All Chapters of 有給休暇は異世界で: Chapter 91 - Chapter 100

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第91話:夜の銀の卵亭

 席に着き、食事を待ってる間に、他の客の様子を見る。食事を早々と切り上げて、さっそくリバーシに興じているテーブルを見つける。そして、今日からリバーシが三台に増えたことに驚きを隠せないまま、さっそくやろうとする人でごった返していた。「誰か、一勝負やらないか、俺に勝てたら飯代はおごりでいいぜ! 」「乗った、俺はなかなか強いぞ? 」 早速、飯代をかけてギャンブルに興じる人がいる。ここまでは予想済み。これ以上の金額でギャンブルに走ったりしないかを監視しないといけないところだな。飯代ぐらいなら現世でも賭博罪には該当しないはずだ。その範囲で済んでるうちはまだ大丈夫だろう。 そもそも、賭博罪があるかどうかも分かんないな。あまり高額な賭博が行われている、ということでしょっ引かれたりしたら問題だが、その前に店である程度ブレーキをかけてやる必要があるだろうな。「よし、勝った! 」 ゆっくり食事をしながら周りの音を聞いていると、さっきの二人組の勝敗が決まったらしい。どうやら賭けを提示したほうが勝ったらしい。宣言通り腕前はなかなかの様子だ。「どこで負けたんだ? 途中までは勝ってたのに」「ここでこう置いただろ? それがトラップだったんだよ。そっちにおいてくれたら一杯取れそうと思って、そこに置いてくれたおかげで俺はここの手でこう取り返して……そうなると、外側にコマを置けるようになったから、ほら、こうなった」 勝ったほうが負けたほうに指南している。テレビの解説で将棋の解説をしてる場面を思い出す。「なるほど……そこまで前の手を見越して指してたのか。お前すげえな」「伊達にそれで飯食ってないからな。さ、今日の飯代もおごりだったぜ」「その強さならしばらく夕食代はタダで食えそうだな。より強いやつに倒されることを願ってるよ」「おう、期待しておいてくれ」 勝負師同士の熱い対戦が終わり、両者満足してそのまま部屋へ帰るか、自宅へ戻っていった。きっと、明日も夕食を賭けての熱いバトルが展開されるのだろう。彼の連勝記録はどこで止まるのか。
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第92話:今日は何をしようかな

 今日もぎらついた視線を太陽から受け、目を覚ます。昨日一日しっかり休んだおかげで、今日は体調もすっかり良好だ。セルフィも今日は寝床でうぞうぞせずにすっきりと起きている。「おはよう、今日の寝起きは良さそうだな」「おはようございます。なんだか今日はばっちり目が覚めましたね。いつもより頑張れるかもしれません」 機嫌もいいようだ。やはり、休みを適度に取るのは大事だな。今日もしっかり仕事していこう。いつも通り身支度と洗濯を終えて、朝食を取りに行く。昨日は早めに寝たが、終わりはどのぐらいで済んだんだろう。リンカちゃんに確認しておこう。「おはようリンカちゃん、昨日は早く眠れたかな? 」「おはようございますタカナシさん。おかげさまで長く眠れましたよ。やはりリバーシの盤面がいっぱいあるといいですね。今後はリバーシをプレイしてもらうための食事も用意するのは悪くないと、お父さんも言ってましたね」「それなら、パンに食べ物を挟んで、片手でプレイしながら食べられるようにするといいんじゃないかな。サンドイッチ形式というんだが、遊びを楽しみながら食事を楽しむための食事の提供の仕方になる」「普段タカナシさんたちに提供してるお弁当と同じ感じですか。そんな名前がついてたんですね。今日も要りますか? 」「ぜひお願いする。名前は……まあ、いいとして、昼間の営業もするならそういう食事やおやつを提供して、リバーシ用のプレイスペースとして営業するのもありだな。ただ、休みがなくて忙しいし、昼食と夕食の仕込みの時間が短くなるから、時間的に厳しくなるとは思うからよく考えてからやるべきかな」「そうですね……考えておきます。宿屋じゃなくてそういうお店を新たに開く、となったらまた考えることにします。考えるのは私じゃなくてお父さんですが」 ワンドリンクならぬ、ワンプレート形式のリバーシスペースか。そこにたどり着くまでが結構早かったな。 ここ以外にリバーシの盤面を複数枚買い取り続けて、数がそろったところで同じようにプレイングスペースを開く、という流れはあるかもしれないとは思っていたが、最初の店で
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第93話:再び薬草採集

