All Chapters of 宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――: Chapter 71 - Chapter 80

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第71話……誕生! ドラグニル陸戦隊

「おう! やってくれたな!」「え? どちらさまで?」 レオナルド王国の建国記念祝賀パーティー会場にて、強面の龍族の貴人に睨まれる。「戦った相手を忘れるとは失礼な奴だな!」 ……よくよく見ると、先日戦ったドラグニル王国の王太子様だった。 先日の戦いで捕虜になったはずだが。「……あ、その節はどうもスイマセン」「何謝ってんだよ!? てめえナメてんのか?」 営業的発想でつい頭を下げて謝ってしまった。 ぐいぐいくる相手にタジタジの私である。 屈強そうな男なので、もう二度と戦いたくない相手なのだが……。「こ……怖いポコ」「うっせえんだよ! そこのタヌキ!」 私が座るテーブルのメンツで、喧嘩に自信がありそうなバフォメットさんはお手洗いで不在だった。 ……どうやら話を聞いたところ、捕虜の立場から解放されて、今は自由の身らしい。 反乱を起こしたので、政治的リーダー等にはなれないらしいが、意外と自由が利く身の上だと話を伺う。「……でな、アニキ!」「アニキ!?」 私は3人兄弟の末っ子で、弟はいないのだが……。「生まれてこの方、喧嘩で負けたことがなくてな! 初めて負けた相手をアニキと言って何が悪い!?」 めちゃめちゃ怖そうな龍族にジッと睨まれる。 タヌキ砲術長に目線で助けを求めたら、顔を背けられた。 ……くそう、みんな逃げやがって。「……で、ご用件はなんでしょう?」 この龍族版の不良みたいな王太子様、どっか行ってくれないかな?「……な、仲間になってやるよ!」 ぇ?「い、いや、この俺様を使ってくれ!」 屈強な龍族の男に、手を合わせて拝まれる。 ……この、嫌と言えない雰囲気に私は負けた。 あとで知ったのだが、ドラグニル族は昔から喧嘩が全てらしい。 喧嘩に負けたら、負けた相手の配下になるのが昔からのルールだそうな。 まぁ所謂、かなり任侠な世界感であった。☆★☆★☆「てめえら! 俺様のアニキに失礼すんじゃねえぞ!」「「「はい! よろしくお願いします!」」」 ドラグニル族の王族アルベルト=ドラグニルを配下にしたら、ビシッと整列した彼の親衛隊がゾロゾロとついてきた。 顔に傷がある者も多く、見るからに怖くて強そうな皆様がなんと3000名も……。 ちなみに昨日までの私の部下の数は、全て併せて250名である。 嗚呼、反乱を起こさ
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第72話……カリバーン帝国貴族の兵役負担制度

「損益分岐点は単位あたり75帝国ドルといったところでしょうか?」「75……、微妙ポコね……」「微妙ですわね……」 惑星ベルの海洋型アダマンタイト掘削施設の見積もりを、内政型アンドロイドであるヨハンさんに計算してもらう。 ここ最近のアダマンタイトの単位当たりの相場は、70~80帝国ドル。 カリバーン帝国経済は戦役の期間がおわると、資源価格はさがる傾向があった。  現在の市況では、この掘削プラントを稼働しても利益はほぼないという試算だった。「じゃあ、掘りましょう!」「利益が出ないのに掘るポコ?」「うん、掘ろう!」 タヌキ砲術長殿は『お金にならないのに何故掘るのか?』という表情をしているが、私は開発プラントを建設することに決めた。 確かに利益がでる公算は薄かったが、ここ惑星ベルには海産物の養殖以外にこれといった産業がない。 開発プラントを作れば新たな関連産業が産まれ、大量の雇用が発生する見込みがあった。 他にも、資源開発事業というものは継続して行わないと、保守やメンテナンスなどの技術が育ちにくく、結局それが長い目で見れば採算や経営力に直結する可能性が高かったのだ。 ……継続は力なり、である。☆★☆★☆「ほう、これがアダマンタイト精製プラントですか?」「左様でございます!」 近隣のフェーン星系の統治者であるシャフト王が、惑星ベルに施設見学に来ていた。 辺境星系連合国家群の構成星系の一つ、フェーン星系はカリバーン帝国の技術を導入し、高度な産業の機械化を目指している最中だった。――フェーン星系。 水棲型文明生物が多く住む星系で、形状は二足歩行型のナマズといったところ。 年をとった男性は独特な髭がより長い場合が多い。 概ね温厚な民族が多数派な人口構成だった。 主要産業は漁業と牧畜と耕作。 辺境連合国家群で勢力最大の穀倉地帯と人口を抱えていた。「我が星系にもこのプラントが欲しいですな!」 快活で立派な髭を生やしたナマズ族であるシャフト王は、ハンニバル開発公社の資源プラント資設がお好みの様だった。「この金額でお譲りいたしますよ♪」 私はすかさず電卓を叩き、それを王に見せ、セールスを行う。「……しかしですな、買っても使い方がわかりませんでな」 自嘲気味に笑うシャフト王に、更に叩き直した電卓を見せる。 ……この好機、逃が
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第73話……みんなの建艦計画

