《有給休暇は異世界で》全部章節:第 141 章 - 第 150 章

184 章節

第141話:危険手当

 グレートボアの血抜きが終わったところで休憩終了、緊張の糸がほどけたところで、再び狩りを再開する。 今度はワイルドボアが相手でも問題なくそれぞれ戦えることがわかってきたため、グレートボアがもう一匹出てこない限りは問題ない。 安心して、落ち着いて、そしてミニボアとワイルドボアを狩り続ける。 少しして、ワイルドボアを狩った数が10を超えた。目標までには達したが、ここからが延長戦。もう少し戦って、倒す数と収入を勘定して、多めに狩りこんでいく。 時間はまだある。ミニボアとワイルドボアを適度に狩り尽くしながら、周辺にいなくなったら狩場を移動し、グレートボアがいないことを確認してからワイルドボアとミニボアを狩っていく。 やがて、時間が来て日も傾き始め、時空魔法で時刻を確認して、街へ戻る時間と肉の査定をしてもらう時間も含めて、ちょうどいい頃合いになった。「セルフィ、そろそろ戻ろうか」「はい、ご主人様」 セルフィから盾を受け取って、最後のワイルドボアを血抜きしながら歩いて戻る。途中で血が途切れたので、アイテムボックスに完全にしまい込んで綺麗な道の上を歩く。 行きに血抜きしながら歩いた血の跡がタラーッとついている。見なかったことにしよう、うん。「今日はいくらになりますかね? グレートボアはいくらになるんでしょう? 」「そうだな……ワイルドボアがミニボアの10倍だからこっちも単純にワイルドボアの10倍としても、今日の成果はかなりのものになるのは間違いないな」「楽しみですねえ」 こっちはアイテムボックスの中身に何が何個入っているかは見えるため、この場で口に出すこともできる。 しかし、査定の間に血抜きが甘かったり毛皮に傷がついていたりで査定価格にマイナスがつくことも考えられる。 なので、今は黙っておいて、査定の楽しみと思えば十分に待てる。今日もしっかり働いた……が、服の血の色は早めに抜いておかないといけないな。作った石鹸は無事に固まっただろうか。 東門へたどり着き、衛兵に冒険者
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第142話:グレートボアの行き先

 銀の卵亭に帰ってきて、メリーさんとすれ違うと、少しぎょっとされるが、返り血であることを説明したら納得してくれた。「まあ、冒険者だから返り血にまみれることもあるってことさね。怪我してないなら安心だわ」 いつもどおり湯をもらって、まず着替える。この着替えた服は今日中に石鹸と洗濯板で洗って血を落としてしまおう。「今日は今までにないぐらい儲かりましたね。この調子で頑張りましょう」 いつも通りにお互い背中を綺麗にしながら今日の反省会をする。「そうだな、でも危なかったからな。危ない橋を渡って大きく儲けるよりも、危なげなく細かく稼いでいくほうが大事だからな。無理せず慎重に行こうな」「はい。さすがに今回は運が良かったと考えることにしてます。もしかしたらあのまま全力で吹き飛ばされた後、ご主人様がのしかかられて牙で怪我をしていた可能性もありますし」「ミニボアがクッションにならなかったらもっと大変なことになっていたかもしれないしな」「はい、なので今後はもっと注意しながら戦いましょう。私ももっと強くならないと」 お互い背中を拭き終わったので、前や手足なんかを綺麗にしていく。股間は最後だ。しっかり綺麗にして、この後食べる食事の場に血の臭いを残していかないようにしないとな。 綺麗なほうの服を着ると、お湯を返しに行くついでに井戸へ用事。石鹸がある程度固まっているのを確認すると、石鹸を返り血に擦り込んで、そのまま洗濯板のところで洗濯を開始する。「ちょっと待っててくれ、返り血だけ先に落としちゃって、出かけてる間にちょっとでも干して乾かせるようにしておきたい」「はい、お待ちしています」 俺が一生懸命自分の戦闘用の服を洗濯しているのを横目で見つめるセルフィ。泡立ちはそれほど悪くない。血の部分では泡立たないが、その周りの部分では十分な泡立ちを見せてくれている。「これがお手製石鹸ですか。確かに、この間買ってみた石鹸よりも良く泡立ってる気がします」「さすがに血の付いてるところは泡立たないけど……うん、完全に落ちはしないが、グングン血の色が
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第143話:リバーシ巧者