 食事を終えていつもの装備に着替える。今日は血なまぐさいことをするかどうかはわからないが、とりあえずいつもの装備をそろえて冒険者ギルドへ向かう。いざ向かってみて、やっぱり戦闘用の装備が必要になったとかなら二度手間になるからな。 最悪装備が要らないとなったら全部アイテムボックスにしまっておけばいい。アイテムボックス便利。セルフィの分の装備も預かってしまえばお互い身軽に動けることになる。 リンカちゃんからお弁当を受け取り、いつも通り冒険者ギルドへ向かうと受付で確認する。「人手が足りていない仕事をやろうと思うんですが、どんな仕事が今人手が必要になってますか? 」「そうですね……とりあえず活性化したダンジョンのほうには相当数の冒険者の皆様が向かってますので、そちらに人数が割り振られている分、食肉や薬草採取なんかの、常設依頼のほうには、あまり人手が回っていないのが現状ですね」 常設依頼か……そういえばどんなものがあるのかを含めて、じっくり眺めたことはないな。少し見てみるか。 常設依頼の掲示板を見る。やはりモンスター退治、薬草採取、食肉集めの三種の神器ともいうべきこちらの依頼にはそれほど人手が出ている様子はないらしい。でも肉は先日結構集めたからな。 いくら都市の規模を考えても賄いきれるほどの量を納めたとは言いがたいものの、食肉ばかりではこっちも飽きる。ここは一つ、初日にもやった薬草採取をやってみるか。「よし、今日は薬草採取をやろう。鍛冶屋で移植ごてを扱ってないかどうか見て、扱ってたらそれを買って便利に根から保護していくぞ」「移植ごて……また新しい単語が出てきましたね。それはどんなものですか」 セルフィに移植ごてと言っても通じないらしい。身振り手振りでどういうものでどういう用途に使うのかを説明する。「ああ、シャベルのことですか」 どうやら、シャベルで通じるらしい。他の地域へ行ったら物の大小で名前が入れ替わったりしないよな? まあ、しばらく他の地域に行く可能性は低いので大丈夫だろう。 受付
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第94話:リベンジ

 午前中を目いっぱい使って、ひたすら薬草集めをする。午後も薬草集めの予定だが、昼食のサンドイッチを食べながら、午前の分量を広げて、セルフィの取った薬草の一本一本判別して雑草を省きつつ、改めて束にしていく。「結構頑張って薬草ばかり抜いていたと思うのですが」「十分頑張ったほうだと思うぞ。7割から8割ぐらいはホルム草やハププ草だ。一部は雑草も混じってるが、このぐらいなら十分許容範囲だと思う」「じゃあなんで仕分け直してるんですか? そこまで詳細な鑑定はしなくても向こうでやってくれると思うんですが」「そりゃ、ギルドの手間を省かせるためでしょ。俺は鑑定で間違いなくホルム草やハププ草だと見分けられるんだから、大量にガバッとセルフィに取ってきてもらって、仕分けしてお渡しするだけでお賃金が得られるんだから、少ない程度の面倒は受け入れるってもんだ」 実際、ギルドではどうやって普通の草と薬草の見分けをつけているのか、まではわからない。俺みたいに鑑定もちの職員が仕分けているのかもしれないし、薬草鑑定士、みたいなより限定された職員がその仕事を任されているのかもしれない。 何にせよ、これが薬草でこれが薬草じゃない、とそれぞれわかってる限り、俺の性格上混ぜ込んでごまかすことはできないってことだな。どうせばらばらにされて組みなおされて新しく束を作り直されて、その作り直しの時間で、もう何束分か薬草を入手することができるはずだったとか。 そういう時間が出てくるならここで多少時間と手間がかかっても、きっちり仕分けしておくほうが、関わるみんなにとって無駄がなくなってよいことだ。俺の手間でみんなが得をするのは悪くない。 ホルム草とハププ草からそれ以外の草を完全に分けて、束にし直すと、ホルム草が37束、ハププ草が18束できた。それにテルミ草が8束出来上がっているので……全部買い取ってもらうとしても、午前の分だけで銀貨7枚分は堅いな。 それに加えてホーンラビットの血抜きした奴が10匹あるから、さらに銅貨50枚。今日はなかなかにいい収穫をしている。一日めいっぱい使えばまた銀貨10枚分稼げるのは確実だな。 これでまた、いつで
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第95話:三日月草

