しなかったのか? とまた不安になる。 彼らが自分をここに攫ったと知った時、ジェイドは何の言い訳もしなかった。 逃げて迷惑をかけた時、日記を手渡された
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