 食事を終えて銀の卵亭に戻ってくる。すると、食堂を通りかかる時に親父さんに声をかけられる。「おぉ、帰ってきた。セルフィちゃんちょっといいかな」 どうやら俺に用事ではなくセルフィに用事らしい。珍しい。「はい、ちょっといいですか、ご主人様」「うん、行っておいで」 セルフィが親父さんについていって、そのまま食堂の中へと入っていく。今のうちに、冒険用の服を乾かして、明日にでも使えるようにしてしまうか。 部屋に戻り、月明かりを頼りにして火魔法と風魔法を駆使し、服の中をしっかり乾かす。セルフィが戻ってくるまでには乾くだろうな。 と、風魔法を使っていると、風魔法がレベルアップしたという声が聞こえる。また服の乾燥だけでレベルが上がってしまったな。今後もドライヤーとして活躍してもらおう。 しかし、ドライヤーとして扱うだけで風魔法が順調に上がっていくのはちょっと納得しかねるところがある。せっかくならちゃんと戦闘にも使っていきたい気持ちがある。 服を触りながらまだ濡れている場所を確認し、首元から胴にかけて円を描くようにドライヤーをかけていく。 徐々に襟元側から乾いていき、そして体側に向けて熱い空気が抜けていく。あんまり熱をかけすぎると服が縮んでしまうかもしれないので、ほどほどの温度でひたすら乾かし続ける。 そういえば、盾も綺麗に洗ってやらないといけないんだよな。こっちは石鹸で洗ったとしても同じようなものだろうから、ひたすら水洗いかな。乾かし終わったら盾のメンテナンスをしようか。 地道に乾かしている間にセルフィが戻ってくるかと思ったが、意外と時間がかかっているようだ。親父さんの用事って何だったんだろうな。 自作の火風魔法ドライヤーで乾かして、時々止めて乾き具合を確かめる。そろそろいいかな。後は自然に任せて乾かしても問題ないだろう。明日までに乾いてくれればそれでいいのだ。 干したままにすると、次に盾を洗いに行く。たわしをメリーさんに借りると、井戸で水を汲み、盾をごしごしと洗い始める。 暗い中だが、火魔法で明かりをともしながら洗っているので、ついでに火
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第144話:入金

 予想どおり、バチクソまぶしい日差しで目が覚める。もう慣れた。 ここに泊まる間か、もしくは……そうだな、この星の地軸が良い感じに傾いているならば、という条件付きになるが、日の昇る角度が変わればこれもマシになったり、少し遅れて起きたりすることができるのだろう。 目を覚まして井戸まで行き、身支度を済ませて塩と歯ブラシで歯を磨く。この原始的な歯ブラシにも慣れてきたが、ナイロンでできた歯ブラシが懐かしくもなる。やはり、産業革命から始まる近代化の波によって、公衆衛生用品にも劇的な変化が起きたのは間違いないだろう。 ここでは房楊枝がせいぜいだが、地域によっては木の棒に動物の硬めの毛を植え付けた原始的な近代歯ブラシの原型で歯を磨いているのかもしれないな。そういう商品を探し出して流通させるだけでも一儲けできそうな気はする。ただ、利益率的に美味しい商品ではなさそうだ。「おはよーございます」 朝は血圧低めなセルフィがよたよたと起きてきた。今日もまだお眠らしいが、井戸から水を汲んでやって顔を洗うと、いつものセルフィに段々戻り始めた。「んー……よし! 今日もばっちり! 」 顔を洗って歯を磨いて、髪を結びなおして、いつものセルフィの形に戻る。そして、着替えて今日も洗濯をするが、今日からは清潔魔法に加えて石鹸を使っていくことにした。固まった分の石鹸をこすりつけて、汚れている部分に付けて洗濯板でこすり落とす。 どうやら、石鹸成分はきちんと作用しているのを太陽の元ではっきりと確認できた、昨夜は火魔法で照らしながらやっていた。 殆どが色と臭いが頼りで、明確に汚れが落ちていたかはわからなかったが、今は太陽の下、よくわかる。黒いよごれや皮脂が塊で出てきているのを実感している。 こんなに汚れていたのか……と思うほどだが、これはまだ現代人思考が抜けていない証拠だろう。他のみんなはもっと薄汚れた格好や清潔レベルで活動をしているのだ。 自分とセルフィだけでも綺麗にしておかないとな。セルフィに石鹸を少しこすらせて、手を綺麗にさせる。「手
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第145話:オルハヌスのダンジョン

