All Chapters of 宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――: Chapter 81 - Chapter 90

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第81話……特務潜航艇暗躍す!

――現在の我々が分かっている宇宙の成分は僅か5%であり、その他95%は未だに不可解な物質とエネルギーで構成されていると言われる。 現在の我々の知っている物質と全く反応しない物質。例えば光も音も電波も反応しない物質の中に潜り込まれたら、我々はどうやってそれを見つけ出せるのだろうか? 多分見つけることは極めて困難だろう。――カリバーン帝国暦853年7月。 カリバーン帝国軍兵器開発局は不活性ケミカル・ダークマターに浸透し物体を隠蔽する方法を発見。 さらに兵器開発局はこれを実用可能にするD-5システムを秘密裏のうちに開発に成功。 このシステムを搭載した小型特殊艇を特務潜航艇と呼称し、実用試験を繰り返していた。――ドォォォォン「第6輸送艦爆発!」「敵か!?」「レーダーに反応無し!」「事故と思われます」 グングニル共和国の勢力圏にて正体不明の輸送艦消失が連続して起こる。「なにをやっているのですか? 貴方たちは!」 共和国第6宇宙艦隊司令官ジョー・キリシマ中将は焦っていた。 彼はこの連続する輸送艦の消失事件の原因究明責任者だった。 ……彼は最初、輸送艦の整備不良を疑った。 しかし、整備不良を表すデータはどこにも存在しなかった。 さりとて、輸送艦が爆沈した空間に出向いても、ミサイルなどの破片など攻撃された痕跡は発見されなかったのである。 ……この後、グングニル共和国内では星間航行可能な輸送艦の消失が更に増加。 船舶のみならず物流コストが急上昇し、経済が停滞しはじめる。 こうして帝国のみならず、共和国内でも民衆の不満は高まり、各地で反乱が増加していった。☆★☆★☆「第8特務潜航艇部隊より通信! 作戦成功! 大型輸送艦撃沈6とのことです!」「了解!」「量子魚雷の補給の為、帰港するとのことです」「了解! リヴァイアサンの第6宇宙港を利用しろと伝えろ!」「はっ!」 リーゼンフェルト大将が統括する大要塞リヴァイアサンの秘密指揮所は歓声に包まれていた。 今日も多くの共和国の輸送艦を秘密裏に撃沈することに成功していたのだ。「ふふふ……、君の対滅式量子魚雷の性能は素晴らしい!」「有難うございます閣下!」 リーゼンフェルト大将はトール技術少将を褒めたたえた。 彼は特務潜航艇とともに、攻撃の痕を残さない対滅式量子魚雷を開発した責任者で
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第82話……ルドミラ教国の大飢饉

 古の熱核戦争の悲劇から、人類は再び人口が増加し始めていた。 それに応じて、何故か戦乱も併発してしまうのである。――宇宙の民たるものは常に戦をする。 それは人口増加に食料生産が追い付かないためである。 これはグングニル共和国のパウロ博士が提唱した説である。 つまりすべての戦争は、すべての民に物資が届かないために起こるとされている。 たしかにこの説はある程度正しかったのだが、それはより文明がすすんでない種族の排除や差別へと繋がった。 足りないなら『分け与えられるべき種族は限られる』という考え方である。 その考え方が最も強かった国家が、グングニル共和国より近年分離独立したルドミラ教国だった。 彼等は平和と平等を唱えていたが、それは人種族に限られた話であり、他種族に対しては差別と弾圧で臨んでいた。 新規に独立したルドミラ教国は、やはり産みの苦しみとして国家の予算が不足気味であった。 よって、他の勢力が内乱等で食料不足に陥ったのをみて、食料の輸出にて早期の勢力拡大をする方針を打ち立てた。 極めて短期にて食糧増産を厳命されたブロンズ内務担当枢機卿は、各星系の他種族農家に対し指定された単一農作物のみを生産させることを命じた。 種類割り当てと画一的な作物の生産を行わせることによって農業生産性を急激に引き上げようとしたのだ。 さらには豊作時の余剰作物を農家から強制的に接収し、不足気味の外貨獲得手段として他勢力へ輸出することを政策として発表した。――カリバーン帝国暦853年 ルドミラ教国を大飢饉が襲う。 農作物に対する未知の病が発症したのである。 経験に培われた適正農地を無視した画一的な管理農法は、不作を引き起こす農作物の病気を一気に拡大させた。 また、余剰作物を収奪されることにより、やる気をなくしていた農家は土壌改良などを怠っていたために連作障害などを併発。 星系単位の猛烈な大飢饉へと拡大していった。 この農作物にたいする病原菌は、グングニル共和国の破壊工作だとする説もある。 何はともあれカリバーン帝国、グングニル共和国、ルドミラ教国と3勢力とも全てが更なる食料不足となっていったのであった。 ……人類は有史以来、天災だけでなく無理な政策と人為によって繰り返し激動の時代を迎えたのであった。☆★☆★☆「お昼ご飯の時間ポコ~♪」「もう
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第83話……ナマズ族を救え!? ラパト首相ボフ

