Alle Kapitel von RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~: Kapitel 201 – Kapitel 210

211 Kapitel

第201話 ウミの才能

 美術館の中に入る。 みんなで室内の絵を見て回ってみることにした。広い通路を一周して歩く。 白い天井にワックスの塗られた木製の床。壁には様々な絵が掛けられていた。農夫が畑を耕しているもの、着物の女性が振り向いているもの、秋の山を色鮮やかに描き出したもの、何を表しているのか分からない抽象画まであった。だけど不思議とパワーを感じる。 やがて目に飛び込んできた一枚の絵にウミは釘付けになった。ひまわりの油絵である。華やかな絵では無い。花は若干よじれており、部分的に散っていた。けれど、その絵には確かな生命力が息づいている。植物の生々しさと、エネルギーのほとばしりを感じた。ウミは興奮してつぶやいた。「すごい絵ですぅ」「ウミちゃん、これ、何が凄いの?」 隣にいるアイギスが渋い顔をする。 ウミはびっくりして親友を見た。「アイちゃん、もしかして、分からないのですか?」「ちんぷんかんぷん」 アイギスは首を振っている。 ウミはもう一度ひまわりの絵を眺めてみた。(こ、これは絶品です!) 絵の中では、ひまわりが力強く生きている。 作者の溢れる才能を感じた。 ウミはもう一度アイギスを見る。「アイちゃん、この絵は、す、すごいですぅ」「何が凄いのか、説明して」「そ、それは、見てください。ひまわりが、生き生きとしていて、みずみずしくて華麗ですぅ」「今にも枯れそうなひまわりだね」「ち、違いますぅ。このひまわりは、一生懸命に生きようとしていますぅ」「子供がいたずらで描いたのかも」「ち、違いますよぉ。アイちゃんには、分からないですぅ」「うん。分からない」 アイギスはつまらなそうにぼんやりとこぼした。(アイちゃんはおっかしいですぅ) ウミは飽きることなくひまわりの絵を眺めて、胸を高鳴らせていた。 少し離れたところからトウマが歩いてくる。「ウミ、アイ、こっちに来てくれ」「ウミちゃん、行く」 アイギスがウミの手を握って引っ張った。 ウミが残念そうな声を出す。「あうぅ、まだ見ていたいですぅ」 トウマが案内した場所にはみんなが集まっていた。 マーカスとその母親はもういないようだ。 いくつもの机と椅子がある。美術館の女性スタッフが一人いて、ステータス画面を出していた。「みなさんもどうぞ、絵を描いていってください」 女性スタッフは画材を取りだし
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第202話 協力

 遊園地のレストランで食事になった。 配信はない。 黄色と白を主な色とした活気のあるお店だった。天井が特徴的であり、太陽と月、雲など、空の絵が太い線で描かれている。何とも子供が好きそうなデザインである。丸い机と椅子が等間隔に並んでいた。お客さんがたくさんいて、ギルドで固まって食事をしているようだ。ふと男の客がビールジョッキを机に叩きつけるように置いた。ドンと音が鳴る。「王城争奪戦を勝つためには、メンバーを増やさなきゃいけないんだ!」と大声を上げている。彼はギルドの団長だろうか? 話題は他の客にも伝播したようで、今度は違う客がつぶやいた。「今度の王城争奪戦は、20以上のギルドが参加するらしいぞ」 トウマたちは入り口から一番近い丸テーブルを陣取っていた。室内は広々としており、キャルル丸も入れた。みんながそれぞれ好きな品物を頼み、いま食べている。肉がゴロゴロとしているビーフシチューをスプーンで口に運び、トウマは味わっていた。肉がほろほろとほぐれ、肉汁は濃厚である。ルウは甘く、野菜と肉の出汁が染み出ていた。まろやかな味わいである。だけど緊張で少し腹が痛い。これから、みんなに告げなければいけないことがある。ベルフラウの実家の支払い義務のことだ。 ウミとアイギスがデザートのババロアを食べていた。唇の端に笑みをたたえている。「アイちゃん、これは中々どうして美味しいですよ?」「美味しい」「ふんわりとしていて、トロトロですぅ」「すごく甘い」「きゃるるぅ」 床では、キャルル丸が特大のババロアをがぶがぶとかじっていた。 アイギスの隣には晴恋とニキがいて、やはりデザートを食べている。晴恋がティラミス、ニキはチーズケーキだった。 晴恋がうっとりとしてニキの顔を見る。「ニキさん、今日は楽しかったですね」「晴恋はどのアトラクションが一番良かったさ?」「え、ええっと……観覧車」 二人が見つめ合って頬を赤く染める。 ニキの目がじわりと潤んだ。「晴恋」「に、ニキさん&h
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第203話 同盟条件

