「でも……あなたは御門の人です」 それ以上は言わなかった。 でも、今私を追い詰めているのは御門だ。結婚も、家族も、仕事も、私の帰る場所まで、全部奪おうとしている。 その家の人に、隣に立つと言われても、すぐに信じられるはずがない。 「違う」 即答だった。 でも、すぐに朔弥さんは唇を引き結んだ。 「……いや、前はそうだった」 朔弥さんの腕に、少しだけ力がこもった。 「俺は御門の人間として、御門の側に立っていた。母さんの言うことを疑いきれなかった。家を守ることと、お前を守ることを、同じだと思っていた」 息が止まる。 「でも本当は……姉さんの時に、戦うべきだった」 香澄さんの名前が、胸の奥で静かに揺れた。 「……信じていいんですか」 聞いた瞬間、自分の声がひどく頼りなく聞こえた。 「今さら、そんなことを……」 「今さらでも聞け」 朔弥さんは、私の言葉を遮った。 その音が、はっきり大きくなっていた。 「全部信じろとは言えない」 そんなことを、真顔で言う。 「信じられないことは、まだあると思う」 朔弥さんは、私から目を逸らさなかった。 「前にお前は、俺が感情を言葉にするのが苦手だって言ったな」 息が止まる。 「その通りだ」 朔弥さんの声は、低く掠れていた。 「それで考えた。俺は……」 そこで一度、言葉が止まった。 朔弥さんは、私から目を逸らさなかった。 「俺は、お前が好きだ」 胸が跳ねた。 「手放したくない。守りたい。……それだけは、信じてほしい」 少しだけ、泣きそうなのに笑いそうになった。 「……なんですか、それ」 「だから、嫌なんだ」 朔弥さんは、どうしようもないくらい真剣な顔で言った。 隠しきれなかった感情が、そのまま言葉に出ていた。 「お前が一人で終わらせようとするのは、嫌だ」 その言葉に、私はもう何も返せなかった。 負けたのは、たぶん私だった。 完全に許したわけではない。 戻ると決めたわけでもない。 それでも、嫌われるための言葉を続けることは、もうできなかった。 私は、小さく息を吐いた。 「……嫌いになってくれた方が、楽だと思いました」 「無理だ」 即答だった。 あまりに早くて、胸が詰まる。 「少しは考えてくださ
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