All Chapters of 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない : Chapter 161 - Chapter 170

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考えてもみなかった

 こう言っちゃうのは傲慢と取られるだろうけど、所詮小規模な農民の反乱だ。  反乱自体はおそらく苦もなく鎮圧できると思う。  問題は、そのあと村をまとめて秋を迎えられるかと言うことだ。  一致団結できなきゃとてもじゃないけど男爵の正規軍とは戦えない。  参ったな……キャラバンが残っていれば頼もしいんだけど、ギラン派もそこまでアンポンタンじゃないだろう。  まず間違いなく、いないときを見計らってことを起こすはずだ。  僕ならそうする。  それにしたって、ジョーはギランをどう言う意図でもって村にスカウトしたんだろう?「どうするつもりですか?」「ん?」「反乱です。速やかに粛清しますか?」 ……怖いこと言うね。「粛清はよくないな。恐怖政治は町人が萎縮するし、進んで協力してくれなくなる。なにより不満が募って反乱が連鎖しかねない」 とはいえ、反乱するに任せるなんて無策も統治能力を疑われるし、今後の僕の計画に町人を巻き込む際の障害になる。「……さて、どうしたものかなぁ……」「いっそのことその主とやらを倒してしまうと言うのはどうですか?」 …………はっ!?「いやいや、相手は主だよ?」「しかし、帰ってきたものがいないわけでもないのですよね?」「五体満足で帰ってきた人はいないんだよ?」「でも、村人ですよね?」 …………確かに。「仮に倒せなかったとしても、主の正体が判れば今後の対応も適切にできるのではありませんか?」 一理ある。「でも、町の主戦力に死なれちゃ今後の計画が……いや、反乱が起きてもダメージはでかいわけで……。んーん…………」「新しく町に来た五人は請負で怪物退治などもしていたそうじゃありませんか」 そういえば、そんなこと言ってた言ってた。  ある種の傭兵ってところだな。  オルグの襲撃から村を守った話を数日前にカイジョーに聞いたわ。  そんな実力者たちなら、いくらでも金儲けでき
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ゆけ! ゆけ! ジャン・ロウ探検隊!!

 三人の行方不明から三日、僕らは捜索隊を編成して主の森に入ることになった。  昨日、捜索隊を投入する旨を発表して、今日朝早くに町を出た。  捜索隊長は当然僕。  お館派からは村の主戦力五人とカシオペアの五人を。 反お館派からはドブルたち行方不明者の親族ら七人と、反お館派の中心人物とみられるギラン、エギュー、ジャミルトの十人を選抜した。  急先鋒の彼らを御していれば、僕の町長の地位はとりあえず安泰だ。  反お館派の十人には全員に帯剣させている。  剣はジャリの打った数打ちの短剣だ。  防具は残念ながら用意できていない。  対男爵を想定した大事な防具をこんなところで消費するわけにいかないんだ。  そもそもまだ五領も作られていないから全員に支給ってわけにいかないし、誰かに与えると不公平だしね。  お館派は全員自分の装備を持っている。  まぁ、彼らはそもそも荒事専門だし。  ちなみに僕はその貴重な革の胴鎧を着て、ドブルとの稽古で改良した僕専用の木刀型の剣を持っている。  胴鎧は贅沢にも胸部装甲を鉄板で補強している。  剣の剣先は刺突できるように尖らせているけど、斬れる刃のないモデルだ。  どうもまだ刃のある剣を振ると軌道がぶれるんだよね。  前世では何度か真剣で試し斬りさせてもらったことがあるんだけど、あれは剣道をかじった程度の人間がやっちゃダメなやつだ。  午前中いっぱい雑木林の中を捜索。  当たり前だけど手かがりはなかった。  そりゃそうだ。 三人が森に入ったことはサビーが確認しているし、主が咆哮したのを聞いている。  念のために腹ごしらえをして、三人が侵入した場所から主の領域に踏み入る。  主の森は雑木林と違って鬱蒼とした原始林だ。  当たり前ながら手付かずで、腰の高さほどもある下草も生え放題。  だからどこから入ったのか見当がついたわけだ。
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思考実験

