All Chapters of RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~: Chapter 151 - Chapter 160

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第151話 給料日

翌日。今日は給料日だった。 一週間に一度、領地からの税収の分配をトウマからもらう日である。 ウミはウキウキとしていた。(あうぅぅ、いっぱい欲しいですぅ) みんなで荷馬車の荷台に乗っていた。目指すは次の町である。乾燥した土の道路を、荷馬車がガタンゴトンと音を立てて進んでいく。オリーブやユーカリなどの硬葉樹林がところどころに背を伸ばしている。遠くではお腹のふくろに子供を入れた動物が飛び跳ねていた。ベルフラウが「カンガルーだわ」と言ってステータス画面を出す。カメラ機能で撮影をしている。晴恋も同じようにした。カンガルーの耳はウミのそれよりも長い。毛色は茶である。二本足で立つ姿は、どことなくキャルル丸に似ていた。(あうぅ、可愛いですぅ) 次の町は砂漠のど真ん中という話だった。行くのが楽しみで仕方無い。砂漠とはどんなところだろうか? トウマの話によると、ひたすらに砂地が広がっているらしい。昼は暑く、夜はとても冷えるようだ。新たな景色に胸が高鳴る。だけど、自分の水着姿で大丈夫だろうか? ちょっとだけ心配だった。 配信ドローンが外から追いかけて来ている。視聴者はいるようだが、コメントは少なかった。 荷台にあぐらをかいているトウマがステータス画面から銭袋を取り出す。そして声をかけた。「みんな、税収を分けるから、一人ずつ取りに来てくれ」「ダーリン、今回はいくらなの?」 ベルフラウが撮影をやめて振り向いた。ニコッと微笑をこぼしつつ床に座る。 トウマは口角を上げた。「もらってからのお楽しみだな」「ちょっと、いじわるしないでよ。教えなさい」 ベルフラウが四つん這いで床を進み、トウマから銭袋をもらう。ステータス画面で鑑定した。「あら、多いわね!」「私も欲しいですぅ」「僕も」「きゃるるぅっ」「俺っちももらうさ」「私もいただきます」 みんなが順番に分配をもら
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第152話 意義はありますです

 荷馬車とはすでに別れを告げていた。 砂漠を歩いていた。 聞こえるのは砂を踏みしめる音と乾いた風の音だけである。 先ほどまで周りにあった木々や草は、後方の彼方へすっかりと消えている。地平線まで砂の大地が広がっていた。強烈な日差しを砂地が照り返している。身体が焦げてしまいそうだ。汗がどんどんと噴き出てくる。喉はとめどなく渇き、事前に持って来ていたジュースをみんなが飲み干していた。砂漠のフィールドは暑さデバフがかかるようで、みんなのHPがじりじりと減少していた。メンバーにヒーラーはいない。そのためポーションを飲んで回復していた。用意周到なベルフラウがポーションを多く買い込んで来ていてくれていた。こういうところ、この恋人は本当に抜け目がない。仲間のHPが少なくなる度に配っている。だけどポーションの液体がぬるい。トウマはひんやりと冷えた麦茶が飲みたい気分だった。砂地に足を取られつつも、みんなで歩をゆっくりと進め続ける。 キャルル丸だけは日差しに強いようで平気そうな顔をしていた。その背中にアイギスと晴恋がまたがっている。この二人はもうダウンしそうなほどにへろへろだった。アイギスは無言、晴恋は「次の町はまだですか?」と何度もつぶやいている。:みんな暑そう。:ニキさん、涼しくなるようなジョークを言ってくれw:キャルル丸だけは余裕なんだな。 先頭ではベルフラウが地図を広げており、方位磁石で方角を確かめていた。その隣をウミが並んで歩いている。ウミがぐったりとした声でつぶやいた。「師匠、正面の空間がゆらゆらと揺れているですぅ」「あら本当……蜃気楼ね」「蜃気楼って何ですかぁ?」「上空と地上に温度差があると、光が屈折して景色が曲がるのよ」「はうぅぅ、私、自分の目がおかしくなったと思ったですぅ」「大丈夫よウミちゃん。あたしも同じだから」「師匠、ちょっと休憩したいですぅ」「ダメよウミちゃん、こんなところで休めないわ」 ベルフラウとウミのすぐ後ろにはトウマとニキがいる。
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第153話 砂漠のアイスキャンディ