「みんな、どうする?」 トウマが聞いた。 遊園地のレストランだった。白い丸テーブルに黄色い椅子が並んでいる。空の景色が親しみやすい絵柄で描かれた天井の下で、トウマたちは難しい顔をしていた。午後の四時半を過ぎており、店内は少し混んできていた。店の前にはカラフルな衣装を着たNPCのピエロが登場をして、玉乗りをしながらナイフのお手玉を始めている。愉快な光景だった。どうやら客寄せのようだ。 ウミが首を振って答えた。「ご主人様、同盟は難しいかと思いますぅ。同盟を組んだら、報酬を分けなければいけません。師匠に貸せるお金が、少なくなっちゃいますぅ」「俺っちもそう思うさ。相手のメンバーは11人だろ? 報酬が半分以下になるさ」 ニキがジンジャエールのコップを掴んでひとくち口に含んだ。「僕もそう思う」とアイギス。「私も同感です」と晴恋。「きゃるる?」 キャルル丸はのんきに顔を手でかいている。 ベルフラウだけは深刻そうに俯いていた。ゆっくりと面を上げる。「待ってみんな。同盟を組めば、勝率が上がるわ」「師匠、私たちだけでも勝てますよぉ」 ウミが眉を寄せる。「……そうかしら? 簡単なことじゃ無いと思うけれど」「ふむ」 トウマは腕組みをしてうなった。(俺も反対なんだよな) 時間はそれほど残されていない。 王城争奪戦は五日後である。 トウマが口を開く。「みんな、俺はこう思う」 メンバーは黙ったまま聞いていた。 トウマが低い声で紡ぐ。「出会ったばかりの人間たちの集まりで、連携が上手く取れるとは思えない。作戦を立てたとしても、作戦が内側から崩れることもあり得る。人数の足し算だけで、勝率が上がると考えるのは危険だ」「……それは、確かにね」 ベルフラウが弱ったように言って、顔を曇らせた。 ウミが疑問を向けた。「ご主人様、どういうことですか? もっと簡単に言って欲しいですぅ」「……アーティンさんたちと同盟を組んだとしても、相手が作戦通りに動いてくれる訳ではないということだ」「そうなんですか?」「ウミ、出会ったばかりの人の指示をどこまで信じられる?」「そ、それは、ちょっと分からないですぅ」「相手だって同じだ……これは用心してかかった方がいいだろうな。不安要素が多い。それに、王城争奪戦の作戦はもう考えてある。だから、俺の意見とし
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第204話 ガーディアン

 遊園地のレストラン前の石畳だった。 太陽は西に大きく傾いており、夕焼けとなっている。オレンジ色に染まっている雲が美しかった。辺りにはプレイヤーたちの人垣が出来ている。これから始まる決闘を、固唾をのんで見守っていた。酔っ払った男性が「頑張れよ! 犬のちびっ子」と声をかけている。アイギスの尻尾が不機嫌そうに跳ねた。黒い大盾を前に突き出すように構えており、顔つきは真剣そのものである。 アイギスの相手はアーティンでは無く、同伴者のリゼットだった。白い仮面が何とも気味が悪い。右手にはダガーを握っている。ベルフラウと同じジョブだろうか?(勝たないと) アイギスは唇を引き結んで相手を睨みつける。 リゼットがステータス画面からフレンド申請を送った。「アイギス。貴方、使い魔なの?」「そうだけど?」「これは舐められたものね」「どういう意味?」「使い魔なんて、AIじゃない。AIが人間様に楯突いちゃダメよ」「お前、ムカつく」 アイギスがフレンド申請を承認する。 リゼットが決闘を申し込んだ。 ドンと音がした。 ――決闘クエスト、初めての決闘に勝利する 決闘は一分間である。 リゼットが走り出した。「アイギス、私がスマートな勝ち方ってものを教えてあげるわ」「お前に教えられることなんてない!」 アイギスが黒い大盾に隠れる。 リゼットが笑うように唱えた。「スティール」 瞬間、アイギスの右手から大盾が消えた。と思ったら大盾はリゼットの左手に握られている。盗むスキルのようだ。 観客たちがどっと歓声を上げる。(嘘!) アイギスは驚愕に下唇をひきつらせた。「ひ、卑怯者!」「あら、この大きな盾、格好良いわね。だけど要らないわ」 リゼットが大盾を後ろの地面に投げる。がらんと大きな音が鳴った。 少し離れたところからウミが応
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第205話 呼んでみただけ

