百日祝いの会場は、煌びやかな光に包まれ、大勢の招待客で溢れかえっていた。用意された100のテーブルは全て埋まり、豪華なドレスやスーツに身を包んだ人々が行き交い、乾杯の音が至るところで響いている。招待状を送った客のほぼ全員が顔を揃えたばかりか、普段は滅多に公の場へ姿を見せない大物まで何人か出席していた。これだけの顔ぶれが揃えば、酒井家の面目も十分すぎるほど立つというものだろう。長年、ナイトクラブを経営してきた蘭は、人付き合いにも世渡りにも長けていた。遠方から足を運んでくれた招待客のため、雲際ホテル最上階のエグゼクティブラウンジからスイートを含む客室まで、まとめて押さえている。その蘭の豪快なもてなしぶりには、誰もが驚かされた。控室。顔見せを終えた黎が、すっかり疲れて奈緒の腕の中で気持ちよさそうに眠っていた。香織はそばで音を立てないよう、そっとベビー用品を片づけている。カチャリとドアが開く音と共に、満面の笑みを浮かべた蘭が入ってきた。その顔には、喜びと誇らしさが隠しきれないほど溢れている。蘭は後ろ手にドアを閉めると、足早に奈緒のそばへやって来た。「奈緒、どうだった?今夜のお母さん、なかなかやったでしょ?」奈緒は顔を上げ、得意げな母を見て笑った。そして素直に親指を立てる。「うん。正直、びっくりした。お母さんが、あんな大物たちと知り合いだったなんて思わなかったもの」蘭は得意そうに顎を上げると、奈緒の肩を抱いて、豪快に笑った。「当たり前でしょ?お母さんが何年、この世界で生きてきたと思ってるの?深津市でここまで店を大きくしてきたんだから、人を見る目も、人脈も、それなりに培ってきたつもりよ」そこまで言うと、蘭の目には一瞬だけ陰りが差し、次いで、過去の苦しみを思い出したかのような、鋭く冷たい恨みが宿った。蘭が奈緒の肩に置いた手に、自然と力がこもり、声も一段と低くなる。「あの夜のことがあったからこそ、自分に力がなければ、理不尽な目に遭っても踏みにじられるだけだって、嫌というほど思い知らされた。優しいだけじゃ、自分も大切な人も守れない。だから私は、二度と誰にも見下されない人間になろうって決めたの。自分の足で立って、誰にも奪えないものを手に入れる。そうすれば、昔私を見下していた人間だって、簡単には手を出せなくなるか
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