Lahat ng Kabanata ng 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない : Kabanata 201 - Kabanata 210

298 Kabanata

森の主ラバナル

「なに、もう一戦交えた? なぜワシに言わんで始めた?」 すげぇ残念そうに言うラバナルだけど、僕は始めからこのタイミングで言おうと決めていたので馬耳東風を決め込んでいる。「まったく……せっかく思案がついた鉄の弾丸を実地で試せる場があったと言うのに、みすみす見逃してしまうとは」 怖いこと言うね。  人の命をなんだと思ってるんだよ、この人。  もっとも、僕もその力をあてにしているので同じ穴の狢ってわけだけどね。「次は試せますよ」 と、表情を作らず、言葉に抑揚を乗せずに答える。「なんと?」「次は小競り合いじゃなく戦争になります。ですからあなたのお力を借りたくこうしてお願いにあがったわけです」「重畳重畳。して、その『次』はいつだ?」 せっかちだな。「さぁ、いつでしょう? 前回が十六日後でしたから少なくとも二十日は先かと」「そうか……」 本当に残念そうだね。「今日はその件でご相談したいことがあるのですが」「なんぞ?」「男爵軍が来るまでは、ここにおられるのでしょう?」「町で愚かな人族と一緒に暮らしたくはないからの」 歯に衣着せぬ辛辣な表現ありがとう。「では軍が来たことはどのように報せれば良いかと言うのが、本日の相談事です」「お主が知らせに来ればよかろう」「お館様は町の指導者です。伝令扱いされては困ります」 オギンがむすっと反論する。「なるほど、正論じゃ」「伝令を遣わせてもいいのですが、ここに来るまでにたっぷり一時間はかかる。戦に時間は惜しい。そこで、こんなことが魔法でできないかと……」「どんなことだ?」 おっと、食いついた。「瞬時に目的の場所まで移動できるとか」「魔法は理を操る技術じゃ、理屈が通らねば実現できん」 なるほど。
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ズラカルト男爵軍対策としての魔法

 僕は糸電話の原理を説明する。  糸電話は地球では十七世紀に発明されたと言われている。  最初に作られたのがブリキ缶を針金で結んだものだったため、英語ではブリキ缶電話という。  地球の物理的には糸をたるませると振動しなくなるけど、魔法なら魔力そのもので振動させられるんじゃないかと踏んでいる。  ラバナルの目がキラッキラと輝きだした。「できるぞ。それなら魔法にできる。お主、やるな」 僕じゃなく(前世世界の)先人の知恵なんだけどね。「しかし、それを実現させるにはやはり魔力操作が必要だな」 む?「つまり、町に魔法が使える人間が必要ということですか?」「道具に魔法陣を施せば魔道具として用意できるが、魔道具は魔力を通さねば使えんでの」 僕はオギンと顔を見合す。  候補は三人。  物見櫓から落ちて歩けなくなったチャールズ。  カシオペアの紅一点ペギー。  そして、ルダーとヘレンの娘ママイ。  もっとも、ママイはまだ一歳にもなっていないから無理だ。「魔力感能力が高いのが町には二人いる。ここに通わせてもいいかな?」「む。二人か。……いいだろう」「一人は事故で歩けなくなっているんだけど……」「面倒な……とはいえ、会ってみなければなんともいえん。明日、連れてこい」「僕も?」 やることいっぱいあるんだけどな。「お館様は忙しいんだ、あたいが連れてくるんじゃダメかい?」「んーん、仕方ない。三人だけだぞ」 翌日、ラバナルに面会した二人はどうやらお眼鏡にかなったらしく、チャールズはしばらく住み込み、ペギーは三日に一度通うことになった。  十日後、ペギーとオギンによってラバナルの家、物見櫓、僕ん家の三ヶ所に魔道具電話が施設された。  電線がわりに利用されたのは魔法によって生み出された糸だ。  魔法の糸なので強度が高く腐食にも強いんだって。  さらに四日経って、
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兵は神速を尊ぶ

