かすみが久々に旧友たちとの再会を楽しんだ次の日。 三雲は、休日と有給休暇を含め、実に四日ぶりとなる会社へと出勤していた。 三雲が勤めるこの高級下着ブランド会社[Le Cygne ル・シーニュ]は、毎月第二と第四土曜日は出勤日となっている。 あの日、弥一にかすみへのお詫びとしてケーキと花束を買うよう勧めた日は、第二土曜日だった。 次の日の日曜日は毎週会社も休みなのだが、その日、日本へと2ヶ月ぶりに帰ってきていた咲希と過ごすために、三雲はさらに二日間の有休を取っていたのであった。 そんな今日は水曜日である。 咲希は今週いっぱいは日本にいる。 気持ちとしては咲希と一緒に過ごしていたいものの、週末に新商品の展示会を控えているとあってはこれ以上休むわけにもいかず、後ろ髪を引かれる思いで三雲は出社したのだった。 弥一から事前に言われない限り、三雲が御子柴家専用の運転手が運転する車に乗って、弥一の家まで出迎えることもなければ見送ることもない。 その代わり、弥一が出勤する少なくとも30分前には、社長室専用のエレベーターの前で弥一が来るのを待つようにしていた。 この日は一時間近く前に会社へと着いていた。 弥一が来る前に、近くのカフェで淹れたてのコーヒーでもテイクアウトしておこうかな、そう思いつつ、堂々と聳え立つ格式高いビルの入り口へと足を踏み入れた時だった。 社長室専用のエレベーターの前に既に弥一が立っているのが目に入る。 非凡な彼の姿は、数十メートル離れた先からでもすぐ見分けがついた。 三雲はいつもに比べあまりに早く到着している弥一の姿に、驚きのあまり一瞬その足を止めたものの、ハッとすぐに我に還ると、急いで彼の元へと駆け出した。 三雲は弥一の元へ到着するなり、「社長、お待たせしてしまったようで申し訳ありませんでした。」と、ゼーハーゼーハーと苦しそうに息をしながら謝罪する。 弥一はそんな三雲に、「待ったけど、待ってない。俺が早く着きすぎただけで、お前が謝る必要はどこにもない。」 朝から汗だくな上に息切れしている三雲とは対照的な清々しい様子で弥一はそう言った。 三雲はまだ呼吸が整わないながらも、 「それなら良かったです。てっきり僕のほうで時間を間違えたか、社長からの連絡を見過ごしてしまったのかと焦ってしまいました。
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