「トンカツ美味しいポコ♪」「おいしいですわね♪」「とまとサラダもおいしいニャ♪」 今日のハンニバル食堂のサービスランチはカツ丼だった。 みんなで仲良く食べていると、突然緊急通信が入った。「フェーン星系にルドミラ教国が宣戦布告したようです!」「なんだと!?」 緊急通信の内容に驚く。 辺境連合国家の一員であるフェーン星系は、事実上カリバーン帝国の従属下にあったのである。 しかし、正式な外交関係としては独立を保っていたので、今回攻め込まれた形となった。 カリバーン帝国とルドミラ教国は軍事同盟を結んでいるので、帝国は表向いてフェーン星系に援軍は送れない。 私は『……仲良くしているフェーンを見捨てることはできないなぁ』と思っていると、総司令部から通信が入った。 相手はクレーメンス公爵元帥。 帝国軍部の名実ともにTOPのお偉い方だ。 ……背中に緊張が走る。「つまり……、誰かがフェーンに加勢してほしい……ということだ、ヴェロヴェマ君!」「……はっ? どういうことでしょうか?」 総司令部の方針がよくわからない。 察しろということだろうか?「帝国としてではなく一貴族として、君が自主的にフェーンに力を貸してほしい!」「わかるな?」 つまるところ私だけで行けということらしい。 義勇軍という形だろうか?「はぁ……」「この防衛が成功したら、君にも軍に復帰してもらう! 駄目なら今度こそクビだ!」「了解しました!」 地位と給料も惜しいのもあって承諾してしまった。 ……しかし、フェーン星系のナマズ民族にはいつもお取引がある。 助ける口実があるのは良いことだった。☆★☆★☆ 幕僚を集めてすぐさま会議を開く。「正義の防衛戦争ですわね?」「頑張って守るポコ!」「しかし陸上部隊がなぁ……」 ドラグニル陸戦隊は確かに強いが3000名しかいない。 戦線が拡がれば手が回らない恐れがあった。「……蛮王様に相談するか?」「そうするニャ♪」「みんなを巻き込むクマ♪」 蛮王さまに暗号通信のビデオチャットを送った。 ……迷惑でないと良いが。「……ふむ、ナマズのラパト首相とは仲良くしておきたいな!」「よかろう! 歩兵を5000名ほど貸してやる!」「有難うございます! 今度お礼に銘酒を贈りますね♪」「ははは、良いのを頼むぞ!」 今回の
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第84話……フェーン星系防衛戦~ケルベロス~