「じゃあ、明日か明後日にはここに来るってことでいいのか?」 僕ん家の囲炉裏の間で行われている軍議。  参加しているのはジョー、カイジョー、イラード、ペギーそしてザイーダ。「いえ、隣村からこの町までの道は行軍には不向きですので、先行して人夫が道の拡幅作業をしています」 あら、ありがたい。「それってどれくらいの時間がかかりそうなんだ?」 結構かかりそうだぞ?  つーか、無駄な労力だと思うね、本当にありがたいけどさ。  「兵は神速を尊ぶ」は魏書郭嘉伝だったかな?  まぁ、地球でもヨーロッパとアジアでは戦争の仕方が違ったわけで、今回の一戦でこの国の戦争実態が初めて知れることになるわけだ。  おおよそは文献で想像がつく。  国王を頂点とする封建国家、爵位の制度があって国王に対する直臣貴族の領主がおり、その下に陪臣、下級貴族である騎士が存在する。  軍は騎士と傭兵で構成されていて、少なくとも現時点では徴兵制はない。  騎兵、つまりホルスに乗れるのは騎士以上。  ま、だから騎士なんだけど。  傭兵は自分の得意武器によって剣兵、槍兵、弓兵に分けられる。  ってところが、僕の現世知識だ。「拡幅といっても大木を伐採するわけではありませんから、四、五日後には姿を現すでしょう」 どんなことをしてんだろ?「軍勢規模は?」 侍大将カイジョーとしてはやっぱりその辺気になるか。  当然、僕も気になる。「騎兵十五騎、弓兵二十、それに剣兵が三十六人です」 七十人規模。  結構な人数だ。  想定より多いのは前回あまりにも華麗に追い返しすぎたせいか?「歩兵のうち騎士の配下、正規兵は何人だ?」「そこまでは……」「カイジョー、正規兵と傭兵だと違いがあるのか?」「ええ、傭兵は不利と見るや逃げ出します。命あっての物種ってやつですよ」 なるほど。「
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布陣

 総大将はもちろん僕。  僕はサビーとガーブラと一緒にホルスに騎乗、ペギーと一緒に本陣としてカイジョーの後ろに布陣だ。  カイジョーにはペギーを除くカシオペアの四人の他に剣士として二十人、ギランにも剣兵隊として反お館派の十六人をつけた。  ちなみにギランの軍は先鋒にした。  ギラン隊の前には飛び道具の二隊。 イラードには七名の男をつけて弓隊に、ザイーダには投石隊として女たちを二十人任せている。  どの隊も今日は畑の外れで野営だ。  ジョーのキャラバン隊は遊軍として雑木林の中に伏せてもらっている。  予備役、雑用係として主に女子供と老人が門の中で待機している。  その数ざっと五十人。  震えてきた。  夜のうちに改めてオギンを斥候に放つ。  そのオギンが戻ってきたのが朝靄けむる早朝だ。「あと三時間ほどで接敵します」「判った。サビーはイラードとザイーダ隊に、ガーブラはカイジョーとギランに伝令」「はっ!」 二人は短く返答するとホルスを蹴って駆けていく。「ペギーはラバナルに知らせろ」「すぐに」「疲れているところすまないがオギンは雑木林の中にいるジョーに伝えてくれ」「はい」 あ、僕の周りに誰もいなくなった。  思ったより心細いな。  そんなことを思っているところに「ペギーが来たんでな。陣中見舞いだ」 と、焼きたての無発酵パンを持ってルダーとクレタがやってくる。  気がきくな。  ちなみにルダーには町の差配を担当してもらっている。「いよいよか」「ああ、いよいよだ」「勝てるか?」「勝つよ」「そう願いたい」 それだけ言って帰っていった。  ほどなくしてペギーたちが戻ってくる。「オギンには二時間の休息を命じる」「お館様?」「戦が始まったらこき使うからそのつもりでいろ
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開戦!