 午後からも引き続き薬草を集めていく……が、やはり予想通り、ミニボアと薬草の取り合いになった。しかし、ミニボアも集団で一気に薬草の群生地を荒らしに来ているというわけではないようだ。 群生地に引きよせられるように一匹、また一匹と、ホルム草を掘り返すのに夢中になってる間にこっそり近づいて倒す、というミニボアを暗殺するような形で一匹ずつ倒している。 食後すぐの一件以来、ワイルドボアがまた出てくるという状態にはなっていないが、いつ出てきてもいいように注意はしている。ミニボアはともかく、ワイルドボアは足音の振動でわかる。 ミニボアの足音も分かるようになればいいのになあとは思っているが、そこまで大きいモンスターではないのでなかなか難しいというか、俺の過敏さではミニボアは判断できない。が、セルフィは判断できるらしい。「次、また来ますよ。やっておきますか? 」「対応よろしく……血抜きはこっちでやるから」「はい」 セルフィがミニボアを倒して、ミニボアの血抜きはこっちでやっておく。流れた血が薬草にかからないように注意しつつ、ミニボアの血でさらにミニボアが寄ってこないようにはしているものの、やはり血だまりはできてしまうことになる。 かといって移植ごて程度の大きさでは、血抜きした血を溜めておく穴を掘るのも一苦労だ。そのための穴を掘っておいても……結局あふれてしまうし、それならと思って垂れ流しにするのだが。 その血の匂いをたどってミニボアがまた一匹、また一匹とぽつぽつと出てくるので、そのたびにセルフィと倒して血抜きを繰り返す。 ◇◆◇◆◇◆◇ 段々、薬草を集めるよりもミニボアの相手をしている時間のほうが長くなりつつあるころ、日が傾き始めた。「そろそろ帰るか……途中からミニボアとホルム草の取り合いになったのはちょっと想定外ではあるが。まあ、ワイルドボアも二匹ほどさらに相手することになったし、その分収入になったと思えばいいか」 ワイルドボアはあの後、さらに二匹引っ掛かってきた
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第96話:ヤマナリパンからの相談

 解体所の解体結果書と薬草の鑑定結果書をもって冒険者ギルドのカウンターにようやくたどり着き、書類を渡して本日の仕事の結果を受け取る。大銀貨3枚と銀貨1枚、それに大銅貨2枚での支払いを受け取った。 どうやら、合計で銅貨換算で3120枚分の仕事をした、ということになるらしい。ガルキン狩りまわった時の二倍ほどの金額になったか。薬草採取も結構儲かるんだな。「おかげで助かりました。薬草が少し心もとない状態だったんです、また足りなくなった時によろしくお願いしますね」 薬草採取でも鑑定の力を使えばかなり儲けることができると自信がついたな。薬草採取のスペシャリストとして名を馳せる未来もあるかもしれない。鑑定のおかげとは言わなければ問題はないだろう。「今日は儲かりましたね! 」「ああ、そうだな。ワイルドボアも倒せたし、段々と力をつけてきてこれたという自信もついた。あと二つもレベルが上がれば一人でもワイルドボアを倒せそうな気すらしてきた。この調子で頑張っていくか」 セルフィと軽く話しながら帰り道につき、銀の卵亭にたどり着いたところで早めに湯をもらっておく。メリーさんからは「今日はゆっくりだったねえ」と言われてしまった。 確かにいつもはもうちょっと早いし、できるだけメリーさんの都合に合わせて帰ってきているからな。その分今日は珍しく感じたんだろう。 今日は薬草採取の割に収入が多かったのと、冒険者ギルドでの鑑定に時間がかかったからだと言い訳をしておいて、そのままお湯をもらって部屋に戻る。 血まみれ……というほどではないが、ミニボアの返り血が程よく付いた服を水魔法で軽く濡らして軽く濡らして、こすり落とす程度にしておく。明日でもいいかな……朝にでもしっかり綺麗にして、乾かしてしまえば良いか。よし、明日明日。とりあえず今は体の汚れを落とすのが先だ。 ほぼ全裸になり全身をごしごしとこすりながら汗を落としていく。途中からセルフィに背中を拭いてもらい、お礼に背中を拭き返してやる。いつもの作業を終えたところで、着替えて食堂へ下りる。すると、親父さんから声がかかる。「タカナ
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第97話:ヤマナリさん

