「待て! エドワード、俺だ!!」 弓を引き絞るエドワードへ、俺は必死に声を張り上げた。 エドワード――あいつは村で共に育った、気心の知れた親友だ。 だが、俺の眉間を射抜こうと狙い澄ますその瞳には、以前の彼とは違う『何か』が宿っているようだった。「……その声は、ガルアなのか?」「俺だよ! お前のその弓の腕前を、一番近くで見てきたのは俺じゃないか!」 呼びかけに、エドワードの弓先が僅かに揺れた。 だが、エドワードの声はふいに冷たく強張った。「いや、待て……なんだその禍々しい装備は。それに、後ろの連中は何者だ? ……最近、この山に入った勇者が、呪いの武具に正気を奪われて仲間を斬り臥せたという噂を聞いた。まさか、お前がその『呪いの勇者』なのか……?」 禍々しい呪具に身を包んだ俺の姿。 背後に控えるフサームとハンバルはイオの魔法で人間の姿に偽装し、ラナンもローブで魔族の特徴を隠している。 だが、それでも滲み出る異様さは誤魔化しきれていないのだろう。 エドワードが極限の殺気を帯びたまま、一向に警戒を解こうとしないのも無理はなかった。「話は長くなるが、これには理由があって……」 その時だ。 イオが、まるで春風のようにふわりと俺の一歩前に進み出た。「初めまして、エドワード様。私は|魔獣使い《ビーストテイマー》で、ガルアの婚約者のイオと申します。本日は二人で村へご挨拶に伺いましたの」「……ッ!」 この血生臭い一触即発の場面で、イオは何を言い出しているんだ。 つい先刻まで纏っていた、あの絶対的な魔王の覇気は嘘のように消え去っている。 そこにいるのは、無垢で世間知らずな可憐な令嬢そのもの。 息を呑むほど完璧なその演技が、逆に底知れない恐ろしさを掻き立ててきた。「……イオ様…&h
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