「なに、もう一戦交えた? なぜワシに言わんで始めた?」 すげぇ残念そうに言うラバナルだけど、僕は始めからこのタイミングで言おうと決めていたので馬耳東風を決め込んでいる。「まったく……せっかく思案がついた鉄の弾丸を実地で試せる場があったと言うのに、みすみす見逃してしまうとは」 怖いこと言うね。 人の命をなんだと思ってるんだよ、この人。 もっとも、僕もその力をあてにしているので同じ穴の狢ってわけだけどね。「次は試せますよ」 と、表情を作らず、言葉に抑揚を乗せずに答える。「なんと?」「次は小競り合いじゃなく戦争になります。ですからあなたのお力を借りたくこうしてお願いにあがったわけです」「重畳重畳。して、その『次』はいつだ?」 せっかちだな。「さぁ、いつでしょう? 前回が十六日後でしたから少なくとも二十日は先かと」「そうか……」 本当に残念そうだね。「今日はその件でご相談したいことがあるのですが」「なんぞ?」「男爵軍が来るまでは、ここにおられるのでしょう?」「町で愚かな人族と一緒に暮らしたくはないからの」 歯に衣着せぬ辛辣な表現ありがとう。「では軍が来たことはどのように報せれば良いかと言うのが、本日の相談事です」「お主が知らせに来ればよかろう」「お館様は町の指導者です。伝令扱いされては困ります」 オギンがむすっと反論する。「なるほど、正論じゃ」「伝令を遣わせてもいいのですが、ここに来るまでにたっぷり一時間はかかる。戦に時間は惜しい。そこで、こんなことが魔法でできないかと……」「どんなことだ?」 おっと、食いついた。「瞬時に目的の場所まで移動できるとか」「魔法は理を操る技術じゃ、理屈が通らねば実現できん」 なるほど。
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