All Chapters of 有給休暇は異世界で: Chapter 131 - Chapter 140

147 Chapters

第131話:リテイク

 ボコマズに戻って、中央通りの掲示板の前を通り、セルフィにちゃんと話の通りの意見募集の話があった、ということについて証拠を見せる。まだ少しばかり人が残っているが、朝ほどの人ゴミは存在せず、皆が知り尽くして内容を口伝えに広めている頃合いであろうか。 セルフィも一つずつ文字を読んで納得している様子で、一通り読み終わった後、俺のほうを向く。「これがさっき言ってた金一封のお題ですか」「そうなる。金一封がどのぐらいの金額になるかも含めてまだ未定だが、どこまで工事を楽できるか、工事の方法、そして水路建設に使う素材の調達なんかも意見書に含めて書き込んで第一稿は出した。追加でさっき調べてきたことについて書いて、それを二つ目の文章としてもう一通送れば終わりかな」「面倒くさそうです」「まあな。でも、頭を使うだけでお金がもらえるかもしれない、と思えば悪くないだろ? 」「それは……そうかもしれませんね。マヨにしても、実際にご主人様が体を動かして作らなくてもお金を稼いでいますし、頭を使ってお金を稼ぐのも悪くないかもしれません」 セルフィも頭脳労働の大切さがわかってきたらしい。その調子で俺が普段考えてることを少しずつ移し始めて、いずれは腕っぷしも頭脳でもそこそこできる子として鍛えてから俺の元から旅立ってほしいものだ。 納得してもらったところで、銀の卵亭に戻ってメリーさんと顔を合わせる。「あ、タカナシさん、いない間にお客さん来てたわよ」 わざわざ俺を訪ねてくる理由が何かあって来た……思い当たるフシはないわけではない。あるとしたら、デクレール親方かヤークトさん、どちらにしろヤマナリパン関係の話か。商業ギルドからの使いだったら二日後のはずだしな。「ちなみに誰が来てたんですか? 」「デクレール親方の使いだって徒弟さんが来てたわ。帰ってきたら、試作品が出来上がったから一度見に来てほしいって話らしいわよ」 試作品……ってことは、なんちゃってボーンチャイナ焼き上がったか。出来上がりがどのぐらい白いオッサラーなのかは
Read more

第132話:白い? 皿

 再びセルフィとお出かけ。今日はお出かけが多い。せっかくの休みなのにゆっくりしていない、と誰かに言われそうではあるが、唯一それを言いそうなセルフィも、直接的な金稼ぎなら仕事ではないんじゃないか、というスタンスを取っているらしい。 それに、俺とお出かけして街のいろんなところに行くのが楽しいらしく、そもそも俺もセルフィも同じぐらいしか街の中を巡ったことがないので、これから行く役所も初めてのことらしい。 まあ、役人でもないのに役所にそうそう用事のある一般人もいないからな。なにより、奴隷身分であるセルフィがそもそも用事がある、という状況にはいない。 かくいう俺も外様の身、この懸賞問題的な話がなければ、役所には一度も用事がないまま異世界生活を終えるところだったかもしれない。そう思えばいい機会でもある。 早速セルフィと北東部の役所へ行き、ちょっと小高い見晴らしのいいところにある役所に入って、午前中にもお世話になった箱に向けて二つ目の文章を放り込む。さて、当たりますように、とパンパンと手を叩くと、役所の中に入らずに外で待っていたセルフィと合流しようと役所の表へ戻る。 どうやら、奴隷の身分で役所に入る、ということに抵抗があったらしい。気にしなくても、奴隷入場禁止とは書いてないのだし、誰かの付き添いや荷物持ちで奴隷を使うこともあるのだろうから、普通に入ることはできるとは思うのだが。 セルフィのところに戻ると、彼女は高台になっている役所の眺めを満喫していた。「珍しいか? 高い所からの眺めは」 セルフィにそっと声をかける。「はい、珍しいです。街が見渡せるところに役所があるのですね。わかりやすくていいと思います」 心なしか風まで吹いてきた気がする。高いと言っても30メートルぐらいか。ビルでいうと8階建てぐらいの高さになるか。たしかに、高低差のあまりないこのボコマズでは珍しい眺めになるのかもしれないな。高所恐怖症ならこの高さは恐ろしいという範囲に入るだろう。「銀の卵亭は南東部だから……あっちか。さすがにここからでは見えないか、見づらいかのどっちかだな」「さすがに場所まで
Read more