 遊園地の出口付近では福引きが行われていた。 抽選器がガラガラと音を立てて回っている。 スタンプラリーのスタンプ一つにつき一回回せるようだった。 遠くには大きな観覧車があった。ゆっくりゆっくりと動いている。海賊船のスイングは未だに続いている。先ほどまでの楽しさを思い出して、晴恋は少し寂しい気持ちになる。日が完全に落ちて夜が訪れている。夜風が吹いて、スカートの裾がはらりと揺れた。だけど七月の夜の空気は温かい。夜空では星々が語り合うように瞬いている。夏の大三角形を探してみた。その際、晴恋は流れ星を見てしまった。消えてしまった後で祈りを込める。ギルドのみんなが幸せになれますように。王城争奪戦で勝利できますように。 今、ニキが抽選器を回していた。 ガラガラと鳴っている。 ぽんと白い玉が吐き出された。「また白さあ」 白い玉は五等賞であり、ポーション一個である。すでにニキは四つのポーションを入手していた。 先ほど晴恋も回してみたが、玉の色は全て白だった。 福引きなんてこんなものである。 晴恋が口角を上げて笑った。「くぷぷ、ニキさん。五等賞ですね」「本当だよ。この抽選器、当たり入ってるのかなあ」「さあ、どうでしょう」「ちくしょー。まあ仕方無いさ」「プレイヤー様、こちらをどうぞ」 福引きスタッフがポーションの小瓶を差し出す。ニキは受け取った。 後ろに並んでいたベルフラウが声をかけた。「ニキさん、代わって。次はあたしよ」「おう。ベルさん、一等賞を引くさ」「ふふん、任せなさい」 福引きを引けるのはベルフラウで最後だった。今のところ全員が白い玉である。 ベルフラウとニキが場所を入れ替える。だけど、ベルフラウはアトラクションを回っていない。スタンプは美術館のものだけのようだ。引ける回数は一回である。 彼女が福引きスタッフにスタンプラリーの紙を見せる。「回して良いかしら」「はい
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第206話 一緒に探そう

 夕食後の露天風呂。 いま、晴恋とニキで混浴温泉に入っている。 身体には白いバスタオルを巻いていた。入浴用タオルであり、マナー違反ではない。すでに身体と髪は洗ってある。お湯の中に身を沈めながら、晴恋はどぎまぎとしていた。魔導具の灯りに照らされて、水面はキラキラと輝いていた。お湯は少しぬるくて、いつまででも入っていられそうだ。肌当たりが柔らかいお湯である。 他に客はいない。 夜空に浮かんでいる三日月だけが、二人のいちゃいちゃを覗き見ていた。(何だか、大胆な気分になっちゃいます) 晴恋の隣では、ニキがおちょこで日本酒を飲んでいる。湯舟酒のおぼんが水面にぷかぷかと浮かんでいた。晴恋はおしゃくをしていた。 ニキが赤ら顔でつぶやく。「晴恋は可愛いさ」「くぷぷ……どのぐらい可愛いですか?」「ベルさんよりも可愛いさ」「本当ですか?」 胸がドキりと高鳴る。 とびきりに嬉しかった。「本当だよ。ギルドでナンバーワンさ」「それは言い過ぎです」「言い過ぎじゃないって。ウミちゃんよりも、アイよりも、キャルル丸よりも可愛いさ」「くぷぷ、キャルル丸と比べるんですか?」「世界で一番可愛いってこと」「もう、ニキさんったら」 晴恋はニキにお酌をする。 ニキがおちょこを差し出した。「晴恋も飲みなよ」「飲みましょうか?」 晴恋はおちょこをそっと掴み、すするように飲んだ。おちょこを置く。「今日は倒れるまで飲むさ」「倒れたらダメです」「どうしてだい?」「どうしてって。それは、これから、部屋で……」 ニキは気づいたようで、口角をにんまりとつり上げた。 晴恋は恥ずかしくなって右手を上げる。水面がちゃぷんと音を立てた。「もう、ニキさんのいじわる!」
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第207話 二本の電話

