――それからまた数日後、わたしは経営戦略部に異動してから初めてのお給料日を迎えた。 「はい、佐々本さん。今月の給与明細ね。この一ヶ月、よく頑張ったな。お疲れさま」 「ありがとうございます!」 お昼休みに入ってすぐ、部長である寛斗さんから給料明細を受け取ったわたしはホクホクと開封する。 ウチの会社は毎月十五日締めの二十五日払いなので、もちろんここに書かれている金額はこの部署に変わってからのお給料である。 「おお……、こんなに増えてるなんてビックリ」 経理部にいた頃もなかなかいい額のお給料をもらっていると感じていたけれど(手取りで三十万弱はあった)、ここでのお給料はそれよりさらに高い。手取りを計算してみると、五万円も多かった。 「でしょ? 若菜、ここに来てから頑張ってたもんね。当然の金額だよ。あたしはそれよりちょっと少ないかな」 美緒に見せると、彼女はそう言ってわたしを労った後に自分の明細も見せてくれた。確かにわたしより二万円ほど少ない。 「それでも高い方なんだけどねー。ちゃんと生活できるし、一人暮らしだから家賃補助も出てるし」 「そうなんだ? 家賃が補助されるのはいいよね」 社会人になってから、美緒が一人暮らしをしていることはわたしも知っていた。彼女の部屋にも何度も遊びに行っているから。 そもそも、他の会社のお給料の額なんて就活の時に初任給の額を調べたくらいなので、あまりよく知らない。わたしは友だちが少なかったので、他の同級生が今働いている会社でどれくらいのお給料をもらっているかも聞いたことがないし。 「よかったね、若菜。これで今まで以上にお母さん孝行できるじゃん」
最終更新日 : 2026-06-10 続きを読む