 街道は一本道でホルスの二頭立てキャラバンが通れる程度の道幅しかない。  徴税に来てるくらいだからそれくらいは敵だって判っている。  ……はず…………たぶん。  だから行軍は二列か三列縦隊なはずだ。  畑に出るまでは軍を展開できない。  そこをまず飛び道具で狙い撃つ。  先制攻撃だ。  町からなだらかに下っている斜面はそれなりに見通すことができるので、戦闘が始まったのは見て取れた。  弓より射程の短い投石兵の女性陣がまず街道の出口に一斉攻撃をする。  次の投石準備をしている間に狙いを絞った弓兵八人がそれぞれの的を撃つ。  しばらくはこれの繰り返しだ。  敵の先頭がどの兵種だったか判らないけど、少し下がって弓兵を展開することになる。  こちらの兵は準備万端畑に設置した置盾に隠れながらの投石・射撃なのに対して、相手側は不意を打たれて浮き足立っている。  とはいえ、こちらは民兵であっちは正規兵と傭兵という戦闘のプロ。  体制が整うと不利になる。  特にこちらの主力は女性の投石兵だからね。  弓兵の戦力差は二十対八。  投石で相手にどれだけ損害を与えられていたかが気になるところだ。「始まっておったか。どうじゃ、戦況は?」 ラバナルがチャールズを連れてやってきた。「始まったばかりだよ。まだなんともいえない」「そうか」「鉄の弾丸の威力はどうなった?」「うむ。なかなかの威力になったぞ」「ここから狙える?」 ここから戦場までは一カル半ってとこだろうか?「届きはするじゃろうが」 威力はない、と。「じゃあ、一度に何発撃てる?」「一度に? やったことはないが三発はできるじゃろう」「じゃあ、早速お願いしたい」「おお、いいじゃろう! ぬふふ」 味方でも怖いな。 敵の弓兵が森の木を遮蔽物にしてこちらへの反撃を始めたので、ラバナルには弓兵のとこ
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天にでも愛されたか、素晴らしき魔法の才能

 接敵と同時に圧されていたギラン隊は、カイジョー隊が乗り出して逆に攻勢に出る。  あー……畑が荒れる。  今の所二割くらいか。  できれば三分の一、最悪でも全体の四割程度で収めたい。「お館様」 前進しようとしたところに、ルダーが作った車椅子をガブリエルに押してもらいながら、チャールズが声をかけてきた。「なんだ?」「ワタシにも何か手伝うことはありませんか?」「何ができるんだ?」 せいぜい十日だろ? 魔法の修行を始めて。「火や水を生むことができるようになりました」 む。「どの程度の規模で?」 訊ねると、彼はスラスラと魔法陣を描いてポンと左の手の上にピサーメ大の火の玉を生み出した。 いや、すごいけど……たった十日やそこらで、そんなことができるようになるってのはそりゃあすごい(なるほど、あの人族嫌いのラバナルが手元に置いて弟子にするだけのことはある)けど、その程度だと……「水は? 雨のように振らせるとかできるか?」「雨のように……」 ふむと、顎に手をあて小首をかしげる。「たぶんいけると思います」 まじか!?「チャールズ、すぐさま雨を呼び、街道の入り口付近に降らせろ」「は、はいっ!」「お館様、何をなさろうとしているのですか?」 サビーの疑問はもっともだ。  何を突拍子も無いこと考えてんだって思うよね。「騎兵対策だ」 言葉足らずだけど、今は戦況が優先だ。  ウンチク垂れてる暇はない。「サビー、投石隊と合流する。急ぐぞ」「はっ!」 投石兵と合流した頃、街道の入り口付近に小さな雨雲が生まれてポツリポツリと雨が降り出した。  すげーすげー、いや、その才能羨ましいよ、チャールズ。  すると鬼の形相でラバナルが走ってきた。「あれは、魔法じゃろ」「ああ、チャールズが雨なら降らせられるというん
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完勝!!