 製菓できるアイスクリームは三種類だった。 そのうちの一つ、アイスポーションキャンディをベルフラウがダンスで量産してくれた。 Sランクアイスポーションキャンディの効果。 HP回復(大)。暑さ無効。暑さデバフ無効。快適度上昇(大)。効果時間、2時間。(画期的すぎる) トウマはペロペロと舐めていた。身体に染み入る美味さだ。若干薬臭いのは仕方ないだろう。:アイスキャンディはずるいw:ポーション味ってそれ美味しいの?:美味しさよりも涼しさじゃないか? 余談だが、これまでの三週間の間に、ギルドメンバー全員がノーファン村で初心者の包丁を獲得している。みんなが料理機能を解放させていた。 小さなオアシスを出発し、みんなで砂漠をまた歩いていた。小さな砂丘を上がったり下ったりした。直射日光がじりじりと照りつけている。だけど暑くない。汗も出てこない。体力をとられることも無かった。アイスの効果が肌を守ってくれている。身体がひんやりと涼しかった。快適である。晴恋とアイギスは相変わらずキャルル丸の背中に乗っていたが、今度は背筋を伸ばしていた。歩行スピードは上がっており、砂地をさくさくと踏みしめている。みんながアイスを舐めている。ウミがふんふんと鼻歌を歌っていた。「ふんふんふーん、もう暑くありませんよー」「助かったわ、ウミちゃん」 ベルフラウが微笑して金髪のボブカットを揺らす。アイスをかじってぽりぽりとかみ砕いた。 ウミは得意げに胸を張った。「猫は役に立つですぅ」「本当ね。偉いわ」「これからもどんどん良い行いをするですぅ」「うんうん」「きゃるるぅっ」 キャルル丸がつぶらな瞳を細めてアイスをバリバリと頬張っている。尻尾が嬉しそうに振動していた。 それからも数十分ほど歩いた。 遠くに町の影が見えてくる。広い穴をナツメヤシがぐるっと囲んでいる。その周囲には日干しレンガで出来た家々がたくさん建っていた。背の高い教会があり、つるされている銀色の鐘がテカテカと輝いている。鐘の上にはサバクヒタキの鳥がちょこんと乗っかっていた。:ラグナシアの町へようこそw:結婚式場がありますよ!:エロいナイトダンスバーもあるぞw どうやら次の町に着いたようだ。 だがトウマは眉をひそめた。(あの広い穴は、オアシスじゃないのか?) 周囲にナツメヤシが立っていることからして、
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第154話 花魁

 ラグナシアの騎士団駐屯地。 砂地の上に騎士たちの兵舎が建ち並んでいる。建物はやはりレンガ造りであり、屋根や壁は白く塗られていた。だだっ広い訓練場ではラクダや馬に乗った騎士たちが槍で戦闘訓練を行っている。歩兵たちも木剣を持って地稽古を行っていた。50mほど離れた的に向かって矢を放つ弓兵。正確に射貫く腕前は壮観である。馬屋ではラクダと馬が水を飲んでいる光景があった。世話係の騎士が「水は貴重なんだから大切に飲めよ」と声をかける。ラクダは「グォォー」と不満そうな鳴き声を響かせていた。がぶがぶと水を飲んでいる。ここにも水不足は深刻な影響を及ぼしているようだ。 騎士につれられてトウマたちがやってくると、兵舎前では諍いが起こっていた。二人の人間が戦っている。片方はすらりと背が高く金髪碧眼だった。白い騎士服の袖には黄金の三本線が入っている。胸元にはラクダ柄の刺繍。風格からしておそらく騎士団長だ。 もう片方の女はこの砂漠に全くそぐわなかった。和風の打ち掛けの着物であり、胸元と肩が大きく露出している。大ぶりの胸に色香が漂っていた。伊達兵庫髷の黒髪にはお団子のかんざしが刺さっている。肌はおしろいが塗られたように真っ白だった。まるで花魁である。長いキセルの武器を巧みに振り回し、騎士団長に襲いかかっている。その左手には酒ひょうたんが握られており、戦いながらごくごくと飲んでいる。白い頬がほんのりと赤く染まっていた。 二人のHPMPバーを見る。 騎士団長の名前はユクル、NPCだ。 花魁姿の女の名前は朧月、プレイヤーである。:おい、遊女がいるぞw:どうしてこんなところに花魁がいるの?:この人見たことある! キセルと剣が衝突して鈍い音が立つ。 朧月が甲高い声を震わせる。「おーほっほっほ。弱い、弱いでありんすー。ぬしさんの剣はカメのようにのろいでござりんす。ほれほれ、このままわちきが殺しなんすぅ」「もうやめろ! 俺は戦う気などない!」「では、わちきと枕を交わしておくんなし。それが叶わぬのなら、今すぐ殺しんす」
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第155話 酒を酌み交わしんしょう