――カリバーン帝国暦853年9月。 午前8時20分。 侵攻してきたルドミラ教国艦隊と星系を防衛するフェーン星系艦隊が激突する。 フェーン星系外縁にて初撃を放ったのは、今回援軍のラム星系艦隊旗艦ハンニバルだった。「主砲、次弾装填完了!」「放てポコ!!」 ハンニバルの連装大口径レーザービーム砲が、時空振動が計測された地点目掛けて超高温の青白いエネルギーを吐き出す。 敵からすれば索敵外から闇雲に撃っているように見えたかもしれないが、私の万里を見通す【羅針眼】はほぼ正確に敵を捕らえていた。 そして【魔眼】は敵の予備動作から未来行動予測をはじき出す。 私の左手と連動した生体コンソールによって、ハンニバルの射撃指揮システムと私の眼は連動していた。 ……かといって、この無限に広い大宇宙で相手に弾が当たるという保証はどこにもないのだが。 事実、外れた。「生体連動開始! 誤差修正良し!」「第二射放てポコ!!」 再び青白い大出力レーザービームが再び漆黒の宇宙を切り裂く。 今回は一撃目と違い、遥か彼方で赤い気泡のような光が現れる。「着弾! 命中です!!」「良し!」「命中データーを全艦へ送信! ラム星系艦隊、射撃開始!!」「了解ポコ!」 ラム星系艦隊は各々砲塔を調整し、長距離射撃を開始した。「着弾! 命中!!」「大光源確認! 敵撃沈の模様!」「着弾命中!」「再び大光源、敵炎上の模様!!」 次々に長距離砲戦の戦果が上がる。 私は今回初めて、【羅針眼】と【魔眼】を複合して艦隊戦に臨んでいたのだった。 戦果は今のところ上々だった。 ハンニバルが当てた相手を目掛けて他艦も砲撃するという、一緒に訓練や戦闘をしてきた艦艇同士ならではの艦隊運動だった。「敵、怯まず前進してきます!」「レーダーにて捕捉! 敵影37隻!」「フェーン星系艦隊へ連絡、突出した敵艦艇に集中攻撃!」「防御弾幕開始!」「了解!」 敵は強引に前進して、射撃レーダーの確実有視界に打ってこようとしていた。 遠距離戦は不利と見たのだろう。「敵駆逐艦、本艦に高速接近!」「!?」 防御弾幕を高速で突破した敵が単艦でハンニバルに迫る。 ……しかし、ハンニバルは本来接近戦を得意とした重装甲戦艦であった。「左舷側近距離ビームガトリング砲群用意!」「用意良し!」「撃てポ
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第85話……ブロンズ枢機卿とリドリー枢機卿

――フェーン星系攻略艦隊38隻が全滅した。 この報が入った時のルドミラ軍総司令部の落胆の様子は酷かったという。 辺境星域は危険宙域さえ突破できれば、占領作戦が成功する公算が高かったはずなのだ。 懸案の食糧問題が一気に解決したかもしれない。 しかし、一度は負けたとはいえ、ルドミラ軍事のTOPであるリドリー枢機卿はすぐさま第二次派兵を検討する。 内政側のTOPのブロンズ枢機卿との派閥競争があったためだ。 この戦役で負けたままでは、次の教皇選挙は負けたも同然だった。 リドリー枢機卿は実際、自ら陣頭に立って兵士を鼓舞し艦艇を編成。 大小102隻からなる大艦隊を作り上げた。「小癪な異教徒どもめ、踏みつぶしてやる!」「……そして、次の教皇はこの私!」 彼は右手の拳を強く握りしめていた。――その後。 彼と彼の艦隊は危険宙域を進軍。 途中に現れた超巨大アメーバを次々に焼き払った。 第一次派兵部隊がアメーバに苦戦していたので、十分な対策をしてきていたのだ。 ハンニバルが布陣するフェーン星系外縁まで、あと3日という航程だった。「長距離跳躍用意!」「機関出力、準備良し!」「目標フェーン星系外縁部!」「航路計算完了しました!」「良し!」☆★☆★☆――その2日前。 私ことヴェロヴェマは防御設備の建設を急いでいた。 先の戦いは勝利したが、第2波が来ないとも限らなかったからだ。「提督! 暗号通信です!」「誰からだ?」 突然、通信が来る。「そ……それが、差出人は不明なのですが……」「これをご覧ください」「……!?」 私は通信担当士官からデータを受け取る。 そこには、次に来るであろうルドミラ教国軍の旗艦の予定航路が書かれていた。 更には、その旗艦の弱点と司令官が存在する司令艦橋の位置まで記してあった。 ……しかも、位置データは逐一更新して送ると書いてあった。「みんなはどう思う?」「こ……、これは?」 幕僚たちを集め、データを見せた。 ……皆、困惑した顔だ。 私の傍らで副官殿も訝しんでいる。「……罠では?」「罠かもしれない。しかし本当だったら、千載一遇のチャンスを逃すことになる」 ……きっと、悩んでも無駄だ。「よし! 罠である可能性も考慮しつつ、敵旗艦の撃破のチャンスを積極的にうかがうぞ!」「「「了解!」」」
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第86話……ヴェロヴェマの一日

