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やんごとなき人

مؤلف: エチカ
last update تاريخ النشر: 2026-07-19 19:15:55

 到着したのは一度来た事のあるアズユリカの街。

 眩しい程に晴れた今日は、白い壁と風に揺れる花達が煌めいている。

 この美しい景色の中にあっても、自分の状況を思うと呼吸さえ浅くなりそうだった。

「こちらです、ベル嬢」

 先導するセルジオの背中を追って、大きな迎賓館へと入って行く。

 こんな所にいる人物――

 やんごとなき人だと言っていたセルジオの言葉を思い出して、ごくりと息を飲んだ。

 ベル・デルメールには上級貴族という鎧もなければ、後ろ盾という大きな武器もない。

 ただしっかりと足元を踏みしめるようにしてラヴェルはとある部屋の前まで来た。

 セルジオはリゼルに対し「君はここで」と制す。

「……かしこまりました」

 セルジオがノックし、中から一人の軍人が出て来た。

 フォルツ少佐だ。

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  • 没落した薔薇は、碧夜の星になる   裏切者

     バロー家との面会を終えた皇太子は、虫でも見るような視線でランベルトを見る。「裏切者を引き取りに来た」「殿下……」「カルアン、連れて行け」「はっ」 命を受けたフォルツ少佐がランベルトへと手をかけ、ラヴェルは「お待ち下さい」と静かに止めた。「何だ? ベル」「彼がバロー家からの手先だと、ご存知だったのでは?」 ラヴェルはしっかりと向き直り、皇太子を見据える。「何故だ?」「殿下の周りには優秀な方がたくさんいらっしゃるのに、彼の潜入に気付けないはずがない。もしそうだとしたら、側近の方々は間抜けなのでは?」 ラヴェルは挑発するように態とけしかけ、皇太子の様子を窺う。「口を慎め、ベル」「あら、本当にお気付きでなかったのですね。ならば……」「この男がバロー家の息のかかった者だと分かっていて、君の護衛につけた事を怒っているのか?」「私の体が暴かれようと、このように助かろうと、どっちでも良かったのですよね?」 ランベルトが自分を汚していたら、それを理由にバロー家を追求できる。 今回のように未遂に終わってもランベルトを利用できると踏んでいた。 ようは意図的に護衛という立場を与え、ランベルトが動くように仕向けたのだ。「だからすぐにナハトを向かわせただろう? 侍女も君も無事だ。何が問題だ?」 そう言われてラヴェルは失笑を漏らした。 これが次代の王になる男なのだ――掲げている目標はジェイドと同じでも、まるで人を駒としか見ていない。 隣に立っているリゼルの拳が震えている。 ラヴェルはそれに気付いてリゼルを宥めるように肩に手を置いた。「バロー家はどうなりましたか?」「お前が言うとおりにして来たぞ。この男に襲われた事にしておい

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  • 没落した薔薇は、碧夜の星になる   問答

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     ジェイドは白シャツにサスペンダーと言う軽装で、貴族の外出着とは言えない装いだった。「お加減はいかがですか? ラヴィ様」「あ、あぁ……大分良い」「貸して下さい。私が拭きましょう」「いや……それは……」 下位の貴族とは言え“旦那様”と呼ばれているという事は、デルメール家を継いでいるという事だ。 ヴェルモナ王国の南の辺境であるデルメール領。 小さな領地ではあるが、その昔は港を有した貿易の拠点として栄華を誇った土地でもある。 今は国境を

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