 騎士団兵舎の前の砂地だった。 空からは太陽の紫外線が強烈に降り注いでいる。白い兵舎が眩しく照り返していた。馬屋で世話をしていた騎士たちが何事かと集まってきていた。騎士団長ユクルの後ろには騎士の人だかりができている。ベルフラウと朧月の決闘に注目していた。 乾いた風が吹いていた。ベルフラウのお姫様ドレスの裾がはらはらとなびいている。目の前にいる朧月の着物の裾もひらと揺れた。朧月には暑さデバフがかかっているようで、何もしなくてもHPがほんの少しずつ削れていく。だが酒ひょうたんをあおぐたびにHPは回復していた。どうやら酒には回復効果があるらしい。ベルフラウの後ろを仲間たちが扇状に囲んで見守っていた。 朧月がベルフラウにフレンド申請をした。彼女は承認する。フレンド項目から決闘がスタートされる。:これは見物だな。:ベルお姉様、応援しております!:我らのベル様は砂漠でも輝いておられる。まるで一輪の花のようだ。 緊張感が腹に重くのしかかっていた。(……朧月ってこの女の人、やけに威圧感があるわね) ベルフラウは左手のひらを掲げて唱える。「メイクアップ」 小さな丸い手鏡が生まれて虹色の光を放った。ベルフラウの化粧のノリが上昇すると共にアジリティが上がる。心が落ち着いた。 朧月が酒をごくごくとまた飲んだ。ぷはーと息をする。色っぽい流し目のような視線を送った。「時に、ベルフラウさん。ぬしさん、酒は好きでありんす?」「……お酒? 好きだけど、それがどうかしたの?」「そうかそうか。酒は良いものでありんすねぇ。それなら今度、わちきと一杯やりんしょう」 ベルフラウはやりにくそうに首をかしげた。「貴方、いま私と決闘中よ?」「ああ、そう言えばそうでありんした。では、ぬしさん……どこからでもかかってきなんし」「貴方……やる気あるの?」「ありんす。わちきの儚
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第156話 緑の旅人

 出発する前。一度ログアウトをしてみんなが昼食を摂った。 ベルフラウたちは今、ラクダの背に揺られていた。 ラクダの静かな足音がひたひたと鳴っている。カラッとした空気が漂う砂漠の地面を真っ直ぐに進んでいた。左にはスナネコが砂地の穴から顔を出している。(あら、可愛いわね) スナネコは耳をピンと立てて、こちらの様子をしげしげと眺めていた。前足を舌で舐めてペロペロと顔を洗っている。その愛くるしい姿を眺めて、ベルフラウは口角が思わず上がった。 ラクダに乗っている人間は三人いた。前方の騎士が目的地へと案内してくれている。その後ろにはベルフラウ。左手にはキャルル丸にまたがる晴恋とアイギス。そして右手にはどうしてか朧月がいる。彼女はラクダの上で、酒を飲みながらウキウキと身体を揺らしていた。(なんでこの人がいるのかしら?) どうしてかついて来ている。 暇なのかもしれなかった。:朧月さんって、私知ってる。あのトップギルドのマスターだった人でしょ?:そのギルド、今はもう無くなりましたよね。:どうして朧月さんがここにいるw これからこのメンバーで交易道を塞ぐモンスターを退治しにいくのだった。団長のトウマと副団長のベルフラウがチームリーダーとなり、二手に分かれている。 ベルフラウはアイスポーションキャンディをちろちろと舐めていた。 それを見た朧月が羨ましそうな瞳を向ける。「ベルフラウさん、時に、そのアイス、わちきにも一つ分けておくんなんし」(何よ) ベルフラウが顔を向ける。「いいけど。あの、朧月さん。どうしてついて来ているのかしら?」「どうしてか、でありんすか? だって、これはゲームでありんしょう? わちきはゲームをプレイしているだけでありんす」「ふ、ふーん。まあ、クエストを手伝ってくれるのならありがたいけれど」 ベルフラウがステータス画面からアイスの製菓カードを出す。朧月に差し出した。彼女は受け取り、「オープン」と唱える。アイスをぺろりと
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第157話 天使の歌声

