「ソフィア?」 過去の記憶に意識が沈んでいた私に、ユリエル様がそっと声をかけた。 その手が頬に触れた瞬間、じんわりと温かさが広がる。 「大丈夫か?」 「はい……。こんな豪華なパーティー、初めてなので……少し緊張してしまって」 小さく笑ってみせると、ユリエル様はさらに優しく囁いた。 「それなら、俺だけを見ていればいい」 甘い声色に──そのまま、頬へ軽いキスを落とされる。 「ちょ、ちょっと! 人前ですってば!」 慌てる私を見て、ユリエル様は肩を震わせて笑っていた。 「でも、緊張は解けただろう?」 返す言葉に詰まった、その瞬間。 弦の音が高らかに響き渡った。 ユリエル様は私に向かって優雅に一礼すると、 「ソフィア嬢。あなたとファーストダンスを踊る栄誉を、どうか私に」 「……光栄ですわ、ユリエル様」 差し出された手に触れた瞬間、音楽に合わせて身体が自然と動き出す。 会場から、小さな感嘆の声が漏れた。 軽やかに舞うようなユリエル様のステップ。 その姿に、次こそは自分を誘ってほしいと、令嬢たちが息を呑んでいるのが分かる。 「ユリエル様って、本当に何でもお出来になるのですね」 私の言葉に、彼は静かに首を振った。 「そんなことはない。できないことも……たくさんある」 その言葉に、ふと”呪い”の話を思い出してしまい、 「あ……そうですよね」 そう呟くと、ユリエル様がふっと目を細めた。 「その呪いなら、もう解けたぞ」 「……え?」 「お姫様のキスで、王子様の呪いは解けましたとさ──めでたし、めでたし」 突然の言葉に、思わず吹き出してしまった。 「何ですか、それ……!」 笑
최신 업데이트 : 2026-05-18 더 보기