All Chapters of 溺愛御曹司の恋愛指南♡ ~初恋女子はお坊っちゃまから愛されすぎる~: Chapter 81 - Chapter 84

84 Chapters

彼は、わたしだけのもの Page8

「……堀田さん、大丈夫ですか? 美咲さんが捕まったのは堀田さんのせいじゃないですよ。彼女の自業自得です」 「うん……。ありがとう、佐々本さん。分かってはいるんだけどね、やっぱりショックなの。私がもっと早く止められてたらな……って思うと」 「堀田さん、あまり自分を責めるなよ。君のせいじゃないし、こうでもならないと彼女の暴走は止められなかったんだから」 「連城部長……。はい、そう……ですよね」  寛斗さんに優しく慰められた堀田さんは、やっと美咲さんという重荷から解放されたようにホッとした顔をして「それじゃ、私はこれで失礼します」と会議室を出て行った。彼女は制服のままだったので、わざわざ仕事を抜け出してきてくれたんだと思う。何だか呼びつけてしまって申し訳なかったな……。 「――さて、寛斗。野田美咲君のことだが、犯罪者となってしまった以上、会社としても処分を下さないわけにはいかない。それはお前も分かっているな?」 「もちろん分かってます。俺も、彼女を庇い立てするつもりはありません。彼女はやってはいけないことをしてしまったんですから」 「……あの、わたしは外しましょうか?」  役員三人が美咲さんの処遇について話している席に、部外者であるわたしはいない方がいいだろうと思ってそう言ったのだけれど。 「いや、君は残っていてくれ。この件の被害者である君の意見も聞きたいからね。構わないでしょう、社長?」 「そうだな。そういうことなら、分かった。佐々本君、君もこの場にいてくれ」 
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彼は、わたしだけのもの Page9

「佐々本さん、申し訳ない! 君を横領犯だと決めつけて、疑ってしまって。元部下の君を傷付けてしまった。私を許してくれとは言わない。名誉棄損で訴えたいというなら、それでも構わない。このとおりだ!」  荒木部長はその場でわたしに土下座をして謝った。わたしは元上司のそんな姿を目にして、怒りよりもむしろ憐れみを感じた。わたしがかつて尊敬していた、部下思いの荒木部長はこんな人だったのか……。 「……もういいです、荒木部長。わたしはあなたを訴える気なんてありません。でも勘違いしないで下さいね? あなたを許したわけじゃないですから。わたし、本当に傷付いたんです。元経理部だからってだけで、証拠もないのに疑われて。許せるわけないじゃないですか。もちろん、わたしを嵌めた美咲さんのことは許せないですけど、それと同じくらい部長のことも恨みますよ。それだけ悔しかったんです、わたし」  もっと毅然と向き合いたかったのに、気がつくと涙がポロポロと零れてきた。そういえば、寛斗さんの前で泣いたことなんて今までに一度もなかったかもしれない。 「……でも、訴えたらその分お金も時間も取られるんです。わたしはそんなことにかまけてる場合じゃないんです。今抱えてる仕事は責任も重いし、寛斗さんとは結婚も控えててやらないといけないことが山ほどあるんです。だから訴えない、それだけです。部長が反省して、もうこんなことはしないって約束して下さるなら、この件はもうこれで終わりにしてもいいですよ。ちょっと
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エピローグ Page1

 ――オフィスに戻ると、美緒が「おかえり」と言ってくれた後、わたしの目が少し赤くなっていることにいち早く気づいてくれた。 「……あれ? 若菜、さっき泣いた? ちょっと目が赤いような」 「うん、ちょっとだけね。でも美咲さんにじゃなくて、わたしのことを疑った経理部長にムカついて、つい感情が昂っちゃって」 「そっか……。それで、野田さんはどうなったの?」  わたしは美緒に、美咲さんは横領犯として警察に連行されたこと、そして会社は懲戒解雇処分になることを報告した。そして、警察が来る前に堀田さんが彼女を平手打ちしたことも。 「堀田さんって、ホンモノの親友だったんだね。野田さんに裏切られてさぞ悔しかったろうと思うよ。もしあんたが美咲さんで、あたしが堀田さんの立場でも絶対殴ってるもん。多分、逆でもそうなったと思う。でしょ、若菜?」 「うん。わたしが堀田さんの立場でもそうしてた」  もちろん、これはあくまでもたとえばの話で、わたしも美緒も横領なんて絶対にしないけれど。 「で、結局あの女があんなことした理由って何だったの? まさか、あんたへの嫌がらせってだけで?」 「そのまさか。彼女ね、最後までわたしに恨み節言ってた。『あんたのせいで』とか、『この女がいなければ』とか。もう見苦しいったら」 「あれまぁ、あんたも災難だったねぇ……。妙な女に絡まれて」 「うん、ホントにねー。でももう、うるさい犬にでも噛まれたと思って忘れるよ。美咲さんは法で
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エピローグ Page2

 ――そして月が明け、七月。わたしの初の大仕事となったイベントの前日、吉田商店さんから発注していたイベントのグッズが無事に納品された。 「吉田社長、わざわざ届けて下さってありがとうございます! ご連絡頂けましたら、こちらで受け取りに伺いましたのに」  グッズは吉田商店の社長さんと社員のみなさまが、わざわざ直接運んできて下さった。 「いえいえ。佐々本さん、あなたがこれを発注して下さった時に直接足を運んで下さったんで、我々もこうして直接納品に来たんです。誠意には誠意、これが私のモットーでしてな。今後とも、御社とはよいお付き合いをしていきたいと思っております」 「こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します。本当にありがとうございました」  吉田商店はわたしが初めて開拓した新規の取引先だ。寛斗さんだけじゃなく、社長もわたしのこの仕事を高く評価して下さった。  納品されたグッズはどれも品質も申し分なさそうで、コストを今までより低く抑えてもこれだけのクオリティーの商品ができるなら、やっぱり〈アイワ商事〉からは相当高い金額をふっかけられていたんだということが分かる。 「では、こちらが受領証となります。お約束どおり、イベントの収益から何割かを御社に分配しますので」  わたしから受領証を受け取った吉田社長は、「分配は一割で構いませんよ」とおっしゃった。お金よりも、この仕事をやり遂げたことの充実感の方が大きかったから、と。  翌日はよく晴れてイベント日和だった。わたしたち経営戦略部もグッズのポロシャツやTシャツを着て、イベントの運営に携わった。 美咲さんがいなくなり、当初のメンバーから一人足りなくなったけれど、
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