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有給休暇は異世界で のすべてのチャプター: チャプター 121 - チャプター 130

147 チャプター

第121話:石鹸づくり

 朝だ。今日も眩しい太陽……太陽という言い方であっているのかはわからないが、お日様がちょうど視線をぶつけてくるのは間違いない。 目が覚めて、いつも通りの寝起きの良さを感じる。こっちへきて、寝起きがだるいということがない。これが若返りのおかげなのか、それとも別の要因なのかはまだ判断つかない。 まぁ、気持ちよく起きれていることに違いはないのでありがたく起きていることにしよう。今日も元気だ太陽が眩しい! それでいいのだ。「おはようございます、ご主人様」 セルフィも元気そうで何よりだ。さぁ、今日も一日を楽しく過ごそう。 井戸で身支度を整えて、洗濯物を洗うと、そろそろ石鹸が欲しくなってきた。買えないこともないが、市販の石鹸は液体で、あまり香りもいいものではない。 そうだな……ビッグラットスレイヤーの香りがするような爽やかな石鹸を作る方が良さそうだな。獣脂と灰が必要か。灰は……どこかの工房で出た炭の灰を使わせてもらって、ゴミを引き取りに行く方向性で行けば安く仕入れられるかな。 あ、でもビッグラットスレイヤーはたぶん酸性だろうから、アルカリ性の柑橘以外の香りのする果物のほうがいいかな。何か探してみるのがいいかもしれないな。でもまあ、香りづけ程度なら問題ないか。獣脂のそのままの香りを使うことに比べたら多分大幅にましだろう。 洗濯板でほとんどの汚れは落ちてくれるので問題ないが、香りのほうはそうそう抜けない。もしかしたら鼻がもう麻痺しているだけで、そこそこの匂いを放っている、という可能性だってあるのだ。何かしらの機会に匂いをリセットして、さわやかさを演出する必要があるともいえる。 さてどうするか。ギド親方のところへ行って灰をもらえるか相談して、もらえたら石鹸づくりに費やしてみる、というのも悪くないが……ちょっと、一日かけて石鹸づくりをしてみて、服の汚れをきっちり落としてさわやかな香りのする服を調達するのも悪くないかもしれないな。今日はそういう日にしておくか。 洗い物を終えて服を干すと、今日は時間に余裕があるので火
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第122話:コンクリート

 早速朝市へ買いだしに。市場でビッグラットスレイヤーと植物油を購入。そして、ギド親方のところへ行き、炭を使い終わった後の灰をどうしているかを質問しに行くと、普通に捨てているということなので、いくつかの工房を回って捨てすぎて問題がない程度にそれぞれ分けてもらってきた。 数カ所回ったおかげでかなりの量の灰を手に入れることが出来たので、原料が足りなくて少ししか作れなかった、ということにはならないだろう。しかし、ちょっと多いかもしれないな。もうちょっと油を買い足しておくか。 油を買い足し、朝市ではない普通の商店で塩を買い求める。岩塩でもよかったが、砕いた後の塩が売っていたのでそっちを購入。これで砕いて溶かす手間が一つ減った。灰、油、香りづけ、塩と四つの材料がそろったため、後は灰を水にくぐらせて濾すための布と、熱している間持つだけの鍋を買い求める。 後、燃料は自分の火魔法とする。ここで燃料に炭や薪を使って、その灰でまた石鹸を……という無限ループを作ることはできるが、そこまでするつもりはないし、一回こっきりの予定だ。一回分だけ作るならまあそれほど問題はないだろう。 これを商売にするつもりはないし、既に存在する石鹸ではあるので、自分で使う分をちょいちょいと、気に入った香りで作りたいと思っているだけだ。さっさと帰って試しづくりと行こう。 そう思って街の中心部を通り抜けると、何やら人だかりができている。どうやら新しい掲示物があるらしく、それを見るために人が集まっている様子だ。若干騒がしいし、自分に関係があるかもしれないので念のため見ておく。 人だかりを少しずつかき分け、前まで出て掲示物を確認すると、布告というかお願いというか、知恵貸し願いのような内容だった。 街の発展に伴い、北西の川から上水を引きたいのだが、できるだけ綺麗な水のままでこちらまで導水したい。何かいい方法はないか? 礼は出す。とのこと。 つまり、水道口が土のままの導水路では不満、ということだろう。ちゃんと掘って、周りを固めて、土や川の滞留物やその他いろいろは流れてくるにせよ、できるだけ少なく、そして街の中を流れる間も綺麗なままで流してきて、井戸や湧き水の形で街中
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第123話:ド定番、石鹸を作ろう