 今日の空は雲一つない晴天。 燦燦と太陽の光が降り注ぐ。 じゅ~じゅ~♪ ラム星系の準惑星ツリーアの浜辺にてバーベキュー。 元古代超国家の別荘地だけあって、人工ではあるが優雅な海岸もあった。 防御要塞としての機能は僅かにとどまる構造だった。「ポコ~♪」「くま~♪」「にゃ~♪」 皆楽しそうだ。 えっ、私? 荷物の見張りと肉を焼く係……。 ……こんがりと肉と野菜が焼けていく。「まぁ、お嬢ちゃん飲みねぇ!」「いただきますわ♪」 我が副官殿は、水着姿でシャルンホルスト爺さんのお酌係。 ガンガン飲んでいるお酌係だけど。 まぁ、退役中将には先の戦いで大変世話になったから文句は言えないのだが……。「おい、小僧!」「は、はい?」 シャルンホルストさんに呼ばれる。「お前も飲め!」「はっ! いただきます」 この世界でも接待はきっと重要である。 現実の世界でも、接待のある飲み屋産業だけでもかなりの経済波及効果があるらしい。 ……まぁ、もっとデキル人なら飲みにゅけーしょんなんて要らないのだろうけど……。「小僧、お前は邪眼持ちか!?」「……はっきりとは判りませんけど……らしい、ですね……」「だろうな……、あれだけ離れていて相手に弾が当たるんだものな……」 シャルンホルストさんは静かに空を見上げる。 すこし寂しそうだ。「その、邪眼ってなんなのですか?」 副官殿が老将に尋ねる。「古代アヴァロン王国の生物兵器と伝わっている。王国の戦士だけが持つとされる伝説の眼らしい」「へ……へぇ、で、うちの閣下が戦士?」「だよな? 戦士らしくないよな! はははっ!」「ですわね、ははははっ!」 酔っぱらい二人に笑われた。 こんなにイカツイ一つ目巨人なのに、なぜ笑われるんだろう? ……その日は日が暮れるまで、楽しく遊んだ。 ちなみに、邪眼持ちは他にもいる可能性があるらしい。 詳しい能力や誰かはわからないらしいけど……。☆★☆★☆――現実世界のアパート。 ぐつぐつ~♪ 一人用のコンロで一人用土鍋。 小さいコタツにて一人鍋である。 豚肉に野菜、豆腐にうどん、旬のキノコもはいっている。 こちらの世界の私は二つの眼がある。 ちなみにド近眼に乱視付き。 あっちの世界の眼が羨ましくなる。 現実世界は潜水艦事故の影響で、今でも電
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第87話……資源探査と8番ゲート

――遍く銀河は広く、そして儚い。 例え、そこにお金があったとしても……!?「ミスリル鉱石GETぽこ~♪」「アダマンタイトの結晶GETくま~♪」「儲かりますわね♪」 今日はラム星系外縁にて、資源探査……という名のお小遣い稼ぎ。 どの星系の外縁にも、だいたい小惑星地帯があり、多くの鉱石が採掘されやすい形で放置されている。 それに合わせて、急ごしらえで作った資源採掘船で資源調査をしていた。 惑星ベルより外周にある準惑星ツーリアを探査基地として、私たちはラム星系の外縁調査を進めていた。 私は軍には復帰したものの、担当職を与えられたわけではないので暇だったのだ。 カリバーン帝国としても、一貴族として上納金を治めさせた方が得策と考えているのかもしれなかった……。 それくらい武官としては暇だったのである。 ……しかし、一領主としては忙しい。 開墾に治水、街づくりと、マメにやるほど目に見えて成果がでたのだ。 確かに、すぐにお金になるわけではない。 しかし、農地や街並みが広がる光景は頑張るに値するものだった。 星系ラムの中で、主星である惑星ベルにおいては、農業プラントや従来型の畑などで農作物を捻出。 漁業型養殖プラントや農場もフル回転だ。 それを担保として、外星系の他種族移民を受け入れた。 彼等が更なる増産のための労働者となり、更なる食料の賄い手となってくれた。 ……、まぁ正直、自分の星系の人口が増えるだけで楽しいよね。 最近発見した準惑星ツーリアにおいては、造船と交易の為の宇宙港を急ピッチで整備中だ。 宇宙船建造ドックを新設で6基稼働。 大型交易ステーションも来月には新装OPENする。 これも一重に、今までのハンニバル開発公社の事業のノウハウあってのことだった。 ……なにも利益剰余金だけが企業の資産ではない。 人・モノ・金・技術・全てが大切な資産であり宝だった。 準惑星ツーリアの造船所では、主に資源採掘船を建造していた。 資源がいくらでも必要なこと以外に、フリーの宇宙冒険者の為への建造だった。 フリーの宇宙冒険者に採掘船を安く貸し出し、採って来てもらった資源やデータを買わせてもらうのだ。 ハンニバル開発公社も大きくなり、すべての開発案件を自分たちで行うことは不可能になっていたのだ。 絶え間ない開発と情報収集は、人の手を
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第88話……3基合体!? 新型エルゴ機関AAA-1型

