18時になった。 かすみははしゃぐ気持ちを抑えられなかったばっかりに、一時間も前に待ち合わせ場所である噴水広場に到着してしまった。 かすみの今日の服装はグレージュのウェストスタックワンピースに淡いピンクのフラットパンプスを合わせてみた。 髪はいつも結い上げているのを下ろし、さらに何年も前に買った安物のヘアアイロンで毛先にウェーブ感を出してみた。 さらに、普段は滅多にしない本格的な化粧にも挑戦してみた。 彼女のいう本格的な化粧とは、普段からやっている日焼け止めとアイブロウにさらにプラスαしたものを指している。 下地とクッションファンデ、気になる部分にコンシーラーを叩き込んでベースメイクを作り上げ、目元はアイラインを引き、キラキラとしたアイシャドウを乗せて華やかに。 久々に使ったビューラーでは、誤ってまぶたの際まで挟み込んで痛い思いをしたが、それなりに長さと毛束のあるまつ毛はくるりと綺麗に上がってくれた。マスカラは塗った所から目の水分がもっていかれる感覚に陥るので、しない。 最後に、唇にピンクベージュの口紅を乗せてひとまず完成したことにしてみた。 ファッションやメイクに疎いかすみにとって、今日したおめかしは全てにおいて、正解はわからないがとりあえずはやってみた、という類のものだった。正解がわからないのだから自信もない。正直、すっぴんに近いいつもの状態でいる方が、人前に出やすいくらいだった。 そんな自信のない状態にありながら約束の時間のかなり前に着いてしまったことで、かすみは一人、所在なく噴水の前に立っていた。 彼女にできることは、ただじっと二人を待つことだけである。 視線を伏せていたかすみだったが、ふと上げた目線の先で道行く男の人と目が合った。 びっくりしたかすみは、慌ててその視線を右へと逸らしたのだが、今度はその先で自分と同じように噴水前でたむろしていた三人組の男性たちと目が合った。 彼らは目が合った直後にはかすみから視線を反らせたものの、その後も時折こちらをチラチラと見ては、何か言い合ったり小突き合ったりしている。 その瞬間かすみは、やっぱり、と思った。 やっぱり変だった?似合ってない?というか、もしや一昔前の授業参観で一人気合いが入ったお母さんみたいな、見ていて少しイタい状態になっちゃってる、私⁉︎
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