 メリーさんにちょっと庭を借りるのと、火を使うこと、それから危ない薬品を使うのであまり近寄らないようにできるかを聞いて、了承を得てから早速石鹸づくりを始める。家主の了解を得てから仕事を始めるのは基本だな。 まず、ギド親方始め色んな工房からもらってきた灰を水に混ぜ込んでよくぐるぐるとかき混ぜて、しばらくした後指先で軽く触れてみる。ヌルっとしていたら成功だ。その後、灰を布で濾して灰汁にする。 本来なら手袋とマスク、ゴーグルあたりが必須の工程だが、この時代の技術水準でそれに近いものは用意できないので、せめて口元にマスク代わりのあて布をしてそれをマスク代わりにしておく。 手袋はゴムみたいに完全に密封できるタイプじゃない限りはかえって手荒れを加速させるし、手に成分が残ったら清潔魔法と水魔法で洗い流せるのでそれで代用していこう。 次に、買ってきた油を軽く熱し、生ぬるくする。人肌から少し熱めぐらいにすると、そこに灰汁を投入。そのままの温度を維持しながらひたすら混ぜ合わせる。混ぜ合わせる分量さえ間違えてなければ、温度を調節しながら混ぜてやることで石鹸が徐々に硬くなってくるので、そこで塩をぶち込む。 塩を入れることで塩析という現象が起きる。これは石鹸よりも塩のほうが水分子を引き付けるため、その分だけ石鹸成分は脱水される……という感じの現象だ。これで更に石鹸が固まりやすくなる。 これ以上の固まりやすさは石鹸作りに使う油が動物性であるか、植物性であるか……というところで大きく変わってくる。今回はヤシの実っぽい物から作られた油を使用した。おそらくボア肉の油が一番安く手に入る動物性の油だろうが、それを入手するルートがまだ確保できてないため今回は断念する。 油が固まってきたところで、ビッグラットスレイヤーの表皮を削って絞った汁を追加し、香りづけにする。これで匂いの問題は解決できるはずだ。本来ならオイルベースにして油化されたものを使ったほうがいいのは確かだろうが、そこまでの精油技術は今のところない。 そこまで作るにはまず精油蒸留器や圧搾機から作らなければいけなくなり、本末転倒というか本業から行き先が離れてしま
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第124話:上水道建設に関する意見書

 部屋に戻って、買ってきた紙に書く内容をまず考える。セルフィは要らなくなった鍋をこすって泡立ちを確認して、「せっかく泡立つので、これを利用して服を洗ってきます! 」と、井戸のほうへ行った。 きっと、鍋をこすっては泡を洗濯物に移して洗濯板で綺麗に洗濯している最中なんだろう。俺の着替えも持って行ったので、ついでに両方洗うということらしい。まあ、任せよう。鍋も綺麗になるし、後片付けが一つ楽になった。鍋はまた別の機会に何かで使うこともあるだろうからそのままアイテムボックスにしまっておくか。 さて、俺の頭の中の方法を達成するには、いくつか確認しなければいけないことがある。この近くに火山があった形跡や、そういう地層が見当たるかどうか、という点だ。石灰石の層が存在しなければコンクリートはおろか、モルタルもセメントも作ることはできない。 石灰石があればセメントを作るのは比較的簡単であると言える。が、とりあえず街の建物の様子を見るあたり、石材同士の接着剤として使われている形跡はあるので、セメントに関しては問題はないと言えるだろう。問題は量かな、それとも質かな。 とりあえず、モルタルにしろコンクリートにしろ、防水仕様にする方法はいくらかあるのでその方法からまずは記していくことが必要か。 耐水性があり、自己修復機能を持つコンクリートは特殊な火山灰と石灰石の混合で得られるから……まず、その特殊な火山灰というのが存在するかどうかから調べないといけないな。 調べ方は……水酸化ナトリウムに溶かせばいいはずだが、水酸化ナトリウムを手に入れる方法がないし、そもそもこの方法で得られる火山灰は石英質を持つはずだから、ガラスを作り上げられる砂でもあるはずだ。だからこの近くでは産出しない可能性が高いな。 だとすると、ローマンコンクリートの再現は非常に難しいか。そもそも石灰石があるだけでも儲けものなのだから、それ以上の贅沢は言わないのがいいな。ここは普通のコンクリートで作って数十年たって劣化するのは折り込み済みで建設してもらうしかなさそうだ。 もし、地面を掘ってガラス質の地面が掘り起こされるようならその限りではないが、どう
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第125話:洗濯その後で