「もっとミサイル載せるクマ!」「いや、レーザービームの方がいいポコ!」 砲術長殿と整備長殿が言い争う。 只今、7隻の新規艦の建造計画会議の真っ最中である。 この世界の宇宙での戦闘艦の主兵装はレーザービームかミサイルである。 主要兵器の中で、一般的にレーザービーム砲は有効射程がもっとも長い。 到達距離という概念よりも、初速がミサイルは遅いのだ。 発射時の一瞬により強い加速Gをかけると、ミサイル自体が瓦解しかねなかったからだ。 レールガンやレーザービーム砲は初速が速いのだが、これまた相手との距離が遠くなると当たらなくなるのである。 何故ならば、目標は概ね回避運動などをするためである。 その点、ミサイルは自己で目標の座標を再計算するので、相手との距離が離れても有利な点もあった。 ミサイルの最も優れた点は、それ自体が爆発するエネルギーを内蔵することである。 レーザービーム砲は内部に炸薬などが入っていることは無い。 この世界のレールガンも初速と貫徹性を上げるために、弾丸自体を堅い弾芯とする必要があったため、炸薬は無し、又は少なくしてあった。 よって、相手に有効に命中した場合、最も威力が出るのはミサイルだった。「ミサイルは残弾が気になるクマ!」「レーザーは機関の出力に影響されすぎポコ!」 二人が言い争っているが、それもそのはずで一長一短という感じであった。「防御は電磁障壁ですわね!」「いや、重力シールドですニャ!」 我々が想像する丈夫なものといえば、カーボンナノファイバーや核パスタなどの線である。 電磁障壁は電磁波の線を複雑に織り込んだトランポリンのような網の壁であり、高出力電磁波であるレーザービームに跳弾などの高い効能があった。 対して、重力線を織り込んだ重力シールドは、全ての攻撃に対し万能ではあったが、逆に技術的な問題により、すべての攻撃に対してそれほど高い防御性能は現せなかった。 今回製造する艦船は小型であったため、電磁障壁や重力シールドの出力が機関の出力に比例することから、エネルギーの容量的に両方を載せることができなかった。「やっぱり艦載機は必要メェ~!」「大砲があれば要らないポコよ!」「ミサイル最強クマ!」 この世界の艦載機は、私たちの住む世界より少し弱い。 対空砲などの防空システムがより強力になり、必ずしも空
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第74話……謎の惑星【前編】

