「昨日はローブを被っていたから油断した。俺の危機管理が甘かったせいだ」「ローブ……?」「あのローブは特注品でな。国軍配給のものと酷似しているが、俺のはフェロモンを遮断する様な素材が使われているんだ。他の兵士には秘密だがな」「秘密?」「あのローブにそんな機能があると知れれば、ローブを剥ぎ取られたり、奪われたりする恐れもあるだろう? 知っているのは極僅かな側近だけだ」 ん……? それ、聞いても良かったのだろうか。 オルタナはそう首を傾げたが、聞いた後で聞かなかった事になど出来ない。「だから……いつもあのローブを?」「どこにΩがいるか、分からないからな。健国王の血なんて言われていても、自由に往来を歩く事すらままならない不自由な体だ。ロクなもんじゃない」 確かにそれは大変だろう。 稀少とは言え平民にもΩが居ない訳ではないし、修道院や孤児院にだって遭遇しない確証はない。 その上、あの植物はΩの発情期に似た匂いがするのだ。 誰もが知っている公爵様がローブを外さなかった理由は、ちゃんとあった。「オーリィ、話さなければならない事が沢山ある」 アウルム修道院の植物の事も、昨晩の事も、これからの事も。 何一つ共有出来ていないのは確かだが、修道院の植物の事は何をどう話したらいいか分からない。 これからの先の事に関しては、自分じゃ何も分からない。 今話せるとしたら、昨晩の事について謝罪が出来るくらいだ。 だけどそれすらお前のせいじゃないと言われたら、こちらから話せる事なんて一つもなかった。「そのまま楽にして、聞いてくれ」 そう言った公爵は「明日、お前を王都へ連れて行く」と切り出した。「王都へ……」「その前に、いくつかお前に知らせておく事がある。修道院の植物とは別件になるが、まずはこちらの情報を頭に入れてくれ」
Last Updated : 2026-04-21 Read more