 晴恋が裁縫のミニゲームに挑戦していた。 カラオケである。 彼女の右手にはマイクが出現していた。 ステータス画面からはJポップのような軽やかな演奏が流れている。晴恋は両手でマイクを握り、流れる歌詞を読みながらノリノリで歌った。事前に三度ほどお手本を聴いている。晴恋の美しいソプラノが響き渡った。それはまるで天使のささやき声のようであり。声には伸びがあり、それでいて低音も良く響く。高音はアイドルの声のようにキュンとくるものがあった。 ベルフラウはただただ感動していた。(晴恋にはこんな特技があったのね) 晴恋の周りにはたくさんの騎士たちが集まっていた。晴恋の歌にうっとりと聴き入っている。傷ついて寝そべっていた者も立ち上がっている。騎士たちはアイスの効果でHPが回復したようだった。暑さデバフも無効であり、HPが自然回復している。みんなが満タンだった。:美しい歌声ね。:晴恋のリアルの職業は歌手か?:良い声してるw やがて、一分間ほどの歌が終わる。 周りにいた人間たちが次々と拍手を送った。喝采が響く。キャルル丸もウキウキと足を踏みならしていた。 晴恋【裁縫評価B】『レザーで編まれた軽装鎧のスキンカード』を獲得 裁縫の素材は緑の旅人が提供してくれている。 ベルフラウはびっくりとした。(たったのB評価なの?) てっきりS評価が採れると思った。 晴恋は「くぷぷ」と笑い、出来上がったスキンカードを傷ついた兵士に渡す。 騎士は頭を恭しく下げた。「も、もらっても良いんですか? あ、ありがとうございます」「はい。大事に着てくださいね」「は、はい! 着てみても良いですか?」「大丈夫ですよ」「それでは!」 騎士がステータス画面からスキンカードを装着する。白い光に包まれた。それは茶色いレザー製の軽装鎧だった。騎士が再び低頭する。「これがあれば、ラズーアとまた戦えます!」「ぜひぜひ、頑張ってくださいね」「ありがとう、ありがとう」 そして。 それからも緑の旅人に服の裁縫素材を提供してもらい、晴恋は歌い続ける。やがて、傷ついていた騎士たち全員の服が新調された。晴恋は満足そうな顔で喉を撫でていた。 ベルフラウが声をかける。「晴恋、お疲れさま」「ベルちゃん、ありがとう。私、ちょっと喉に違和感があるかも」「すごく上手だ
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第158話 運命の王子様

 カルチアの遺跡。 遺跡の入り口で、今まさにトワは息絶えようとしていた。壊れた壁に背中をつけて尻餅をついている。 遺跡にはどうしてか雨が降っている。だから暑くは無い。暑さデバフも無い。だけど先ほどサソリモンスターとの戦闘の際、尻尾に刺されてしまった。猛毒がトワのHPをドクドクと削っている。身体が緑色に染まっていた。デスペナルティが目前だった。(ちくしょう……俺は、死ぬのか?) 砂漠の町に来たところまでは良かった。 トワはすぐに服屋へ行った。ラグナシアの民族衣装、エバグルは暑さデバフを無効化するらしい。トワはエバグルを作るために、素材モンスターが出るこの遺跡に足を運んでいた。道具屋からはポーションを買い込んできていた。だけどちくしょう、解毒剤を買い忘れちまった。:トワさん、大丈夫!?:死んだなこれは……。 まぶたが重い。 視界がだんだんと暗くなっていく。 空を見上げる。口を開くと、雨つぶが唇と舌をポタポタと叩いた。 どんよりとした曇り空は、今の自分の心を代弁してくれているかのようだ。 ……もう、身体が動かない。 目も見えなくなってきた。 ダメだ。 死んじまう。 せめて、死ぬ前に粋の良い男と出会いたかった! トワが目を閉じようとしたその時だ。 ひたひたという静かな足音が近くで止まった。ラクダの足音のようだ。「グオォー」と間の抜けた声を響かせている。それと同時に三人の人間の声が聞こえてきた。「ご主人様、ここが遺跡ですか?」「そうみたいだな」「雨が降っているさ! ここにガラボロスがいるってことだよな」:誰か来た!:通りすがりの方、トワさんを助けて! 男が二人、女が一人いるようだ。女の声は子供っぽい響きがした。三人がラクダから降りる物音がする。男の一人がラクダにここで待っているように告げた。ラクダたちがその場に
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第159話 唇をもらうぞ