 ハンニバルの艦橋でカップ麺を啜っていると報告が入る。「提督! 新規惑星が発見されました!」「なんだと?」「お宝ニャ?」 ヴェロヴェマ子爵領であるラム星系にて、新規惑星が発見された。 報告を詳しく聞くと、実は惑星と言っても、かなり小さい部類に入る大きさのようである。 惑星ベルからの距離はちょうど地球と天王星ほど離れており、不規則な楕円軌道を公転していた為に今まで発見できなかったようだった。 そもそも、帝国の情報部は惑星ベルに関しても、調査がいい加減なのである。 現状、惑星が一つの星系といっても、鵜呑みにするわけにはいかなかった。「早速調査ポコ!」「調査するクマ!」 タヌキ砲術長とクマ整備長は既にやる気まんまんで、仲良く浮き輪や水中眼鏡を装備している。 調査に行った先に、必ずしも水や海があるとは限らないのだが……。「しゅっぱ~つ!」「しんこ~う♪」 半ばハイキングのような面持ちのハンニバルの幕僚諸氏。 私が軍を非常勤になってからというもの、怖い上官に出合うこともない。 軍にあるまじき空気となっていた……。「目標ロスト!」「!?」「目標惑星がレーダーから消えました!」「ぽ……ポコ?」 ……な、馬鹿な!? ハンニバルのレーダーは軍用に耐えうる対ステレス用の探信装置である。 敵艦ならともかく、普通の天体の捕捉を失敗するとは考えられなかった……。「目標の天体を再度捕捉!」「し、しかし……再びロスト!」「!?」 ……これはヤバいな。「警戒態勢発令!」「「「了解!」」」 私は警戒態勢をとることにした。 小さな惑星かと思って近づいたら、大型の敵艦だったってこともあり得るからだ。「目標、副砲射程に入ります!」「……さらに距離縮まります!」「……距離至近! 逆噴射開始!」「なんでしょう? あれは?」「奇麗ぽこ♪」 ハンニバルの艦橋から見えた謎の星は、ところどころ美しい鏡面加工が施されているように見えた。 ……むしろ人工物なのか!?「高エネルギー反応! 至近!!」「電磁障壁出力最大!!」 突如、衝撃と閃光がハンニバルの艦橋を襲う。「第二主砲塔破損!」「消火班急げ!」「敵はどこだ?」「あの惑星ぽこ!?」 タヌキ砲術長が指さす先に、謎の惑星の岩盤部からレーザー砲塔が顔を覗かせていた。 さらに、岩
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第75話……謎の惑星【後編】

「怖いポコ~」「真っ暗だメェ~」 謎の惑星に降下した場所のすぐ近くにあった洞窟に入ってみたハンニバル幕僚ご一行。 ちなみに、ハンニバルは偽装モジュールを展開させて、クレーターに隠してある。 この謎の惑星は、近づいてくる船に容赦なく攻撃する特性があった。 他星系なら無視したかもしれないが、ここは我が領地ラム星系である。 安全性を担保するために破壊するか、もしくは詳しく調査する必然性があったのである。 洞窟を徒歩でしばらく進むと、明るい一室に出た。 壁面は金属製の部屋で、なんとエレベーターがある。「乗るポコ?」「怖いですわね?」「流石にやめておこう!」「了解ニャ♪」 私がチキンなので、のらない判断をする。 ちなみに昔のゲームで、常識的にリスクを回避していたら、勇者的な行動では無いという理不尽な理由でゲームオーバーになった経験も実はあるのだが……。 岩肌の洞窟を段々と下に降り、さらに地下に潜る。 地下水と思しき水滴が上から落ちてきて、その水は冷たい。 再び明るい場所に出た。 壁面は再びの金属製だ。「ドチラサマデスカ?」 ……ヤバい!? 変な格好をした見張り型ロボットに見つかってしまった。「お……お客様ポコ!」「失礼イタシマシタ、イラッシャイマセ!」 ……お? 好感触? ナイスだ、タヌキ砲術長殿。「ナーンテ、言ウト思ッタカ?」 見張り型ロボットは背中からバルカン砲を取り出す。 ……げげ!? バルカン砲を構えようとするロボットに、耳を劈く衝撃音と共に3か所の破孔が開く。「アニキ! なにちんたらやってんだ!?」「早くいこうぜ!?」「……あ、ああ」 後ろからアルベルト王子が8人の部下とともにやってきた。 ……どうやらこれからは強襲的に進むらしい。 ロボットを破壊した後ろに、再びエレベーターがある。「これに乗るポコ?」「乗りますがね……。ただ、乗り方はこうやるんでさぁ!」 アルベルト王子はエレベーターをハンドガンで撃ちまくり、破壊。 破壊したエレベーターの空間を、ワイヤーをつたって降りる。 降りた下層部は機械制御室のような所だった。 ロボットさんがワイワイとお仕事をしている。「問答無用メェ~♪」 今度はバフォメットさんが対戦車ランチャーを撃ちこむ。 皆で慌てて伏せる。 凄まじい爆風が起こる。
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第76話……屋上の夕日

