ノーファン村の山を登っていた。 登山道の両脇には木々や藪が鬱蒼と茂っている。木の葉の合間からは太陽の光がうっすらと差し込んでいた。エゾハルゼミが「ミョーキン、ミョーキン。ケケケケケ」と鳴いている。落ち葉の多い地面を踏みしめて歩き続ける。腐葉土の匂いがした。 ラグナシアではないが、気温はちょっと高かった。もうすぐ夏が始まろうとしている。 アイギスはステータス画面から製菓カードを取り出して「オープン」と唱えた。ソフトクリームを食べ始める。これで暑さが気にならなくなるはずだ。 だけど、(ニキはどこへ向かっているの?) パーティを組んでいる。 だけど三人とも、配信は切ってあった。 秘密の場所へ向かうのだろうか? ニキのまたがるキャルル丸の尻がふりふりと揺れている。途中、現われるモンスターをニキがキャノンで仕留めている。 やがて登山道をはずれて山道を進んだ。その先に洞窟が見えてくる。クジラが大口を開けているような不気味な穴だった。 ニキがこちらを振り返る。「晴恋、アイギス、今からこの洞窟に入るさ」「分かりました」「この洞窟には何があるの?」 アイギスが首をかしげつつ尋ねる。 ニキは意味ありげに口の端をつりあげた。「それは、到着してからのお楽しみさ」 彼がキャルル丸の肩を叩いた。白竜がまた歩き出す。洞窟へと進入した。(何なの?) アイギスは疑問に思いつつ、キャルル丸の揺れる尻を追いかける。 中は暗く、晴恋がランタンを取りだして点灯させた。 洞窟内に出てくるモンスターはスケルトンとオークメイジの二種類だった。現われるたびにニキとアイギスで倒した。そして十数分ほど歩き、地下一階への階段にたどり着く。ニキがキャルル丸から降りた。「みんな、食事にするさ」 ステータス画面からニキがカレーライスを取り出す。自作品のようで、Aランクの中辛だった。差し出されたのでアイギスは受け取る。
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