 食べ終えて財布の重さもありがたく、それにつけても顎の痛さよ。 一句出来た。こっちの世界には俳句なんておハイソな趣味はないかもしれないが、文化的な側面としてこういうものを流行らせて、いいものを詠んだ奴には賞金が出るような仕組みを広めるのも悪くない気がしてきた。 さて、昨日はしっかり肉を採ったし、今日はダンジョンか薬草か……薬草だとついでに肉も取れるし、前回も中々の収穫量を誇ったが、採りに行ってまだ日が浅いか。さすがにそう数日で薬草がモリモリ育つとも思えない。ここはダンジョンへ行くべきだろうか。「むむむ……今日は何をしようかねえ」「なにも思いつかないなら休みにしてもよろしいのでは? 」「二日前に休んだばかりじゃないか。そうそう休みばかり取っていては体がなまってしまうし、うっかりしている間に経済の発展に追い抜かれてしまう」「よくわかりませんが、思いつかないなら、とりあえず冒険者ギルドへ行って、調べものや依頼を探すのが良いと思いますが」 なるほど、現地に近い所へ行って決める、というのか。それも悪くないし、そういえばギルドの書棚に調べものをする、というタスクもあったな。とりあえず冒険者ギルドに行くのは確定でいいらしいな。「よし、じゃあセルフィの言う通り、まずは冒険者ギルドに行って何をするにしても対応できるようにしていこう。着替えて出発だ」「はい、行きましょう」 部屋に戻って冒険衣装に着替える。そろそろちゃんとした装備をそろえてもいいような気がしてきたな。軽い胴当てのような、急所だけうまくカバーしてくれるようなものがあればいいんだが、そういうものを探す日にしてもいいかもな。 親父さんに声をかけて弁当を受け取ると、いつも通り出かける。今日は直接どこかに行くわけではないのでその分儲けは少なくなるだろうが、許容範囲ということにしておこう。 冒険者ギルドに到着し、調べもの。セルフィに依頼を見てもらいつつ、書棚で魔法に関する書物を見つける。時空魔法については前に調べたので、暗黒魔法や聖魔法、空間魔法についての物を探す。 
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第146話:イアンちゃんの普段のお仕事

 調べものを終えてさっそくオルハヌスのダンジョンへ行こうと、冒険者ギルドの出入り口へ差し掛かったところで前から声がかかる。「あ、やっと見つけました。タカナシさん発見なのです」 イアンちゃんだった。なんだか久しぶりに見える。「やあ、おはよう。お仕事? 頑張ってね」「いえ、タカナシさんに用事なのです。ちゃんと有給休暇でこの場所を楽しんでいらっしゃっているかのアンケートというか、普段の過ごし方についていろいろと説明を聞かなければならないのでお話を聞きたいのです」「うーん、今からオルハヌスのダンジョンへ行こうと思ってたんだよね。行きながらじゃダメかな? 」 イアンちゃんの仕事に付き合う必要は十分にあるとは思うのだが、こちらもそれなりに生活がかかっている話なので、気軽にいつでもOK、じゃあ今日はダンジョンは後日にして……とも反応しがたい。「いいですよ、私も同行するのです。 オルハヌスのダンジョンへ行こうという話なら、西門よりも北門のほうが近いですからそちらへ向かうのです」 イアンちゃんが同伴してくれるなら心強い。初めての場所にはやはりガイドがつきものだ。イアンちゃんをよく見れば、既に戦闘をする格好で冒険者ギルドに来ている。 おそらくは銀の卵亭で俺とセルフィが出掛けたことと、冒険者装備に着替えてから出かけたという話を仕入れて、急いで装備だけでもそろえてここにいるかどうか探しに来たんだろう。「じゃあ、行きがけに話に答えながら向かおうか。何もしないよりもそのほうが効率的だし無駄がない」 イアンちゃんが向かう途中に紙とペンを用意してくれていたので、そのアンケート項目に答えていく。 あなたはきちんと有給休暇を取れていますか? これは「はい」だな。 生活のために無理をしているとか、働きすぎてろくに休みが取れない状況にありますか? これは「いいえ」だな。休もうと思えば休める程度には生活資金を得られている。 早く有給休暇を終えて職場に復帰したいと思っていますか。これは……今はまだ「いいえ」だな。セルフィが奴隷か
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第147話:オルハヌス一層