「えぃ!」 副官殿が敵ロボットをレーザーブレードで叩き切る。 彼女は返り血ならぬ、返り機械油を沢山浴びていた。「あと、3体メェ!!」「おうよ!」 司令室らしきところに、ごまんといた謎の敵ロボットもあと3体。 バフォメットさんが、両手にもったガトリンク砲でなぎ倒す。――DODODO! 煙の下には動く敵の姿は無かった。 ようやくのことでの勝利の様だった。「司令部占拠クマ!」「勝ったポコ!」 足元は血の海ならぬ、機械油の海だった。 コチラも負傷者を多数出した激戦であった。 辺りは屑鉄スクラップになった敵ロボットの残骸が山となっていた。「どれどれ?」「結構狭いですわね」 私達は陥落させた敵指令室を見学する。 ところどころ漏電し、煙が上がっている。 多数のモニターが並んでおり、別ルートで苦戦する味方の映像も映っていた。「スイッチOFFっと!」 私は手元のブレーカーらしきものを落とした。 ……SHUUU! 部屋の灯が落ち、映像先の敵ロボットは音も無く停止していった。 すぐさま、非常灯が灯った。 私は再び電源が入ったモニターに映った文字を読む。「ふむふむ、再起動しますか? って、NOだよね?」「アニキ! なんでその文字が読めるんだ!?」「え? 皆読めないの?」「読めませんわ!」「読めないポコ」 同じくモニターを覗き込むみんなには読めないようだが、私にはスラスラと読める。 ……なになに再設定のやり方? 分からないなりにキーを打ち込んでみた。 ……PIPIPI 稼働した機械音と共に、辺りに白い光が戻る。【新支配人・ヴェロヴェマ様 Y/N?】 ……YESっと。 壊れたロボットたちは動かなかったが、画面上に新たにナビゲーターの姿が映る。『何なりとご命令を、ヴェロヴェマ様!』 ナビゲーターが我々の言葉で挨拶をしてくれた。「凄いポコ!」「やっぱアニキは凄いんだな!」 よくは判らなかったが、この謎の惑星のシステムを乗っ取ることに成功したようだった。『……王家ノ方デスカ?』 家事用らしきロボットが、瓦礫の陰から這い出てきた。「!?」『貴様、王家ノ者デハナイナ!』『……サテハ、邪眼ノ継承者ダナ?!』――DOW!「うっせぇんだよ!」 家事ロボットはアルベルト王子のハンドガンで破壊されてしまった。
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第77話……ヴェロヴェマ少将に昇進!

「よいしょと」 私はアパートの階段を一段づつ上る。 寝たままゲームの世界に入り浸っていたので、リハビリである。 一階に住んでいたので、初めてのぼる階段でもあった。 アパートの裏側に見える野菜畑がのどかで気持ちがいい。 空にはトンビがくるくると旋回していた。 TVでニュースを見ると、若干に物々しい。 大国の動静が大きな見出しで伝わる。 我が国の女性アナウンサーが昔のNK国を思わせるような勇ましい雰囲気だ。 先日、大国の兵器が爆発して世界が混乱した影響からか、書店に並ぶ本は『来年にN国は崩壊する!』や『C国共産党崩壊!』などのセンセーショナルな題名が並ぶ。 なんだかんだ言って、世界は何も起きないものだ。 コンビニで食料を買いあさって、自室に届いた電気代の通知を見た。 高けぇ!! ……いや、世界は凄くヤバいかもしれない。 日課のリハビリをこなした後、カプセルに入る。 世間は大変かもしれないが、私には某巨大医療機器メーカーとの契約は残っているのだ。 ……一応、お仕事である。 カプセルの内側で赤いボタンを押す。 白い薬剤の霧が吹きだし、私は意識を失った……。☆★☆★☆ ラム星系にある謎の惑星の解析が進んでいた。 解析結果によると、惑星の名前はツーリアというらしい。 機能としては、若干の機動性と隠蔽性をもった惑星型の準武装要塞といったところであった。 要塞惑星と言っても、地表の86%は普通の岩盤である。 隠蔽性さえ失わせれば、外見はただの寂しい岩の惑星といった風であった。(……数日後)「凄いポコ!!」「凄い量ですわね!」「お金持ちニャ!」 砲術長殿と副官殿が驚くのも無理はなかった。 この惑星ツーリアの地下には、エルゴ機関の燃料となるアダマンタイトと超硬質ミスリル鋼が大量に備蓄されていたのが発見される。 大昔にこの星の主が蓄えていたモノだろう。 燃料のアダマンタイトはともかく、超硬質ミスリルはとても嬉しかった。 早速惑星ベルに貯蔵量の約四割を輸送することにする。 現在建艦中の新造艦の材料にするためだ。 この件は、この惑星に勝ったご褒美といってもよかった。 この材料のお陰で、新規の建造艦コストはぐっと抑えられることになった。 惑星ツーリアは古代アヴァロンの貴族の別荘だったらしいが、改造させてもらうことにした
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第78話……少女艦長候補生