 役所での用事を済ませ、銀の卵亭に帰ってくる。今日は本当にお休みを取っている感じがしてなんだかいいな。たまには休みも悪くない……っと、そういえばずっと休みを取ってこっちに来ているんだったな。そういう意味では休みらしい休みは何度目だろうか。 もしかしたら初めてなんじゃないか? 休みだと言いつつ何かしら金稼ぎに走っていたことを考えると、俺は初めて休みを取っているのかもしれないな。 なんだかんだ勝ち取った休みは貴重だ。しっかり休んで明日からの仕事に備えて……いや、ちゃんと休むか。セルフィも今頃石鹸のついた鍋から石鹸をこすり取って、服を洗っているはずだ。乾かして干して、ちゃんと効果があったのかどうかも確認しなきゃいけないしな。 これは昼ご飯は銀の卵亭で取ることになりそうだ。セルフィが楽しそうに石鹸で遊んでいるだろう光景を瞼の裏に想像しながら銀の卵亭に帰ると、大体予想通りの光景が目に入ってきた。 それほど泡立ちはしてないものの、白い泡に包まれた、綿のパンツと普段は血まみれにしている服をあわあわしているセルフィの姿を見れた。 鍋に付着した余りだからどれだけでも使えるとはいえ、ちょっと泡立てすぎな気もするが、しっかりと洗濯板で洗いながら楽しそうに血の汚れを落としている。「順調か? 」「おかえりなさい。順調ですよ。綺麗になってますよ、ほら」 まず自分の服で試したらしいが、今朝までは返り血で少し汚れていた綿の帽子と冒険活動用の服が、綺麗に汚れが落とされていた。光り輝く……というほどまでではないが、綺麗に落ちていると納得できるぐらいに綺麗になっていた。 本当にきれいにすすぎが出来ているかどうか確認するために水で洗って確かめるも、ひたすら石鹸を使ってる割にきちんと泡を落とし、石鹸も綺麗に落とされていた。「お、ちゃんとすすいである。えらい」「戦ってる間に泡だらけになっても困りますからね。ちゃんと必要な分しか石鹸は使っていません」 たしかに。戦闘が始まって汗をかき始めたら汗で石鹸が泡立っても困るし、それが原因で肌荒
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第126話:午後の暇つぶし

 午前中を実験と洗濯に使って、お昼ご飯の前に残りの石鹸で手をピカピカに洗って、おそらく半径100メートルの中では一番きれいな生物であると言っても過言ではないぐらいにすると、綺麗な手のまま昼食を取り始める。いつもの白パンセットだが、昼の白パンセットはきちんと肉がつくのでお腹にたまる。「さて、午後からはどうするかな……洗濯物を完全に乾かしたら、のんびり昼寝でもするか」「たまにはいいですねえ。というか、まじめに休んでくれるのは初めてなんじゃないですか? 」「そうかもな。今日ほど金にも仕事にも関わらないのは珍しい。まあ、休みでこっちに来てるんだからちゃんと休めってことなんだろう。今日はしっかりとさぼるぞ……さぼれるかな」 今までひたすら走ってきたようなものだからな。突然止まって休んで、心臓に逆に負担がかかってしまったりはしないだろうか。たった半日のことだが、本当に暇つぶしができるかどうか不安だな。「ご主人様は止まると死んでしまう生き物なのですか? 」 セルフィがとんでもないことを言い出すが、割とそんな感じかもしれない。でも、24時間働いてないとダメというわけでもないので、ある程度は休んだりしているし、こっちに来てからは夜の間はすぐに寝るようになった。 夜明けとともに起き、日が暮れると共に寝る、という現代人ではちょっとあり得ない生活を続けてきているところなのだから、実際は体への負荷は軽くなっているはずなんだがな。「そんなことはないと思うぞ。実際、向こうで生活してた頃は今よりももっと遅くまで働いていたし、それに比べれば今の生活は向こうよりもゆっくりしていると言えなくもない。そうだな……午後からはもっと町のことが知りたいな。このボコマズの街に関する文献や周辺の様子がわかるような本があればそれを探しに行くか。冒険者ギルド以外にそういう本や知識が置いてあるところはあるんだろうか」「それも面白そうですね。もしかしたら何か新しい発見や行ったことのない場所を散歩するのもいいかもしれません」 それに、本当にこの街の近くでガラス工芸ができないのか、
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第127話:ガラス職人がいない理由