 20分歩いて、オルハヌスのダンジョンへたどり着いた。「そういえば、イアンちゃんご飯は? 」「今日は抜きの日なのでだいじょうぶなのです。お二人はちゃんと持ってきていますか? 」「俺のアイテムボックスに入っている。だから大丈夫だ」 イアンちゃんにもダイエットの日、みたいなものがあるらしい。決して生活に困っているわけではない、というのは前に聞いたので、純粋に女の子には飯を抜いておきたい日というのが定期的に存在するのだろう。 セルフィにはちょっとまだ早い話かな? とセルフィを見つめていると、ハテナマークが付いているような顔でこちらを見つめ返す。 さて、さっそく入場をしよう。入り口にいる衛兵に挨拶をしながら進もう。お疲れ様でーす。「まて、お前たち見ない顔だな。冒険者証を提示してくれるか」 顔パスには程遠い、というか初回だから仕方ないか。黙って冒険者証を提示する。「ふむ、C、E、Eランクか。なら大丈夫だな。Cランクの君が引率かな」「そうなのです。今日は、ですがきっちり今日中に体に覚えさせる予定なのです」 イアンちゃんが胸を張って先輩風を吹かせる。イアンちゃんCランクだったのか。だとすれば立派に胸を張るだけの実力はあるということだな。「ならば大丈夫だな。落ち着いて先輩の言うことを聞くんだぞ」 ぱっと見俺のほうが年上のはずだが、それでもイアンちゃんを先輩呼びするということは、冒険者は完全実力主義ということなんだろう。こういうところからも情報の一端を仕入れることができる。「じゃあ行くですよ。どんなモンスターが出るかはわかってますか? 」「来る前に冒険者ギルドで調べたから一通りは。とりあえず二層までは問題なく潜れるかな、と思っている。ただ、弓矢持ちのゴブリンが出てきたらまた話は変わってくると思うけどね」「その認識で合ってると思うのです。なので、とりあえず二層までは行くのです」 ダンジョン内部は土と石の入り混じる壁の中に、光る鉱石が所々にちりばめられて、なかなかに綺麗だ。「この光る鉱石は希少品だっ
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第148話:オルハヌス二層

 体の慣らしが終わったところで、二層に入る。一層のゴブリンは棍棒しか持ち合わせていなかったので、打ち身だけで済んだ。一層ならポコッとやられるだけで済む。 しかし、二層ではナイフを持ったゴブリンと、盾を持ったゴブリンが出てくる。集団戦で襲ってくるということは、盾を持ったゴブリンの陰に隠れてナイフを持ったゴブリン……シールドゴブリンとシーフゴブリンと頭の中で考えておくことにしよう。 シールドゴブリンの陰で隠れながら近づいて、近寄ったところで盾から出てきてナイフを突き刺してくる、といった形の戦闘も考えられる。 セルフィも一層である程度慣れたはずだし、セルフィの反応速度なら奇襲されても対応できるとは思うが、カバーリングに入れるように努力はしておこう。「ここからは本番みたいなものなので十分注意してほしいのです。ナイフで刺されたら痛いので、その装備だとお肌に傷がつくかもしれないのです」「痛いのは嫌だが、傷だけなら治せるかもしれないから、そこに期待は……あんまりしてほしくはないが怪我してもある程度までなら大丈夫、と思ってくれていいかな」「ご主人様は聖魔法も使えるのでしたね。でも、怪我よりも服が破れるほうが気になりますね」「その時は装備の変えどきってことで、新しい装備にする理由にできるからな。怪我しろっていうわけではないが、そこまで気にしなくていいぞ。装備の摩耗を気にして何もできないよりはマシだからな」 二層に入り、足音とゲギャギャギャっという声があちこちから聞こえる。そこそこのモンスター量がいることはわかる。パナメラのダンジョンが活性化している最中だからこっちにはまだそれほど人が戻っていない、ということだろう。 ちょっと、周りにパーティーがいないのが気になるが、とりあえず二層をめぐっていくことにしようか。イアンちゃんもいるし、いつもよりは楽なはずだ。 シールドゴブリンがさっそくやってくるが、足音と足の数が一致していない。これは、シールドの陰にシーフゴブリンが隠れているな。その証拠に、シールドゴブリンはそのシールドを前に構えずに横に構えている。 き
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第149話:お昼休みはマヨサンドで