 カルチア遺跡。 朽ち果てた遺跡だった。正面には二階へと続く階段が見える。だけど階段だけだ。上のフロアはごっそりと崩れ落ちていた。天井のない茶色い壁で囲まれた砂地をウミは踏みしめて歩く。奥へ奥へと向かっていた。雨が降りしきっているせいで水着が濡れそぼっていた。長い茶髪もぐっしょりである。髪が肌にペタペタと張りついており、気持ちが悪かった。雷もゴロゴロと鳴っている。空がひび割れるような轟音だった。かなり怖い。鳴るたびにウミの尻尾が上へ下へと跳ねる。 瞬間、雷が落ちた。「ななな何ですか!?」 ウミは激しく動揺した。 雷が遺跡の壁を直撃する。 目がくらむようなフラッシュがあった。 轟音。 ウミたちはびっくりして両手で耳を塞いでいた。けたたましい音の後で、耳の奥がキーンと鳴る。壁には亀裂が入り黒く焦げていた。壊れた壁の欠片が地面にどすどすと落ちる。(……び、びっくりしたですぅぅ) みんながぎょっとした表情をしていた。 おそるおそる顔を見合わせる。 トウマが渋い顔で声をかけた。「みんな、気をつけて行こう」「王子様、守ってやるからな」 トワが頼もしい顔でトウマの肩に手を置いた。「いや、守らなくていいぞ」「守るつってんだろうが!」「……そ、そうか」 トウマは首をかしげている。 ウミは目を細めてトワの顔を凝視した。(この人、何か変ですぅ) ニキははらはらとしたようであり、それでいて笑いをこらえているようでもある。 再び歩き出す。 先頭ではトウマとトワが肩を並べている。肩の距離がやけに近い。トワはぶっきらぼうな口調だが、悪い人ではないみたいだ。だけどトウマと話すその顔が赤い。まるで恋する乙女のようだとウミは思った。 トワの格好は白い神職装束である。神官のようだった。身長はトウマよりも若干高い。185cmといったところか。肩や腕は露
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第160話 雨を晴らす者

 渡り通路をくぐった先に祭壇が見えてきた。祭壇には赤いケープを羽織ったガイコツがいる。両手に持つ杖を掲げ、空に向けて口を大きく開いていた。雨を吸い込んでいるようだ。口には水の渦が出来ている。地面の水が波立っており、ガイコツの足下へ集まっていく。吸収した水分は青いオーラとなり、ガイコツを包み込んでいた。 ボス、ガラボロス。 トウマが立ち止まって振り返った。自然とみんなの足も止まる。 トウマが凜々しい顔をひきしめた。「みんな、ガラボロスがいたぞ」「ご主人様、どうやって倒しますか?」 ウミが聞いた。濡れそぼった尻尾がたゆんたゆんと揺れる。「敵は祭壇の上にいるからな。とりあえず遠距離攻撃をしてみよう。敵が来たら、ウミ、前衛を頼めるか?」「お任せくださぁい」「おい、王子様!」 トワがハスキーボイスで声をかける。くっきりとした眉が男前である。「ん、どうした?」「俺は何をすればいい?」「トワさんも前衛だからな。ウミと同じ動きをしてくれ」「分かったけど。ちょっと待て!」「ん、何だ?」「王子様、俺のことはトワで良い。さんは要らねえ」「……トワさんで良くないか?」「この野郎おおぉぉおおお!」 トワが吠えた。 トウマがびくっとして後ずさりする。 ウミもさすがに猫耳を伏せた。 ニキは鼻の穴を膨らませて笑いをこらえている。 トワがふうと息をつく。注意するように声を紡いだ。「トワで良いからな」「そ、そうか。じゃあトワ、作戦通りよろしく頼む」「いいぜ、王子様」 トワがニヤと笑った。 トウマはニキに視線を向ける。「ニキさん、俺と一緒にボスを遠距離攻撃だ」「トウマさん、プラズミックガンで一掃すれば早くないかい?」「それはニキさんの判断に任せる」「オーケー! よおっ
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