 引き続き街の周辺について書物を調べる。「なあセルフィ、今日は何年の何月何日だ? 正確でなくてもいいので日付を知りたい」「今日は728年の4の月の23日ですね。物を知らないご主人様についでで言うと、一月は30日で十日ごとに区切り日と言います。それと、だいたい1の月から3の月が寒い時期です」「なるほど、つまり二日後にはマヨの代金が支払われるということだな。ありがとう」 明後日の収入が楽しみになったのはさておき、今は春先っていうことなのかな。道理で日ごろ温かく過ごしやすいわけだ。一応この地域で、というかこの世界で、一年を過ごすことはできるってことだな。もしかしたら雨季と乾季があって春夏秋冬ではないかもしれないが、それはまた別の話だ。 さて、採石場の話だが、この街の壁を適当に焼いてガラス質の石であるかどうかを確認するのは怒られるので、地面から遠ざけてあまり熱が伝導しないような環境を作って、その中で石を焼いて、ガラス化するかどうかを確認する作業が先だな。 もし石がガラス加工に向かないような石だった場合は諦めるしかないが、それでも砕いてセメントに混ぜ込むことでコンクリートの材料にはできる。そこを含めて修正案として話を出し直すのはありだろう。 鍛冶屋ならるつぼもあるだろうし、ギド親方に頼んだら貸してくれるかもしれない。この地方でもガラス産業を勃興させるための第一歩になる。そんな可能性もはらんでいるが、陶器職人のギルドからは仕事を奪われると非難される可能性もあるか。 ともかく、ここでガラス産業が育たないのは何かしらの理由あってのはずなのだから、それをまず探しに行くか。もしかしたらガラス質、つまりケイ素を含まない石の材質なのかもしれないしな。地球上ではそういう石は珍しい部類に入るが、こっちでも同じとは限らない。 ガラス産業が発展しない他の理由があるかもしれないし、もしかしたら鍛冶職人が優先的に炭などの燃料を優先して使うために存在しない、という可能性もあるのだから、複合的要因でガラス工房が存在しないという話にもなるだろう。 後は……っと、原因らしき文献を見つけたぞ。ガラス職人は他の町に集中して
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第128話:西門の外へ

 酒を買ったことを思い出しながら、西門方面へ向かう。ここから南に抜けていく道は治安が悪いのだったな。さすがに武器を持ってなきゃ即座に襲われる、というほどではないだろうが、若干のすえた匂いと華やかな香りが重なり、何ともいえない奇妙な雰囲気を残す。 歓楽街なんだろうな、という感想がまず出た。良くも悪くも、治安がそれなりの場所にある居酒屋兼食事処は別として、表向きに扱えない酒とか薬とか、そういうものは存在するには存在するんだろう。そして、それを取り扱う専門の業者……この際、犯罪者と断定してもいい。 そういう人たちもこの奥に住まいをもって、人知れずかそこそこ知れてか、存在するはずだ。マフィア的なものもあるかもしれない。もしかしたら闇マヨの製造なんかも行われているかもしれない。 闇マヨ……なんか黒ゴマとか混ざってそうで健康に良さそうだな。ゴママヨという調味料も存在するのだし、鍋のベースに仕込んでしまっても美味しい一品だ。ゴマがあればの話だが、手に入る機会があれば焙煎してマヨと混ぜ込んで、セルフィと食べよう。きっと喜ぶはずだ。 そのまま南側に注意をむけつつ、東西南北に走るわかりやすい道をまっすぐ西へ。西門向けの道は、他の道に比べてちょっと広い。その代わりに、北門と東門に向かう道のほうが綺麗に均されている。 おそらく、西門は石材を運ぶ分だけのルートが広くとられていて、北方面と東方面は役所がある都合もあるのだろうが、綺麗な街並みというのを意識されているかのようだ。 それだけの回数重いものを移動させてきたかのように、石畳でできている地面の凹凸や傷み方も、他の門へつながる道に比べると、やはり激しい。西門から石を切り出し、それぞれの方面へ運び出し、そして建材や舗装路として使うのが常となっているのだろう。 それだけ、西門の先にある採石場は派手にやっている可能性が高い。それだけ大規模な採石場なら、きっと粉も派手に舞い散っているだろうし、採掘する際に出る砂も売るほどあるだろう。実際、売っている可能性はあるな。 もしケイ素を多く含む質のいい砂が産出するなら、それをガラスを取り扱うビランザの町へ販売する道もある
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第129話:ガラスができるかどうか