 ラバナルが魔法陣をスラスラと描く。  それを見てチャールズが「なるほど」とつぶやく。  どうやら魔法陣の構築が甘かったらしい。  一天俄かにかき曇り、てな具合でチャールズの降らせた範囲に分厚い黒雲が湧き上がってざんざんと文字通り滝のような雨が降る。「サビー、剣兵を十シャル後退させろ」「は?」「騎兵をあの雨の下におびき出すんだ」「なるほど」 合点がいったサビーはホルスの腹をけって前線へ向かう。「どれ、ワシも前線へ戻るとするか。騎兵を狙えと言われとるでな」 びっくりするくらい好戦的だよね。「怖いくらい好戦的ですね」 ラバナルと一緒に戻ってきていたオギンが、走り去るラバナルの背中を見つめてつぶやく。  ホントだね。  五百年前の人族の苦労が偲ばれる。  戦場が十シャル後退したことで、街道の出口にスペースが空く。  それを好機と見た敵軍は、満を持して騎兵を押し出してきた。  いや、それ、こっちの思うツボ。  たっぷり水を含んだ畑は人の膝丈ほどもぬかるんで、ホルスの動きを封じる。  そこにラバナルの鉄の弾丸や弓兵の矢、投石兵の石が降るのだから当たらないわけがない。「退け、撤退だ!」 よく通るあの声には聞き覚えがあるぞ。  同時にジュニアの喚き声も聞こえる。  こっちは何言ってんだかよく判らないけどな。  ま、きっと「退くな」とか罵詈雑言の類とかだろうと思うけど。  撤退の号令に素早く反応したのは傭兵たちだ。  判断早いね、さすが命大事な傭兵家業。  ところが、畑は泥沼だから退くに退けないわけだけど。  そこに雑木林からキャラバン隊がぬっと出る。「武器を捨ておとなしく投降せよ!」 いいとこ持っていくなぁ……。  戦意を喪失した者たちが次々と武器を捨てて手を上げる。  よし!  合戦終了だ。  お楽しみのアレいってみよう!「勝鬨じゃー!」
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戦後処理と捕虜

 戦後処理が始まる。  まずはこちらの被害の確認だ。  死者は二名。  ギラン隊から出た。  ……うん、これは完全に僕の采配ミスだ。  あー、また怨まれるな。  重傷者はギラン隊を中心に六名。  こっちはチャールズとラバナルがある程度治してくれたので後遺症の心配は少ない。  魔法様様だ。  そして、チャールズ天才すぎ。「魔法ってのは、ありがたいですな」 と、カイジョーがしみじみという。  判るよ、その感想。  軽傷はガブリエルが手当てをしてくれる。  さて、オルバック軍は戦死者五名(内、弓兵三名、剣兵一名、騎士一名)、投降したのが十二名。  ホルスが三頭。  こんな感想は不謹慎だけど、案外死なないもんだね。  結構な激戦だと思ったんだけどな。「投降者の内訳は?」「はい、傭兵九名、騎士一名、騎士の従者が二名です」 と、イラードの報告。「ほ? 騎士?」「はい。実際には殿を務めて味方を全て逃した上、最後まで抗戦する態度を示していたのをジョーが説得したようです」 グッジョブ、ジョー!「死者は丁重に葬って、捕虜は三人ずつに分けて見張りをつけろ」「はっ!」 おっと。「騎士と従者は館へ」「かしこまりました」 ひとっ風呂浴びてさっぱりしてから客間に通してあった騎士様に面会だ。  もちろん、捕虜として武器と鎧を取り上げた上に縄で縛られているんだけどね。  部屋に入ると、そこには騎士と従者、その見張りとしてオギンとなぜかジョーがいる。  ジョーはこちらを見るといたずらがバレた少年のようにはにかんで頭を下げた。  何か企んでるのか?「まずは名前を聞きましょうか?」 やや間があって、あの声が答えた。「ズラカルト男爵領オグマリー区代官オルバック家騎士長補佐ルビンス」 ちなみにオグマリーというのはここを含
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裏切りのすゝめ