第133話:いくらするんだ? これ

 ふむ……親方も困ってる感じか。俺も困ってる感じなんだよな。何せ、白磁器のこっちでの相場を知らない。そもそも白磁器というものが存在しているかもわからないところへ、白い美しい商品を生み出すことができた。 ミニボアの骨に鉄分がもし多ければこんなに白い陶器が出来上がることもなかったのだろうが、やはりこちらの世界のモンスター、現世の実在動物とは都合が違ったらしい。本来は牛骨に含まれる鉄分が少ないことから牛骨を使ってのボーンチャイナづくりであった。 しかし、牛を食べるという文化がほとんどないこの街では、一番食べられているのがホーンラビットとミニボア、ワイルドボアであるという流れからこれらの骨を使った。 今回はうまく行ってよかったな、と胸をなでおろすところだ。もしかしたら白ではなく、緑や黒の食器が出来上がっていたかもしれないんだからな。 そこに特別な品質や高価格帯の商品が出てきても、おかしくはない。ここは、親方が取次ぎしてもらっている商人やひいきにしている取引相手なんかの伝手を頼って金額を決めてしまうのがいいんじゃないだろうか。その辺を突いてみるか。「デクレール親方の取引相手で、こういう新商品に値段をつけてくれる人や、ご贔屓さんで高級品に明るい人なんかはいないんですかね。その人を伝手としていくらの金額をつけて買い取ってくれるかを確かめるのはどうでしょう。その底値でヤークトさんに渡すことにして、ヤークトさんがその金額から何個パンを買ってくれたら皿を渡せることにするかを計算してもらう……そういうことでいかがでしょう」「そういうことなら心当たりは何カ所か。でも、いいのかい? 他に流してそっちでヒットしてしまったら俺の工房も忙しくなるぜ? 」 デクレール親方としては、ヤークトさんのところだけに卸すつもりだったらしい。「そこはこうだ。デクレール親方の工房製の人気の白い皿が、継続的にパンを買うだけでタダで引き換えてもらえるようになる。今流行っている皿がもらえるってことになれば話題になるはず。そういう方向性で話を進めたらどうだろう」「なるほど、そういう注目を集める方法があるか。なら、話はそ
Read more

第134話:相談を終えて

「ともかく、新しい技術としてこういうものがある、という提供はしてもらったが……これは技術として公開してもいいものなのか? それとも、家の秘伝として隠して作っていくべきものなのか、その辺が知りたいな。もし、この技術を提供する見返りに何かを要求される、という話なら、改めて商談の機会を設けなくちゃいけなくなるんだが」 デクレール親方もこの製法は金になるんだとは思っているらしく、俺がこの製法の検証と実証、そしてこれから作っていくかどうかについて何らかの譲歩を求めると思っているんだろう。「いや、いいですよ、好きに使ってもらって。広めたければ広めてもらって、街全体で陶器職人の競争を激しくしてもらって、一番出来の良い工房がどこになるのかを決めてもらってもいいですし、デクレール親方が作り方を隠して、バレるまでの間に荒稼ぎするのでも構いません。好きに使ってください」「と、いうことはタカナシさん自身はこれで儲けようとは思ってないと考えていいってことか? 」「そうですね……それで納得がいかないって場合は、このマグカップを二つくれればそれでいいってことにしましょうかね。俺とセルフィの分で一つずつ。何かの際に使うことになるかもしれませんし、それで納得しますよ」 そういって、出来上がっているマグカップを一つ手に取り、すりすりとこすってみる。試作品にもかかわらずしっかり作ってある辺り、手を抜くつもりはない、という親方の気概が伝わってくる。「それでいいってなら……まあ、納得するしかないんだろうけどよ。そもそもヤマナリパンを助けるって話からここに行きついたんだったな。だとしたらここで儲けを取るってことは逆に助けることにはならない、ということにもなるか」「それもありますが、デクレール工房の白磁器の初期の試作品が俺の手元に……なんて話になれば、今後デクレール工房の製品に人気が出てきた時に、初期の作品としてプレミアがつくかもしれませんからね。そういう意味でもこれは貴重品です。だから、これをもらっておくことは決して損ではないですよ? 」 アイテムボックスにマグカップ
Read more