 アパートに帰宅して、部屋で真帆たちはくつろいでいた。 すでに夕食を終えている。お風呂も済ませた。 ピンク色の部屋だった。カーペットもカーテンも、布団カバーまでピンク色である。それは真帆のお気に入りのカラーだった。最近はじっとりとしていて暑い。なので、冷房をつけていた。真帆とユウマはテレビを見ることもせずに、二人の時間を楽しんでいる。いま、ユウマが真帆にマッサージをしてくれていた。足の裏を両手で握り、優しく揉み込む。時々、つぼを強めに押した。痛気持ち良くて、真帆は声を上げる。「いたたたっ」「ここはどうだ?」「ちょっとユウマ、きついわ」「足の裏が凝っているな。だいぶお疲れのようだ」「もうちょっと、手加減しなさい」「こっちはどうだ?」「もう、ダメよユウマ」「足が温かくなってきたな」 ユウマがにんまりと笑顔を浮かべる。 真帆はちょっと開放的な気分で足を揉まれ続けた。この後はいつも通り、二人で愛を育む。だけど今日のユウマはマッサージが長い。この男、最近は揉むのが上手になってきた。毎日マッサージをしてくれているせいだ。 ふと、枕元で真帆のスマホが鳴った。「ごめん、ユウマ、電話だわ」「そうか」 ユウマが真帆の足を離す。 スマホを手に取ると、母親からだった。真帆は緊張でお腹が痛くなる。せっかくの二人きりの時間だったのに、またあの話だろうか? マットレスに腰掛けて電話に出た。スマホを耳に当てる。「もしもし、お母さん?」「真帆か。ごめんね、何度もかけて」「うん、大丈夫」「真帆、朝の話の繰り返しなんだけれどね」「うん」「今日のお昼も、高梨さんの家から電話があって、賠償金の支払いを催促されたんだわ。それでね、お父さん、自分の友達を片っ端から当たって、お金を貸してくれないか頼み込んだんだ」「うん、それで?」「なんとか50万円を貸してくれるって人が現われたけれど、それだけでね。
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第208話 高嶺の花はピンク色

 翌日の早朝。 王都アランクルスは人々の活気に満ちていた。そびえ立つ王城を中心として、赤い屋根の家々が円形状に広がっている。地面は綺麗な石畳であり、水路もあった。水路は真っ直ぐに港の方へと注いでいる。馬車や牛車が行き交っていた。プレイヤーたちが石畳に絨毯を広げており、露店を開いている光景もあった。武器や服、バフ料理や回復アイテム、素材アイテムなどを売っているようだ。こんな朝早くからご苦労なことである。以前にトウマが言っていたことをウミは思い出していた。プレイヤーたちには、ゲームのヴァルを円に換金して生計を立てている者も多いらしい。商人は、人が通りかかるたびに「いらっしゃいませ」「便利なアイテムはいかがですか?」などと声を張っている。(綺麗な石ころも売っているのでしょうか?) 露店を覗きたい気持ちが、ウミの心の中でうずうずと高まる。(絶対に後で見に行くです) ウミとアイギス、キャルル丸は喫茶店リヴァにいた。甘いコーヒーを飲みながら、ステータス画面を操作している。キャルル丸は桶に入った甘いミルクを飲んでいた。 配信はしていない。 テーブルの椅子に座りながら、ウミが話しかける。「アイちゃん、わ、わわ、ワールドチャットをやってみるですぅ」「うん」「ワールドチャットって、私、初めてですぅ」「大丈夫」「きゃるるぅ」 昨夜、みんながログアウトした後でウミは四枚の絵を描いた。武器制作のミニゲームである。だけど三枚は大失敗した。デッサンアイディアは乗り物武器しか無いため、出来上がったのはスカーレットクローが一つと錆びた牙が三つである。SランクとEランクだ。スカーレットクローをワールドチャットで売れば、大金を入手できるはずである。 ウミが聞いた。「だけどアイちゃん、いくらにしましょう?」「200万ヴァル以上で売れると思う」「そ、そんなにしますかね?」「うん。もっと上げてもいいかも」「……じゃ、じゃあ、に、220万ヴァルにしましょうか?」「
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第209話 白竜の実力

