20XX年、国会にて通称、有休強制消化法案が成立した。これまでは買取か消滅で有給休暇を取らずにごまかしていた企業、機関、特別公務員、研究職も含めて、すべての人々はこれまで見逃されていた残業規制の壁や法的前提を取っ払われた。 その結果、すべての代休や残業時間分を有給休暇に換算され、その有給休暇を強制的に消化させられることになった。残業手当こそ出なくなったものの、残業にかかった時間の二割五分増しの時間を有給休暇として付与する義務が生じた。これにより、カラ残業を行う労働者が激減したため企業の負担も若干減るところがあった。 それに伴い、これまで有給休暇を消化させたフリをしていた会社などが一斉に検挙され、厚生労働省を筆頭にかなりの数の機関や法人がメディアに取り上げられ、世の人々はこれが労働層に対する社会のアプローチの形として歓迎される運びとなった。 世間は労働者不足で嘆いている中でこのような法案を通すのはいかがなものか、という企業側からの圧力もあったが、労働者が不足しているからこそ手厚いケアが必要であり、労働者への適切な支援により、長持ちするのは機械も人間も同じである、という労働者擁護の意識が出始めた。 ちなみにこの法案は特別公務員にも適用されたため、質問通告を待って深夜まで待機している官僚もいなくなり、一部野党では質問ができなくなった結果適切な国会運用ができるようになったという体感もあったため、官僚側からの感想もなかなかいい法案を通してくれた、ということが伝わってくることになった。 さて、ここで一つ問題が生じることになる。有休をどうやって消化させるのか? という点である。有休である以上好きな時に好きなタイミングで取ることができるため、有休の上限であった40日をはるかに超える長さの有休のため込みが法的に許可され、人々はこれまで残業時間で鎖の長さを自慢していたが、今後はそれが有給日数に変わっただけではないのか? という疑問点が湧くのだろう。 しかし残業日数は適切に処理していくべし、とのお達しにより、一年分溜めてまとめて旅行に行くであるとか、高級列車で回る国内一周旅行や海外旅行、世界一周旅行などに有給休暇を使い始めるものもあらわれ、世の中は「いかにして質の良い有休を消化するのか? 」というのがトレンドになった。 巷には有休を効率的に利用するための施設や有休ファイ
Last Updated : 2026-04-14 Read more