やばい、まずいことになった。二人の男は車から飛び降り、再び奈緒を車の中に引き摺り込もうとする。「お願い!助けてください!連れ去られそうなんです!警察を呼んでください!」切羽詰まった奈緒の叫び声に、何人かの男性客やガソリンスタンドの従業員が駆け寄ろうとした。ところが、なんと男の一人が突然拳銃を取り出したのだ。黒い銃口が照明を鈍く反射し、その場の空気が一瞬で凍りつく。「止まれ!動くな!こいつは俺の女だ、揉め事にかかわるな!俺たちの揉め事に首を突っ込むんじゃねえ!状況が悪化したと見た犯人たちは、形相を変え、拳銃を突きつけて周囲を威嚇した。さすがに銃を目の前にしては、誰も動けない。助けようとしていた人たちも、恐怖に顔を強張らせながら後ずさった。奈緒がもう一度助けを求めようとしたそのとき、冷たい銃口がこめかみに押しつけられた。「黙れ!これ以上騒いだら、今ここで殺すぞ!ったく、余計なことをしやがって!」男は悪態をつきながら、奈緒の腹を思いきり蹴りつけた。「っ……!」強烈な痛みに、奈緒は思わず身体を丸める。額に冷や汗が浮かび、息を吸うことすら苦しい。誰の助けも得られぬまま、奈緒は犯人に荒々しく車内へ引きずり込まれた。今度は口に布を押し込まれ、手足まで縄で縛られる。もう一人の男はすぐさま車を発進させ、逃げるようにガソリンスタンドを飛び出した。車が猛スピードで走り出す。その最中、男は再び電話をかけた。「ちょっとまずいことになりました……こいつ、薬が効きにくかったみたいで途中で起きて、ガソリンスタンドで助けを求めやがったんで。かなりの人数に見られました。どうしましょう?誰かが警察呼んでたら……」「この役立たずが!ったく、女一人まともに扱えねえのか!もう警察が動いてると思え!倉庫には連れてくるなよ、こっちまで足がつくからな。人気のない場所で、そのまま片づけろ。最初から最後まで全部、動画と写真に収めろ。いいな?今度失敗したら、ただじゃ済まさねえぞ!」それだけ言うと、電話は切れた。奈緒の背中を冷たい汗が流れた。どうやら相手の目的は、最初から殺すことではない。自分を徹底的に辱め、その証拠まで残すつもりなのだ。どうする?このまま本当に……そう考えた瞬間、奈緒は絶望するように目を閉じた。
Read more