 セルフィの魔法で解決できないか? という意見。魔法か……そういえば、魔法で使ってない魔法がいくつもある。その中で色々試してみるか。 例えば土魔法。土魔法で土台を作って、できるだけ地面に熱が伝わらないように台座を作ったり……もうちょっとひねって、るつぼみたいに熱を外に逃がさないような構造の土を作り出せたら効率よく熱を吸収させて、砂を熱しきることができるかもしれない。 試しに作ってみるか……空気を間に挟ませて、二重底みたいにした容器を作り、上側だけでほんのちょっとくっつくような、そんな円形のお手製魔法るつぼを土魔法で作った。 これなら、空気で断熱できる分だけ中に入れた砂を効率的に熱して溶かしていくことができるだろう。後は火魔法の火力をどこまで上げていけるかだけだろう。火魔法のレベルは5ぐらいあるはずなので、それなりに火力を強くはできるはずだ。集中した場所にどれだけの温度にまで高めるところができるか、だな。 るつぼの中に砂を詰め込み、余裕がある中に火魔法をしっかりと注ぎ込む。熱された砂が赤熱し、段々赤くなっていく。セルフィはそれを上からのぞき込むような形で見ている。「あまり近くで見ると熱いし、あまり目にもよくないぞ」「そうなのですね。でも気になります。砂を熱くするとどうなるのか、観察したいです」「ほどほどにな」 砂をそのまま熱し続けて、温度をグングン上げていく。しっかりと砂全体が熱されて赤からオレンジを通り越して黄色くなり、やがて火魔法が当たっている中心温度が上がり始めたのか、白くなり始めた。 白くなったら何度だったかな……目標温度まではもう少しってところか。段々砂も粒が溶け始め、段々滑らかになっていく。やがて徐々に白を通り越して青くなっていく炎に、完全に溶けて砂っぽさはなくなっていき、青い流動体となった。実験としてはこれで成功か。 後は……どうやって温度を下げよう。急激に下げると割れてばらばらに砕け散ってセルフィがやけどをするかもしれない。これは…&he
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第130話:暇つぶしの続き

 さて、帰ってやることが決まった。散歩はしたし、ここからどうやって水を引いてくるかはともかくとして、距離感はつかめた。後は、川からボコマズまで、平坦であるかそうでないか……というのを確認するぐらいかな。 川に向かってアイテムボックスから手に握り込める程度の大きさのガラス片を捨てて、証拠隠滅をする。もしかしたら工事の時にこんなものが出てきた……と話題になるかもしれないが、誰がどんな理由でこれを作ったのか、そもそも自然生成物なのかは物ができた記憶を写し取らない限りは無理だろう。 そんな魔法があれば別だろうが、あったとしても何のために行ったのかまではわからないはず。ぽちゃんという音にセルフィが反応しそっちを向いたが、もう一つ地面から石を拾って川に向かって投げ込むと、セルフィが納得するように振り返ることもやめた。これで、よしだな。 最短ルートでボコマズの城壁周りまで歩いて帰ってくる。道中は襲われることもなく、石切り場の少し北側を通って帰ってくる平坦ルートだった。これなら工事にも問題ないだろう。むしろ、ここまで考えて川から水を引こう、という話になった可能性すらある。 川から今更水を引こうという話になってるのだから、今までは井戸を掘ってその水で足りたが、今後の発展を考えるとそれでは少ない、と考えたのだろうな。「結構近かったですね。でも、工事には時間がかかるでしょうし、何か短縮する方法はあるのでしょうか? それこそさっきご主人様が使ったみたいに、土魔法を使って地面を掘るですとか、そういうやり方ですぐにできたりしないんですかね」 セルフィが魔法さえ使えれば簡単やん? みたいに気軽に言ってきてくれている。「そもそも、土魔法で土木工事をやり慣れた人物がいなくては話にならないし、その後どうするかも考えなきゃいけないからな。例えば地面を掘った土はどうするか、とか、地面には勾配……緩やかに坂道を作りながら水路を作らなきゃいけないが、それをだれが計算して、どうやって測るのか、とか考えることはいっぱいあるんだぞ」「そうなのですね。なんかどーん、じゃーん! みたいにできないのですか」
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