第135話:リンスは弱酸性なら大体何でもいい

 セルフィが手伝いをしている間、俺だけが暇をしていてもいいのだが、リバーシの調子を確認するだけではなんだか申し訳ないので、テーブルを拭いたりお皿を確認したり、料理の準備を手伝ったり。 あとはスープをかきまぜたりと、たまには自分がお世話になっている宿のためになることもしようかと考えていろいろやってる間に時間は過ぎ、いつもより早く夕食の準備が出来たらしい。「いやあ、すっかり手伝ってもらっちゃったな。おかげでいつもより準備が手早く済んだ。今日は手伝い賃として白パンセットを確実に出して、料金は黒パンセットの分しか請求しないことにする。それだけ助かったので素直に受け取ってくれるとありがたい」 親父さんのご厚意は素直に受け取っておくことにする。夕方の鐘が鳴る前だが、早々とメリーさんがお湯の準備をし始めたので早速お湯をもらいに行き、セルフィと二人身支度を始める。「今日はいろいろ回ったが、汗らしい汗はかかなかったな」「そうですね。本当に観光って感じでした。たまにはいいですね、こうやって街を回るのも。楽しかったです」「そういえば午前中に観光ガイドを読んでたみたいだが、何かほかに行きたいところがあったりするのか? あれば次回休みの時にまた回ることにしよう」「本当ですか、約束ですよ」 セルフィがとても期限がよさそうに背中を拭いてくれる。力も若干入っているが、うれしさが伝わってくるようだ。「もうちょっと左……そこそこ」「気持ちいいですかー? 」 ついでにかゆい所もこすってもらい、綺麗になった背中を軽く手で触って確認すると、今度は攻守交代だ。セルフィの背中をしっかりと、しかし強すぎないようにこする。「ご主人様、もう少し力を込めても大丈夫ですよ」「そうか、このぐらいか? 」 セルフィの体感を確かめつつ、しっかりと拭き上げてやる。「そんな感じです。とても気持ちがいいです」「そうかそうか。じゃあこのまま続けるぞ」 セルフィの傷一つない背中を綺麗にしてやる。ここまで綺麗な背中だと、奴隷という身分がま
Read more

第136話:強者の正体

 さっぱり綺麗になったところをリンカちゃんに目撃される。「あ、セルフィちゃんなんかいい匂いする。レンモの香りだ」「ご主人様に髪を洗ってもらったんですよ。サラサラですよー。サラサラ」 セルフィが縛ってある髪をフリフリと振って、リンカちゃんに見せつける。「いいなー、髪がサラサラなの。私羊ハーフだからこの通り髪もまっすぐじゃなくて、ごわごわだからあんまり綺麗にならないのよね。何かいい方法ないかな? 」 羊毛はウールだから……最初からリンスで洗えばいいのかな。ちょっとそこまではよくわからない。が、方法はないわけではないだろうから、真剣に相談されたときに答えることにしよう。「リンカちゃん、白パンセット二つね。後、親父さんから聞いてるかもしれないけど」「わかってる、黒パン価格で提供ね。ちょっと待っててね」 席に座り、料理が出てくるのを待つ。自分の髪の香りからレモンのような香りがするのがちょっと似合わない気がしてきて、自分のリンスは要らなかったのではないか? という疑問が生じてきた。まあ、セルフィとおそろいだからいいだろう。後は何日間この髪が続くかだな。 仮に二日に一回でも手入れをするには桶いっぱいの湯では足りないしコストもかかるし、せっかく作った石鹸もすぐになくなってしまう。なんだかんだ材料はすぐに集まるからいいんだが、作る手間が、石鹸のコストに見合わないんだよな。 しばらくして焼きたてで、いつもより多めに焼いてある白パンと、スープと肉のセットが運ばれてきた。いつも通りの食事が、準備を手伝ったことにより今日は銅貨8枚で食べられる。今日の労働は銅貨16枚分、ということにもなるか。早速いただこう。 いつも通りマヨも付いていて、カリッと焼かれたパンの部分にマヨを塗って、肉を挟んで食べるのがまた美味しい。マヨと肉、後はマスタドの実をすりつぶしたソースがあればより美味しさが際立つだろうな。 ただ、ここの食事にそこまでの物を期待するのも難しいので、食べたければ肉の専門店……それこそブタハシュッカテイであるとかトリキシへ行って注文することにな
Read more