「この町の長をしているジャン・ロイです」「! 父から若いとは聞いていたが、これほどとは……」「僕を知っているお父さん?」「…………」 あれ? 黙秘?  僕を知っている騎士なんてジュニアと……お!?「ルビレル殿はお元気ですか?」 カマかけたのに眉ひとつ動かさないとは、よく訓練されている。  もっとも、奥歯を噛み締めたのを僕は見逃さなかったよ。  僕はルビンスの縄を解かせる「さて、この町は男爵殿に反旗を翻し、独立を宣言した。僕は、改めてこの地の領主になった」「そんなことが許されると……」「思っているよ」「なっ!?」「この国は国王の継承問題で争乱の中にある。もう一、二年もすれば領主同士が次の覇権を争う乱世に突入するだろう。そうなったら、誰もが国王になれると思わないかい?」「…………」 沈黙は思ったと見たね。  僕はオギンやジョー、ヤッチシの集めてくれたここ一年の国内情勢を彼に確認するように話す。  現状認識に齟齬はないようだ。  ということは、男爵家のどさくさに紛れた増税や、危機感もなく軍備を増強していない怠惰な状況なんかも判っているということだ。「ところで、ルビンス殿はズラカルト男爵でそんな乱世を生き抜くことができるとお思いか? いわんや代替わりの近そうなオルバック家が命脈を保てるなどとは、よもや思っておりますまい」 と、断定してみた。「主人を愚弄するのか?」 睨む目力が弱いよ。「愚弄も何も、辺境の町ひとつ落とせずに二度も退却しているではありませんか」 と言われれば二の句も継げませんよねぇ。  優秀なら優秀なほど、そこらへんの分析は冷徹だ。  あとは封建国家に存在している忠誠をいかに捨てさせるか。  さぁ、どう攻める?  ええい、めんどくさい。「どうです? 僕に仕える気、ありません?」
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付箋がわりの木簡で

「率直に言って今のままでは我が町も安泰とは言いがたい。いつまでもここにいてはジリ貧で、いずれ乱世に飲み込まれる。だけど、打って出るには人材が足りない。そこで優秀な人材を一人でも多く配下に加えたい。その方が有利だからね」「で、ワタシを配下に加えたい、と」「そ」「優秀と言っていただけるのはありがたいが、私はオルバック家に仕える騎士だ。忠誠はオルバック様に捧げている」「ジュニアに?」 ルビンスは沈黙する。「今この場で返事を求めているわけじゃない。この町を見て決めるといい。しばらくは客分として我が家にお留まりいただこう」「客分?」「捕虜ではあっても身分相応にもてなしますよ」「……かたじけない」 んーん……とは言ったものの、僕、独り身なんだよねぇ。  さて、どう差配しましょうか?  僕はいったん客間を退出して囲炉裏の間に座り込む。  やることはいっぱいある。  なにをどう処理するか、優先順位も大事だよね。(どうしたもんかねぇ?)(私に聞いてる?)(うん、聞いてる)(何度も言うけど、私はあくまでこの世界のナビゲートとしてあなたをサポートするのが役目なの。決断を下すのはジャン、あなたの役目よ)(だよねー。言うと思った) 考えること小一時間、木簡十七枚も使ってあーだこーだと整理する。  サラリーマン時代、ノートと付箋でやってきた情報整理術だ。  そして結論を出すと、オギンを呼ぶ。「お呼びでしょうか?」「うん、クレタとルダーを呼んできてくれ」「かしこまりました」 呼ばれてきた二人を囲炉裏の間に通すと、白湯を差し出す。「仕事を増やしてすまないんだけど、命令だ」「命令か。なんなりと」 ルダーは、ちょっとこの関係を楽しんでるよね、きっと。  彼も歴史小説好きとか言ってたし。  一方のクレタはむすっとしてる。  判る。  判る
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