ミレーが「一緒に腹を括りましょう」と言ってくれて、好きでいるだけなら許されるのかと、思い始めていた。 こんな風に首飾りまで用意して、審議所での全てをちゃんと見せてくれて、臆病で世間知らずな自分が信じられるように事を運んでくれている。 それは自然に事が流れているように思えるが、本当は違う。 公爵の深い考察と先読みした行動力がそう見せているだけで、実際はそう簡単な事ではないだろう。 首飾りだっていつからオーダーしていたのか。 王妃の友人だとあの場で公表した事にも意図があっただろう。 審議会に祖母を連れ出す事も、その審議会に自分を参加させるよう手配し顔を見る機会を作ってくれた事も――――。 ずっと前から考えてくれていたのだと分かるから、余計に苦しい。 そんなオルタナの心情などお構いなしに、ファージは自分の妹がどれだけ美しく麗しいかをツラツラと自慢している。 全く興味の無さそうなウケイの顔さえ、視界には入っていないらしい。「まぁ、でも妹君の相手には良いαをお探しになった方が良いですね。貴殿の子孫は望めないかもしれませんから」「……はい?」「貴殿は件の酒を飲んで、一時は危篤状態だったと聞いています」「はぁ……それが何か……? もう体は何ともないですが」「種芥子の由来は種枯らし。他の種の種を根こそぎ殺すのです。だから、昔は罪人に刑罰として与えられていたんですよ。悪党が子種を撒かない様に。繁殖機能を失っては家督相続も難しいのでは?」 ずっと喋っていたファージも、流石に黙る。 ウケイが煩いファージを黙らせる為に誇張したと分かってはいるが、少し気の毒な気もした。 だがウケイの言った事は間違っていない。 種芥子は他の種を滅する強い生命力があり、繁殖機能を奪うと言われている。 でもファージが口にしたのは上澄みで、ほとんど飲んでもいない。 だから、そこまで影響があるとは思えなかった。
Last Updated : 2026-05-13 Read more