第137話:またね、明日ね、

 セルフィがこっちの席へ戻ってくる。勝ち誇った顔で戻ってくると思ったが、思ったより冷静だった。「お疲れ様」「お粗末様です」 軽くねぎらい、こっちと同じく焼き上がりたての白磁のマグカップに水を注いでやる。セルフィは美味しそうにコクコクと飲むと、ふぅ……と息を吐いてコップを机の上に置く。「なかなか強かったですね」「なかなか、か」「なかなかです。あと更に三手先を読まれてたら負けていたかもしれません」 どうやら、俺の見えないところで空中戦が発生していたらしい。そもそも、三手先を読めればリバーシなら十分なんじゃないかと思う俺では、まだまだ届かない領域の話ではあるのだろう。実際、セルフィに勝てたことは一度だってないのだ。もしかしたらこの銀の卵亭でルールを知ってる中では一番弱い可能性まである。「店主、果実水はあるかね」 先ほどの商業ギルド職員が親父さんに果実水があるかどうかを確認している。そんなしゃれたものがこの店にあるとは……「銅貨二枚になるけどいいかい? 」「ああ、それを先ほどのお嬢さんへ。いい勝負だった、ぜひおごらせてほしい」 やだ、紳士だわ……マグカップに水を注いでやった俺とは大違い。というか、果実水なんてあったんだ、銅貨二枚で。泊まり客なのにそれすら知らなかった。「というわけで、おごりで一杯飲めるらしいけど、セルフィちゃん飲む? 」 リンカちゃんが果実水の入ったピッチャーを片手にこっちへやってきて質問する。答えは当然。「飲みます! ごちそうになります! 」「素直な子は大きく育つぞ。俺もいい勝負ができて今日は満足だ。俺の分も果実水を頼む。そしてこれが支払いだ」 果実水を受け取って代金を置くと、セルフィも慌てて自分のコップの水を飲み干した後、注いでもらって飲み始める。どんな果実のしぼり汁なのだろう。俺も注文してみようかしら。「そのコップは……やたら高級なにおいのするコップだが
Read more

第138話:ワイルドボアを主軸に

 朝だ。月明かりに背を向けて寝たはずなので、朝の陽射しにも背を向けてるはずなのだが、どうやら寝ている間に寝返りを打ったらしい。太陽の光がまっすぐに目に直接入ってきて眩しい。おかげでばっちり目が覚めたぜ。 セルフィも窓のほうを向いて寝ていたらしく、俺より先に目を覚ましていた。「おはようございます、ご主人様。今日は何をしますか? 」 セルフィのほうから今日はどんな仕事をするか聞いてくるのは珍しい。昨日の休みでゆっくりしていたのが効いたのかもしれないな。「そうだな……ダンジョンか、肉集めか、薬草集めか。肉集めの場合、ガルキン狩りに行くか、それともミニボア、ワイルドボア狩りに行くか。薬草集めはついでに肉集めもできるから金額としてはなかなか悪くないことになる可能性が高いな。後はダンジョンにしても、パナメラ以外にダンジョンがあるならそこへ向かうのも一つだな」 朝の身支度をしながら頭を働かせる。ふむ……案外やることは少ないな。一日作業や内職をするのでなければ、そこそこ体を動かして金になるような仕事をしていくのが確実だが、ガルキン狩りをするかミニボア狩りをするか、というところだな。 薬草はまだ成長してないだろう。採取に行くにはまだちょっと早いな。この間取ってきた分で十分とはいえないまでも、近場の薬草採取場は回ったから、しばらく取りに行くのは控えたほうが良いだろう。 だとすると残り三種類。ガルキン狩り、ミニボア狩り、ダンジョン。ガルキンはまた大量にいれば刈り取ることができるが……今のところはミニボアのほうが数が多そうではあるな。それに、ワイルドボアを倒して強くなりたいという気持ちがある。 ちょっと危険なエリアで戦ってみて、稼ぎを大きくしておくのもそろそろありだろうな。俺もセルフィも十分とは言えないものの、強さに関してはそこそこの物を有してきたという自負もある。「よし……今日はワイルドボアを含めてミニボア狩りをするか。ワイルドボアの数が多ければ多いほど銀貨が増える。ミニボアをたくさん狩るのも悪くないが、グレートボアにさえ近づかな
Read more