――戦争の勝敗とは、時代の定規が支配する。 時に数であったり、時に質であったり、それを振り返ることができるのは、勝者という結果の物差しだけなのである。 我々の住む世界で行われた戦争で、50年以上も前の場合は、とにかく兵力の数と物資の差が勝敗に与える影響が大きかった。 ……つまり数の歴史である。 しかし、現代はA国の一個の空母打撃軍や海兵隊戦車一個師団と対するのに、全世界の兵力を集めても敵わないとされている。 ……つまり質の歴史である。 あくまでも質や量、盾や矛、どちらが勝つのかは、それぞれの時代の勝者が結果的に定めるのである。 ……一体、この世界は何が勝敗を決めるのだろう? 質か、それとも量か、さてまた第三の要素か……。「オーライ、オーライ」「ストップ!」 準惑星ツーリアの第8ゲートでは、ハンニバルのエンジンの積み替えが忙しなく行われていた。 このツーリアの発掘した古代艦で手に入れたエルゴ機関と、以前に巨艦ハボクックから得たエルゴ機関の相性の良いもの、三つの機関を直列でつなぎ合わせた新機関、エルゴ機関AAA-1型である。 あまりにも贅沢にエルゴ機関を使うため、古代アヴァロンの記録の上でしか確認されないタイプのエンジン組成だった。 ……この世界の機関は、旧来型の核融合型は短距離戦術跳躍ができない。 かつ、長距離跳躍後にエネルギー不足を8時間にわたって起し、その間はシールドを張れないなどの欠点があった。 つまり、長距離跳躍後に攻撃されると、全滅の恐れがあったのだ。 これに対して、エルゴ機関は戦術短距離跳躍が出来、機動性のある駆逐艦などの戦術短距離跳躍は恐ろしい威力を持つ。 しかも、長距離跳躍後にもエネルギー不足を起こさない為、とても優れた機関であった。 ……が、その機関を作ることは未だにできず、今ではほとんどない古代アヴァロンの遺跡から発掘するしかない。 むしろ、これから新規のエルゴ機関の入手は困難とされている、とても貴重なものだった。 また、燃料は液体アダマンタイト化合物という特異な物質を必要としていた。 この二つの命題に答えを出したのは、およそ20年前のグングニル共和国の若き技術者達だった。 彼等は古代アヴァロンの遺跡からエルゴ機関本体ではなく、比較的汎用性の高い廃用部品を集め、それを補う部分のみを別途に現用技術で作っ
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第89話……違法麻薬を取り締まれ!