 私は少将に昇進した。 表側の理由としては、ドラグニル星系の反乱鎮圧などの功績であるが、裏側の事情としては、帝国の戦力の損耗がかつてないほどであったことが理由だった。 ヴェロヴェマ子爵家の新造艦船を戦力化したい帝国中枢の思惑が透けて見えた昇進だった。 エールパ星系の艦隊司令官が負傷したのも影響し、私はエールパ星系の艦隊司令官を再び務めることになっている。 この件は、蛮王様の希望もあったのだろうと推察された。 ……まぁ、それはさておいて問題なのが、今回の上司である。 以前の敗戦の責をとり、予備役になっていたリーゼンフェルト中将が再び軍に復帰。 私達の上司である、第五星系管区軍団長となっていた。 帝国の重鎮であるクレーメンス公爵元帥の娘婿という立場からすれば、軍への復帰は当然だったのかもしれない。「ヴェロヴェマ君! ワシが復帰したからにはそれなりの戦果が上がらねばならん!」「……はぁ」 帝都総司令部バルバロッサの会議室で、リーゼンフェルト中将の相手をする。「わからん奴だな! 私は義父上の後を継がねばならん、元帥にならねばならんのだよ!」「……はい」 リーゼンフェルト中将は以前、カリバーン帝国参謀大学校を首席で卒業した俊英らしいが、いまはその良い部分が陰っているようだった。 復帰後の手柄を焦る様子がありありと見えた。「……で、だな、スプーン星系を再奪取したいのだが、どう思う?」「戦力がありますれば、それもよろしいかと」 カリバーン帝国は以前に陽動作戦で占領したスプーン星系を共和国に取り返されていた。 あまり価値があるとは言えないスプーン星系の争奪戦に、帝国軍は多数の死者を出していた。 私が指揮する予定のエールパ星系艦隊も現在、無傷な船が一隻もいない状態だった。 ここ数か月の共和国との激しい戦闘で、帝国軍の艦艇の48%は何らかの損害を受けていたのだった。「だからだな、君の領地の近くの辺境星域連合の艦隊も動員してほしい」「……そのための君の現場復帰だよ、少将昇進の件も私の口添えだよ、君……」 ……どうやら、リーゼンフェルト中将の出世のための私の少将昇進だったらしい。 この後も恩着せがましいことを、次々に言われた。「中将閣下! まだ会議ですの?」 見目麗しい女性たちが突如会議室に入ってきた。「いやいや、もう終わるぞ! で
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第79話……物資供出命令!