 翌日、さっそく朝の儀式を終えた後、食事をとり、その後、親父さんがパンを買いに行くついでにヤマナリパンを訪れた。道中で新しくできたというパン屋にも立ち寄り、朝食ついでに一つパンを買ってみた。 どうやら新規開店した分だけ新しい釜で焼いているらしく、古い小麦の匂いの染みついていないパンと小麦をしっかりと使った柔らかいパン、そして、小麦を混ぜ込んだ、真っ黒ではない黒パンも人気のようだった。 値段はヤマナリパンに合わせてきているようで、どうやら小麦の自前の入手ルートがあるらしい、ということまではわかってきた。市場で小麦を仕入れていてはこの値段で出すことはできないし、新しい釜だからこそ燃料費も節約できて、トータルで割安の料金に仕上げることができているのだろう。「これはなかなか強敵だなあ。ふんわりしてて美味しいし、ヤマナリパンには普通にやってちゃ勝ち目ないかも」「たしかに、出来立てとはいえ、美味しいですもんね」「二人とも、まさかたどり着いて無理だから店を畳みましょう、なんて店主に伝えるつもりじゃないだろうな」 親父さんとセルフィと三人で買い食いをしながらヤマナリパンに向かう。親父さんも味については確かにヤマナリパンよりも美味しい……と心のどこかでは認めているらしく、心配そうにむしゃむしゃと白パンを食べていた。「まあ、ダメで元々……というところもありますし、俺の知識でだめでも、何人か集まればいい案が出るかもしれませんからね。せいぜいあがいてみますよ」 ヤマナリパンまでに買い食いを終わらせて、親父さんはいつも通り仕入れの分だけパンを買うと、帰っていった。俺とセルフィはヤマナリパンの店主の仕事が終わるまで、しばしヤマナリパンの売れ行きを見ていく。 どうやら常連であるとか、普通に世間話をして帰っていくような立場の人々は買い物に来ているので、完全に閑古鳥が鳴いている、という状態ではないようだ。 しばらくして店が一段落したのか、店主が出てきた。「どうも、お待たせしました。次のパンの仕込みが終わって一区切りついたので、今のうちにいろいろ回っていこうかと思いま
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第98話:ボーンチャイナの再現方法

「いくつか確認しておきたいことがあります。白い皿が作れないのは土がないから、つまり白く焼くための原料が手に入らないから、ということでいいんですね? 」 適当に開いている椅子に座って、お互い話し合いをはじめる。お茶も何も出てこないが、そういうものをもらいに来たわけでもないので気にせずにおく。ちなみにセルフィは奴隷の身分で自分も座るわけには……と、立ったままだ。「そうだ、白く焼くための土が近くで取れるならその限りじゃないが、この辺ではそこの水差しみたいな碧を出すのが精いっぱい。それ以上白っぽいものとなると釉薬を使うしかないわけだが、白と言っても若干黄色味を帯びてしまう。なかなか作り出せるものじゃないし、運よくうまく行っても作れる枚数を考えたらかなりお高いものになってしまう」「ちなみに、その白の皿を一枚作るにはいくらぐらいかかるとお考えで? 」「そうだなあ……銀貨二枚ぐらいはいっちまうかなあ。ヤマナリさんところで利益をちゃんと確保しつつ、銀貨二枚のおまけをつけるにはパンを何個売れば元が取れそうなんだ? 」「うーん……一年? とてもじゃないがその間待っててくれというには値段も時間もかかりすぎる。その間につぶれてしまうのが関の山だと思う。もっと短期間で収益を上げられて、安くお皿を作る方法があればその限りじゃない。もしくは、その一年に見合うだけの高品質なものである必要があるね」 高品質か、低価格か。どっちを実現するか、というところなのかははっきりしているが、高品質過ぎてもいけないというのはわかる。つまりそれなりにお安くできなければいけないということだな。「骨って、安ければいくらで買えますか? この際牛ではなくてもイノシシ……ミニボアでもいいです」「骨なら……ゴミ捨て場に行けばいくらでもあるんじゃねえかな。何に使うんだそんなもん」 ということは、この世界には豚骨料理もないんだな。もしくは、出汁として知らないうちに使ってしまっているか、というあたりか。これならいけそうだな。「骨を焼
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第99話:純粋な骨作り