第139話:グレートですよこれは

 ワイルドボアを倒しながら、ミニボアをメインにして狩りを続ける。どうやらワイルドボアはミニボアの血の臭いを嗅ぎつけて寄ってくる、というような性質ではなく、単純に視界に入ったかどうかが判定基準であるようだ。 ワイルドボアの視界は、ミニボアより一回り二回り体格が大きいおかげで広い。あれはワイルドボアかな? と認識するぐらいの距離でも襲ってくるので、足音をよく聞いておかないと近づいてきているのに気づかない可能性だってある。 俺ぐらいの体格があれば問題なく抑え込むことはできるが、セルフィの体格だと体が軽すぎてそのまま弾き飛ばされかねない。そうなれば、牙で傷をつけられることは見ての通りだ。ついでに服が破れたり怪我をすることで、損失も出る。 俺もセルフィも経済的に黒字であることを気にしながら戦っているので、ダメージは損失、盾があるとはいえ、盾も受け続ければ削れる、ということは認識している。 まあ、ワイルドボアを抑え込めとセルフィに頼んだらスピードと体重が乗らないうちに近づいて盾で抑え込むしか方法がないからそれは仕方ないか。 そして6匹目のワイルドボアを倒したところで昼になり、いつものお弁当を取り出す。今日もいつもと変わらない食事だ。 しかしちゃんとパンにはマヨが塗られているし、肉も挟んであるし、お腹が空かないようにサンドイッチも一つ分多く入れてくれてある。 これで銅貨8枚は悪い気がしてきた。しっかり余裕がある時は白パンセットを頼んで貢献していくことにしよう。「いつもと同じ食事で飽きたりしないか? たまには別の店とか、屋台で買ったほうが良いか? 」 セルフィの好みに合わせて食事を用意しておくのも大事なので、一応聞いておく。「大丈夫です。お腹が空かなくてちゃんと栄養が取れてれば、三食食べられるだけでも十分ですから」 つまり、奴隷の間は一日二食とかだったりしたわけか。それに比べれば今はかなりマシ、ということだな。よし、もうちょっと稼いで、白パンセットを毎食食べれるように俺も気合を入れていこう。 モンスターに囲まれながらの休憩を終えて、ミニボアを腹ごなしの運動に倒しながら戦っていると、セルフ
Read more

第140話:グレートボア

 セルフィの悲鳴が響く。グレートボアの巨体に吹き飛ばされたらしい俺が、ミニボアに衝突して体が止まる。 衝突したミニボアがショックで気絶しているので、その間にとどめを刺そうと思ったが、グレートボアが動き回っている間にそんなわき目を振っている暇はない。俺が吹き飛ばされている間にセルフィに危険が迫っているかもしれないんだ。セルフィは無事か!?  セルフィは、グレートボアに刺し傷を与えてはいたものの、それで止まるような簡単なモンスターなら苦労はしないしグレートではないのだろう。 刺し傷はほんのちょっと刺されたかな? ぐらいの傷にしか思っていないらしく、まだ片目を取り戻していないグレートボアがセルフィを探してぐるぐると回る。 その後、セルフィの姿を目視して、斜めによろめきながらもセルフィに向かって突進していった。 横から援護の火魔法を撃ち込む。グレートボアはその援護で焼かれながらも、ダメージはほとんど負わずにセルフィによろよろとしながらも確実に近づいている。 まだ盾を持ったままのセルフィが盾でグレートボアの視界をふさぎながら、焼かれた目にもう一突きして完全に視界を失わせる。 グレートボアが叫んで暴れまわったので、セルフィが剣を抜き、後ずさる。グレートボアは完全に片目の視界を失ったのか、こっちを見て今度は俺のほうに向かって走り込み始めた。 どうやら、ショートソードではグレートボアの脳には剣を到達させることはできないらしい。さて、どうするかな。 両目を失わせると本気で暴れ始めるかもしれない。そうなると、近づくことすら難しくなるだろう。とりあえず、失わせたほうの目を狙っていくか。後は余裕があればセルフィが動脈を切りに行ってくれるだろうから、それに期待するか。 足元で気絶しているミニボアの動脈を切り裂いて血抜き状態にした後で、火魔法を三連射、失った目に向けて撃ち込む。見えてない側の目に着弾した火魔法はグレートボアの体力を確実に失わせているのか、少しずつスピードが落ち始めた。しかし、決定打がないのは困るな。 グレートボアに接近すると、まず、牙を折る。さすがに無事な状態で倒せるとは思えないので、この
Read more
PREV
1
...
101112131415
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status