莉奈が席につくと、会議室の空気が少し変わった。モニターにはまだKUZÉ ma vieのロゴが残っている。淡い色。細い文字。明るい写真。先ほどまでそこにあったのは、これから始まるブランドの話だった。誰に届けるか。どう見せるか。何を感じてもらうか。そこから先を確認するため、鷹宮は手元の資料を開いた。「では、いくつか数字を確認させてください」怜央が姿勢を正す。「はい」莉奈も鷹宮を見る。宗一郎は腕を組み、少し背もたれに体を預けた。美緒だけは視線を下げたままだった。ただ、手元に置いている資料の位置が変わっている。先ほど開いていた売れ残り率別損益。その上に、商品別収支。横にはEC関連資料。鷹宮はそこを一度だけ見た。そして、莉奈へ向いた。「まず、百貨店催事についてです」「はい」「初回分として予定している数量のうち、三割が催事終了時点で残った場合、どうしますか」莉奈はすぐに答えた。「ECへ回します」迷いはなかった。想定していた質問なのだろう。「全商品ですか」「いえ。賞味期限の短いものは難しいので、焼き菓子やジャム、調味料を中心に」「では、その分をECで消化する」「はい」「どのくらいの日数を見ていますか」莉奈がわずかに止まった。「日数?」「在庫消化までです」鷹宮は資料をめくらずに続けた。「現在のEC転換率を前提にした場合、催事残在庫の三割を何日で消化できますか」莉奈の視線が一瞬、手元の資料へ落ちた。答えは出なかった。「そのあたりは」莉奈が怜央を見る。「ECの数字と合わせて計算していると思う
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