 ヤークトさんは、一足先に店に戻っていった。次のパンを焼く時間までに戻らないといけないそうだ。そんなわけで、デクレール親方のところへ置いていかれた俺とセルフィ。 デクレール親方は土の準備をしに行ったらしく、工房の販売スペースに置いていかれることになった。さっきと同じく、親方や徒弟の作品をいろいろと見回す。陶器のベースの色は土地の土の材質で変わるんだったな。「これだけ詰め込め! 異世界に行ったときにチートできる知識100選」の中にも、強化ガラスの作り方やボーンチャイナの作り方についてのネタがあったので俺の頭の中にもしっかりインストールされている。 本当はガラス職人がいれば、確実に白いパン皿を作ることができたのだろうが、先日街巡りついでに調べたところ、どうやらこのあたりにはガラスの材料である石英の砂や珪砂の類のものが産出しないらしい。 本来ならガラスを高温で形状を決めた後、再度熱したあと、冷気で急冷して強化ガラス化することにより、白いパン皿のような強度と、内部で光を乱反射して美しい白さを保つのだが……この地域でガラス工芸を勃興させるのは難しそうである。 その点で言えば、もうオッサラー商法はある意味破綻しているのだが、ボーンチャイナをいかに安く作らせるかと、その希少性をパン屋のおまけでそれを入手できる、という面白さを少し観察してみたいといういたずら心もある。人は欲しいもののためにどこまで日常の延長戦を戦い続けるのか。 白磁は土に含まれる鉄分が少なければ少ないほど白くなるらしいが、この辺の土は……緑になるかならないか、程度には鉄分が少なめではあるらしい。惜しい、というところだろう。 ここに焼いた動物の骨の骨灰に含まれるリン酸カルシウムを混ぜ込むことによって乳白色の温かみある色合いと、陶器よりも高い強度が得られることになる。「本当にうまく行くんですかね……? 白いお皿なんて高級品ですよ? 」「やはりこの辺でも白いお皿は高級品になるのか」 セルフィに一応尋ねてみる。もしかすると知っているかもしれないから、できる限りの知識吸収はしてお
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第100話:豚骨スープの発明

 骨を煮込んで2時間ほど経過した。最初に強火で茹でこぼしてアクを取ったおかげで、この後味付けをしてスープとして楽しめるようにはできるはずだ。 激うま豚骨スープとまではいかないだろうが、しっかりとゼラチン質と豚骨の中の成分、骨髄のコラーゲンや脂が乳化して白濁化してクリーミーな味わいを生むはずだ。 油の甘みやアミノ酸の栄養価と、豚の味わいをしっかり感じられるうまいスープになる。後で味わってもらうのは悪くないだろうな。 途中から炭がもったいないな……とデクレール親方がぼやき始めたので、俺の火魔法で鍋を温め始める。休みだが、今日は火魔法トレーニングということで火魔法を鍛え始める。 水魔法も使ってそこそこの感じでスープの濃さを調節して、しっかり煮込んで後で仕事をした後の一杯として美味しくいただくことにしよう。豚骨ラーメンは食べられないが、スープだけでも濃ゆい、臭いところをしっかり飲んでおくのも悪くない。 ネギとショウガは朝市にも並んでいたので、臭み消しに一緒に煮込めば美味しい豚骨スープを作ることも難しくはない、というのがなかなかにいい所ではある。 ラーメンをこっちの世界でも流行らせる……レシピを売るのはマヨに続いて二件目になるか。これも商業ギルドの販路とつながりをもとに開発すれば、流行りにできるかもしれないな。何せ、ミニボアはあちこちに存在する分だけ豚骨は無限にあるしな。料理店から無料引き取りで骨を引き取ってこれば骨代はタダで回収できる。 後は小麦とかん水から作った麺をうまく作れるかどうか……ここはさすがに知識だけしかないからな。再現するには料理人を雇う必要もあるし時間がかかるだろう。こっちの世界でラーメンを作る……これは異世界チート100選からは番外編として載せられていたが、ラーメンを広めるというのも悪くない。 しばらく火魔法で鍋を熱し続けていると、頭の中でアナウンスが流れ、火魔法がレベル4になった。これでまた長持ちするようになるだろう。 ◇◆◇◆◇◆◇ 鍋を引き続きぐつぐつと煮立たせる。昼の準備と称
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