 調子よく二層で戦いを続ける。モンスターはそれほど強くないのはわかっているので、シーフゴブリンが襲ってくる瞬間だけに注意をしていればこの階層では問題ないだろう、というところまでは体を慣らすことができた。 シーフゴブリンとシールドゴブリンも、そろってくるときは毎回同じパターンではなく、シールドゴブリンが完全に片方を抑えてる間にもう片方をシーフゴブリンが一対一で対応するように攻めてきたりもした。 何パターンかある攻めてくる方法を覚えれば、後はどういう出始めで仕掛けてくるかを判断することで、パターンに落とし込めるようになった。こうなれば、後は作りのある試合ができる。プロレスみたいなもんだな。 時空魔法で時刻を確認し、昼近くになったところでいったん一層に戻る。腹時計で確認するのもありだが、毎食同じ時間に取るようにしたほうが腹時計の時差修正にも役に立つ。「そろそろいったん休憩にしよう。一層の安全地帯まで行って、お昼だ。今日は親父さんの手作りらしいからな」「リンカちゃんには悪いですが、親父さんの作った奴のほうが美味しいですからね」「そこはさすがに腕の見せ所、ということだろうな。さあ、30分ほどかけて戻るぞ」 戻りの道にも当然モンスターはいるので、倒しながら進む。帰り道でもしっかり魔石を回収できるのはおいしい場面だ。行きも帰りも戦いながら進めるなら、ただ歩くだけよりも財布が重たくなって嬉しい。 予想時間通り、30分ほどかかって一層のモンスターの湧きにくい、もしくは湧かない場所までやってくる。他のパーティーもちらほらと昼休憩に帰ってきている。こっちは腹時計基準なんだろう、既に食事を終えて先に戦いに戻るパーティーが見える。 きっと、俺たちが昼休憩を終えて出発するときも遅れてやってくるパーティーはいるんだろうな。さて、食事の時間だ。アイテムボックスから白パン……今日は白パンで作ってくれたんだな。サンドイッチを取り出すと、セルフィの分を渡す。 そして、自分の分を取り出し、一口……「……」 イアンちゃんが食べるの
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第150話:オルハヌス三層

 食事を終えて水分も取り、ほの暗い明かりの中で少し眠くなってきたが、眠気をこらえて軽くストレッチ。お腹にちょうどいいぐらいに食事の分量が良かったからだろう。 これで食べ過ぎで動けないなら問題だし、物足りなくて水分を取りすぎて、帰りに喉がカラカラで帰る可能性もあると考えると、魔法使いのいないパーティーには水が死活問題だということがよくわかる。 その気になれば俺は水を出せるので、喉が渇いても問題ない。その代わりに美味しくないけどな、魔法で生み出した水は。イアンちゃんも水分は持ってきているらしく、俺からもらった一口の後は口を湿らせて頑張っていた。「さて、二層でもう一回復習して、その後三層かな。遠距離攻撃してくるゴブリンは厄介でしかないんだが、火魔法で何とか対処していくことにしよう。その代わり、盾持ちは任せることにしよう」「はい、お任せください。でも、このゴブリンの小賢しさなら、盾に守られた向こう側から弓矢を射ってくる、ぐらいのことはしそうですね」「してくるのですよ? さすがにそれぐらいの知能は持ち合わせているのです」「だ、そうです。盾はさっさと蹴り飛ばして、その間に何とかするしかないですね」 うーむ。やはりすぐに考えつく程度の小細工はしてくるか。もっとシールドゴブリンを多く配置して、集団戦を仕掛けられたりしたらどうしようもないな。合戦みたいになるかもしれない。 一層から二層に移動し、再び二層のモンスターで体を慣らして30分ほど、そして初めての三層に足を踏み入れる。シールドゴブリンが出てくるのは今まで通りだ。 しかしここからはナイフ持ちのシーフゴブリンから変更され、ゴブリンアーチャーと呼ぶべき弓矢持ちのゴブリンが出てくる。シーフゴブリンはショートソードより得物が短い分だけ戦うのは楽だった。 すばしっこくはあったが、戦いやすい相手ではある。しかし、今度は遠距離系モンスターだ。こっちも遠距離で対応するか、一足飛びに近づいて攻撃するか、飛んでくる矢を回避するかの三択を選ばなければならない。 四層に行けばそれに加えて、シールドゴブリンの代わりに剣を持ってるゴブリンに変わるのだから、さらに難易度は上がるだ
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