「キャルル丸、手加減は要らないわ。本気で来なさい」 ベルフラウはダガーを両手に構えており、キャルル丸を睨みつけている。「きゃるる、きゃる!」 キャルル丸の瞳が鋭く引き締まる。 午前七時過ぎ。 王都アランクルスの道具屋前の大通りで、ベルフラウとキャルル丸は対峙していた。 乗り物コロシアム前の特訓である。 少し前に、キャルル丸のレベルは30に上がったようだった。乗り物コロシアムで勝てるようにウミが協力をしたのだとか。おかげで超越スキル、エボリューションを習得している。だけど、どこで誰が見ているかも分からないこの場所で、エボリューションを使ってはいけなかった。キャルル丸の切り札である。 道の脇には仲間たちが並んでいて、これから始まる決闘を注視している。 ステータス画面を操作してベルフラウが決闘を申し込んだ。「きゃるっ」 キャルル丸が承認を押す。 ドンと音がした。 ――決闘始め ベルフラウが右手を掲げる。「メイクアップ」 小さな手鏡が生まれて虹色の光りを放った。アジリティが上昇する。「きゃるるるぅ!」 キャルル丸がおたけびを上げて走り出した。その両手両足にはスカーレットクローが装着されている。ベルフラウに向けて真っ直ぐに突進してくる。一見隙だらけだ。:キャルル丸は猪突猛進ですw:こんな隙だらけな攻撃いいの?:行けキャルル丸、そこだ!(あのねぇ、キャルル丸) ベルフラウは呆れたように吐息した。キャルル丸は無防備すぎである。(もっと相手の出方をうかがわないと) ウミが両手を口に当てて応援している。「キャルル丸、頑張るですよー!」「キャルル丸、負けない」 アイギスも力強くつぶやいた。 主人のニキが固唾を飲んで見つめている。 晴恋は両手のひらを握り合わせていた。 キャルル丸がどたどたと近づ
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第210話 大食い対決

 ――乗り物コロシアムクエスト、入賞する 王都の東のはずれにある円形闘技場に来ていた。 高い段差の上にある観客席は、プレイヤーやNPCのお客さんたちで賑わっている。入り口にはファストフードを売る露店が出ており、観客たちがフライドポテトやチキンなどを頬張っていた。乗り物コロシアム開催委員は他にも料理を作っているようで、いま豪快に肉が焼かれていた。それが何のための料理なのかは、今のところキャルル丸には分からなかった。 キャルル丸の主人たちは観客席の前列の一角を陣取っており、興奮したような様子で紙コップのジュースを飲んでいた。 試合場には乗り物たちが集まっている。にわとり、ウサギ、ブタ、牛、馬、狼、大蛇、様々いる。どれも立派な体格をしている。これから予備選が始まるようだ。キャルル丸は顔をキョロキョロとさせて、エリザの姿を探していた。ふと、左斜め前方にピンク色の竜の姿を認める。エリザだ。思わず頬が熱くなった。(エリザよ。美しきピンク色の竜よ) キャルル丸は独白しつつ、淡いため息をつく。 一目見た時から、彼女のことがたまらなく気に入っていた。試合前に、少し話すことはできないだろうか? お近づきになって、その顔をべろりべろりと舐めてあげたい。:乗り物コロシアムが始まりますねw:今回の予備選の内容はなんだろうな?:キャルル丸ぅぅ、応援してるぜぇぇ! キャルル丸はエリザの方へ歩き出した。だが、黒馬が身体を割り込ませて立ちはだかる。 テレサだ。 キャルル丸はつぶらなグリーンの瞳でテレサを睨みつけた。「きゃるる」(貴様、我に何用だ? そこをどけ)「ぶるるっ」(キャルル丸、また会ったな)「きゃ、きゃるるっ!」(お前のデカい鼻は醜いから、二度と見たく無かったな)「ぶるるぅ」(キャルル丸よ。お前の白い顔を拝む度に、貧血で死にそうに見えるから心配になるぞ)「きゃるるる!」(我の肌の色を愚弄するか! 許さんぞ)「ぶるー」(貧血のキャルル丸よ。今度こそ勝つのは俺だ)「きゃるるぅ
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