「よお、邪魔するぜぇ~!」 ズカズカと足音を踏み鳴らして入ってきた男達は、いずれも明らかに挑発的な態度を取っていた。彼らの姿を見た途端、客達は誰もが警戒感を露わにして、静かにその動向を見守っている。しかし、男達はそれを意に介さず、真っ直ぐにカウンターへと進んでいく。「い、いらっしゃいませ!お好きな席に……」「ウルセーぞ、ガキ。しっかし、テメーら、昼間っから酒盛りたぁずいぶんお楽しみじゃねぇか、なぁ?」 いかにも荒くれ者といった風体の男達の中で、リーダーと思しき男が怒鳴り声を上げ、嫌味ったらしく周囲の客達に言葉を投げ掛ける。怒鳴られたジーナは震えてしまっているし、客達も苛立ちを隠さずに男達を睨みつけているが、何故かそれ以上の荒事にはならなさそうだ。すると、様子を見ていた店主が静かに声を上げた。「おいトグサ、その辺にしとけ。コイツらはお前らが強いた無茶な深夜作業の為に一晩中働いて、ようやく一息吐いている所だ。お前達に文句を言われる筋合いはねぇ。それより、お前らの飲むような高級酒はここにはないぜ。客じゃないならとっとと帰れ」「おいおい、つれねぇこと言うんじゃねぇよ、ボッシュさんよぉ。お前の店には安酒しか置いてねぇことくらい解ってるが、そんなお前に良い話を持ってきてやったんだぜ?もっと喜べよ」「いらん。お前らの話なんぞ聞いてもろくなことが無いのは解り切っている」「へへっ、素直に聞いておいた方がいいと思うぜ。|か《・》|わ《・》|い《・》|い《・》|娘《・》|の《・》|為《・》|に《・》|も《・》、なぁ?」「……なんだと?」 冷静であろうとしていた店主のボッシュだったが、流石に娘を巻き込むような台詞を言われては無視する事は出来なかったようだ。ジャンヌ達の目から見ても、この男達は何をしでかすか解らないタイプだ。目的の為なら娘……つまり、ジーナに危害を加える事も平然と行うだろう。怒りを浮かべた視線で睨みつけるボッシュに対し、トグサという男は不必要なほどに顔を近づけて囁いた。「お前のこの店、俺達に売れや。今ならガンディーノさんが二割増しでイロ付けてくれるって言ってんだ。悪い話じゃねぇだろ?お前だって娘抱えたまま、こんな店続けた所で|将来《さき》はたかが知れてるはずだ。本業も上がったりだしな。それよりまとまった金を受け取って、王都へでも出て行きゃいい。そうすり
Last Updated : 2026-03-31 Read more