「重力圏進入と当星への着陸を認める!」「了解!」 ハンニバルはエールパ星系内の惑星リーリヤの管制部門に許可をとり、着陸モードへと移行する。「機関大気圏モード移行!」「……成層圏進入!」「逆噴射開始!」「安定翼制御良し!」 ハンニバルの大きな艦体が大気と擦れ赤色する。 耐熱タイルにミクロのヒビが入る……。「着水完了! 水上航行モードへ入ります!」「了解!」 ハンニバルは無事に沿海の海へ着水し、水上型の宇宙港へ向かう。 800mもの大型艦だったので、直接宇宙港へは着水できなかったのだ。 ……その後、港湾より上陸し、蛮王様の政庁へ乗り合いタクシーで向かった。☆★☆★☆「少将、よく来たな! まぁ座れ!」「はっ!」 私は蛮王様に敬礼し、勧められた椅子に座る。「今回は交易品調査をしてもらいたい」「我が領でも禁止薬物の横行が目立ってな……」「そうなんですか?」「……ああ」 蛮王様が珍しく暗い表情だ。 領民に麻薬が横行していることを考えれば普通なのだろうが……。「……では、早速調査にまいります!」「たのんだぞ! 少将!」「はっ!」 私は蛮王様の政庁を後にし、すぐに調査に向かった。 ……まぁ、ここに来るまでにあるていどの下調べはしてあったのだが。☆★☆★☆「手を挙げろ!」「武器を下に置くポコ!」 とりあえず、怪しいところに踏み込んだ。 武装した精強なドラグニル陸戦隊50名を連れているので、現場の制圧は楽だった。 ……制圧現場は、惑星リーリヤの警察施設だった。 だいたい組織犯が捕まらないときは、それを取り締まる側が犯人である場合が多い。「貴様ここをどこだと思っている!」「知らないな! 死にたくなければおとなしくしろ!」 逆らうやつを殴り倒し、銃口を向ける。 警察も武力を持つが、軍隊にはかなわない。 しかも、こちらは他所者でシガラミがないので、警察だろうがどこだろうがお構いなしだった。「な、なんの証拠があって!?」 被疑者である警察幹部は無罪を主張するが、「これを見ろ!」 星間ギルドというヤバい組織から貴重な情報を、事前に大金で買ってあったのだ。 彼等はお金になれば何でも売るのだ……。「……」「つれていけ!」 おとなしくなった警察幹部をハンニバルへ連行する。 その後、警察施設の壁を壊すと、
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第90話……大要塞リヴァイアサンでの観艦式

――宇宙戦艦。 その巨大な威圧感は一種、神々しいものがある。 全長400mを超える宇宙戦艦は、まさに巨大な塔や超高層ビルディングを横にしたような絶大な威容を誇る。 戦闘時以外は、艦体サイドのディテールから星雲の如きライトが光る。 その巨大な砲門から発射されるビームは、世界の全ての質量を蒸発させるであろう予感を抱かせる。 着陸時は100を超えるサーチライトに照らされ、まさに空に浮かぶ城といった風貌であった……。  装甲戦艦ハンニバル、かの船の全長はおよそ800m。 カリバーン帝国でも有数の巨艦だった。「第2埠頭、装甲戦艦ハンニバル入港オーライ!」「管制へ! 誘導感謝する!」 ハンニバルは帝国軍の皇帝臨席の観艦式に合わせ、巨大宇宙要塞リヴァイアサンに入港していた。 ハンニバルの艦長は地獄の番犬ケルベロスことヴェロヴェマ少将。 残虐な殲滅戦を得意とする、一つ目の巨人族の猛将である。 彼がその巨体を幕僚と共にタラップに現すと、出迎えた将兵が一斉に敬礼で出迎えた。 彼は幕僚たちと、敬礼をしながら会話を交わす。 ……次の一大作戦の打ち合わせであろうか?「リヴァイアサンの港は来たかったんだよな~♪」「今日はラーメンが食べたいポコ♪」「ここはパスタもおいしいらしいですわよ♪」 ……。☆★☆★☆ 重厚な赤絨毯に文武百官が居並ぶ中、観艦式と閲兵式は終了した。 皇帝陛下はお元気なようでなによりである。 私はリヴァイアサンの軍港の一角のテラスでぼーっとしていた。 空を見ながらの煙草も旨かったのである。「提督! お客様がおいでですわ!」「はいはい」 ……観艦式や閲兵式は軍の一大行事であることで、お客様も多い。 殆どは挨拶だけの儀礼的なものであったが……。 お客が待つホテルの一室へ向かう。「初めまして……」 翠の服を着たちょび髭を生やした中年の男から名刺を頂く。 名刺には武器商人とある。「武器は間に合ってますよ」 時間を無駄にしては悪いと思い、最初に断っておいた。「いえいえ、今日はそのような話ではございません」 彼は周りを気にしたあと、一枚の紙切れを私に見せた。「……ん!?」 その紙には、【グングニル共和国中将の椅子は如何ですか!?】と書かれていた。「いやいや、これはなんとも……」 表情をごまかし、頭をかく。
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