「新任の星系司令官のヴェロヴェマです!」「ははは、お帰り!」 少し疲れた顔のエールパ星系の主である蛮王様に、新任の星系防衛司令官として新任の挨拶をする。 ……といっても三度目の赴任である。 すぐに打ち解け、現況についての話を聞いた。「……現在の帝国の方針には、ほとほと参っているのだよ……」「はぁ」 惑星リーリヤでの蛮王様はご機嫌斜めだった。 ここ半年、地方星系領主にとっては益のない戦乱と、それに伴う苦役ばかりの日々が続いていたようだった。「新しい第五管区の軍団長、なんといったっけ?」「リーゼンフェルト中将ですか?」「そうそう、そいつが今度、食料60万トンを用意しろと言ってきた」 蛮王様は不機嫌そうにテーブルのお茶を啜る。「む、無償で、ですか?」「……ああ」 帝国軍は防衛行動の為に、地方星系から物資を徴発する権限がある。 ……しかし、それは緊急時というのが不文律であり、簡単に実行されるようなものでは無かった。 第五管区星系はマールボロ、エールパ、アルデンヌの3星系と辺境連合国家が所属しており、リーゼンフェルト中将より各星系へそれぞれ厳しい物資供出命令が出ていた。 その物資は出世の為に、首都星系ツエルベルクに送るに違いない。 ……あきらかに、リーゼンフェルト中将は功を焦っているようだった。 蛮王様の愚痴を一通り聞いた後、私は懐かしの衛星アトラスの地を踏んだ。「ひさびさメェ~♪」「帰ってきた感がありますわ♪」「ほう、これが衛星アトラスですか」 一人内政型アンドロイドのヨハンさんだけは、初めてのアトラスである。 彼には内政担当者として、この衛星アトラスだけでなく、衛星ガイアや惑星カイなど、視てもらわねばならない星がいくつもあった。「とりあえず、養殖池の防疫を致しましょう!」 早速の……、仕事の出来る人であった。☆★☆★☆ 惑星アトラスの地でも慌ただしい。「修理する船が多すぎるクマ!」「みんなボロボロポコね」 現在、エールパ星系艦隊の全艦が損傷の為にドック入りである。 幾つか知った船も多数撃沈してしまっていた。 やはり戦力不足は明白であり、ラム星系などから艦船を連れてくる必要があった。 ……しかし、辺境連合国家の皆さんに物資提供や戦力抽出をすんなり受け入れてもらえるのだろうか? それを考えると私は頭が痛
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第80話……反乱鎮圧

 マールボロ星系の支配者はシェリオ伯爵無き今、フェンリル侯爵の統治領の一つとなっていた。 侯爵の代官が赴任して統治していたが、この度のリーゼンフェルト中将の物資調達の件で臨時の重税を課したところ、星系内で民衆の暴動が各地で発生。 行政施設には次々に火が放たれ、統治機構は完全に機能不全を起こした。 また、代官はこの混乱で行方不明になってしまった。 3日後には、現地の民衆の代表たちによる反帝国政府が樹立された。 ……度重なる戦役の為の重税に、民衆が耐えかねた結果と言ってよかった。 しかし、マールボロ星系で勃発した反乱は、帝国中央とエールパ星系等との連絡線を遮断した格好になった。 それは貿易航路や兵站の遮断をも意味していた。 例えば、現代のわが国はエネルギーの90%と食料の60%を海外からの輸入に頼っている。 ……つまりは、この世界の住民生活においても非常に不味いということだった。☆★☆★☆「ヴェロヴェマ君! 何とかしたまえ!」「……し、しかし……」 超光速ビデオチャットにてイラつくリーゼンフェルト中将閣下。 私は現在、辺境星域であるレオナルド星系におり、とても今すぐ関与できる距離では無かった。「……まぁ、ワシはこれから帝都のパーティーに出るから、その間にこの反乱を鎮圧しておきなさい」「……は、はぁ」「わかったね?」「はっ!」 軍隊とは絶対的な縦の関係である。 『NO』と言える上官の命令など存在しなかった。 ……ビデオチャットを切り、一息つく。「……ふう」「困りましたわね」「困ったポコ」 今度の相手は軍隊ではなく、怒れる民衆のようだった。 凄く厄介な相手かもしれなかった……。 私は辺境連合国家への物資供出外交案件を一時棚上げし、ラム星系で人員と艦船を揃え、急ぎマールボロ星系へ向かうことにした。☆★☆★☆ ハンニバルがマールボロ星系についた時には、更なる混乱を呈していた。 怒れる民衆達が現地政府の公益関係のインフラ施設を次々に壊した結果。 それに関係する電力や食料などの供給も止まってしまったのだ。 その後、物資不足に陥った住民たちは、住民たち同士で物資や食料を求めて争う結果となってしまっていた。 あちこちで暴動や犯罪行為が起こり、破壊活動がなされていた。 もはや、一種の内乱である。 一度破壊された公益シ
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