美緒から連絡がなくなって、三週間が過ぎていた。鷹宮は、その日数を数えていたわけではない。次の相談日を決めていたわけでもない。理念を書き直したら見せてほしいと約束させたわけでもなかった。最後の面談で伝えたのは、次は、理念の欄だけ見ても構いません。ということだけだった。期限は置いていない。完成を求めてもいない。美緒が再び相談するかどうかも、美緒自身が決めることだった。だから、連絡がないこと自体は何もおかしくない。鷹宮はそう理解していた。理念の答えが出ていないのかもしれない。事業計画そのものを見直している可能性もある。起業という選択肢を考えた結果、やめると判断したのかもしれない。それなら、それでいい。事業を始めることが正解なのではない。選択肢を並べ、比較し、自分で選ぶ。鷹宮が美緒へ求めたのは、それだけだった。それでも、仕事の途中で思い出すことはあった。地方企業の事業計画書を読んでいるとき。創業理念という文字を見たとき。経営者が、地域に貢献する、顧客を笑顔にするといった抽象的な言葉を並べているとき。美緒なら、あの問いへどんな答えを出しただろう。そう考える。そのたびに、鷹宮はそこで思考を止めた。答えが出たなら、美緒が必要だと思ったときに連絡してくる。出なかったなら、それも一つの結果だ。こちらから、その後いかがですか。考えはまとまりましたか。と尋ねる必要はない。むしろ、尋ねない方がいい。鷹宮は、あの夜に自分で決めたことを覚えていた。私生活を尋ねない。久世家を批判しない。離婚を勧めない。個人的な連絡を増やさない。美緒の決断を先回りしない。自分を頼らせる関係を作ら
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