 入って三日も立っているからか、さすがに雑草の生命力というのか、すぐに侵入ルートが判らなくなる。  その中を僕を中心に、互いに姿が確認できる範囲に広がってワシワシとかき分けていく。(リリム)(なに?)(ちょっと僕の思考に付き合ってくれない?)(いいわよ)(主はどうやって侵入者を見つけると思う?) いや、なんで出発前に考えておかないんだとか聞かないで欲しいんだけど、そりゃあまああれだ、森の中に入って初めて疑問に思ったからだ。  主がどんな存在なのか、僕には見当もつかない。  なにせ情報がなさすぎる。  仮に生き物だとする。  「主」なんていうくらいだからたぶん単独の個体なんだろう。  だとすればどれくらい広がっているのか判らないけど、この広い森をどうやって見張っているんだ?(面白いこと考えるのね?)(そうかな? 当たり前の疑問じゃないかな?) 例えば野生動物は縄張りを巡回し、マーキングする。  けど、巡回するったって人間のパトロールの事例を出すまでもなく、ピンポイントで侵入者を発見できるわけがない。  ところが今回を含めて僕の知っている四回すべてで半日としないうちに侵入に気づいて咆哮を上げている。  たぶん過去の事例も多少の誤差があったとして、半日以上無事でいたことはないだろう。  だって、半日無事でいられれば森から抜け出せると思うんだよね。(ジャンはどうやってると思うの?)(僕? んーん……どうやっているかってのは判んないけど、僕ならどうするかってことなら……) まずはできないことがない前提で考えてみよう。(僕が生きていた前世技術なら、監視カメラとか赤外線とかの侵入検知機なんてのがあるよね)(結界的な?) おぉ!  魔法が使えるならそういうのもアリだよね。  でもそれならバリヤー的な侵入できない系の魔法を展開すりゃいいんじゃないかな?(またテキとかケイとか言ってる)
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肝は大ならんことを欲し 心は小ならんことを欲す

(あと考えられるのは『主』が実は一個体じゃなくてある一定規模の集団で、警備に当たっている説?)(ジャン的にその考え方の可能性は何%?) リリムだって「的」使ってんじゃん。(プリプリしてないで質問に答えてよ) …………。(0%)(なんでよ?)(巡回してるんなら道ができてなきゃおかしいだろ?)(すごい。頭いい!) …………。(なによ? せっかく褒めてるのに) まぁ、嬉しくないわけじゃないけどね?(あとは超絶達人的に気配が感知できる説? テリトリーの範囲がその気配感知の範囲っていう)(ありえるの?)(戦うのがわくわくスっくらいの超人か、小宇宙でも感じられるくらいじゃないと難しいけどね)(てことは魔法結界説がジャンの中では一番可能性が高いってことでファイナルアンサー?)(ふむ、そういうことになるね)(じゃあ……)(うん、これだけ大規模に人が入って気づいてないなんておかしいってことだよ) でも、僕は密集隊形は命じない。  主の森に入ると決めた以上、主と対峙することは決定事項だ。  今更びびってこじんまりとまとまっていてもいいことはない。  (前世の)先人も「慎重かつ大胆に」と言っていたじゃありませんか。  たぶん原典は朱子学の入門書と言われる近思録の 胆欲大而心欲小 ……すげぇ意訳よね。「お館様」 オギンが声をかけてくる。  誰かがなにか見つけたようだ。  行ってみるとそこの下草がひどく乱れている。  争ったあと?  そんな感想が頭に浮かんだ直後、耳をつんざくような咆哮が辺りを満たした。
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吐き出せ知識

 森の主の咆哮が空間を埋め尽くす。 あれ? この感覚、どっかで体験してるぞ?  こんな大音量、現世で体験できるはずがない。  ということは、前世記憶?  落ち着け。  前世の記憶なら現世に完コピされている。  神様から贈られた唯一と言っていい才能だ。  索引をたどればなんの記憶か判るはずだ。  こういう時はリラックスが必要だとよく言われている。  さすがに瞑目するわけにはいかないけど、腹式呼吸で腹一杯に息を吸い込んでゆっくりと吐き出せば、肩周りのこわばりがほぐれて頭への血流が確保できる。  咆哮……じゃダメだな。  大音響。  僕が体験した大音響のイベントといえば、サッカーのワールドカップかバンドのライブ。  次は今の音圧との比較だ。  観客が一斉に叫んだ、周り中からの音に圧し包まれるのとはちょっと違う特定の方向から来る圧倒的大音量。  それに近い。  それにしたって生き物だとしたら一体でこんな咆哮を上げられるものなのだろうか?  動物園で吠えたライオンや象の鳴き声を聞いた限りじゃ、ここまでの音圧を作り出すには数十倍じゃ済まない体が必要だと思うんだよな。  指向性の強さも生き物らしくない。  もっとも、ここは魔法のある世界だし、前世知識の理の外にいる生き物だっているかもしれないけど、そんなサイズ感の生き物がいるんだとしたら普段の森があんなに静かなわけもなければ野生動物の楽園にもなっていないはずだ。「あら、ずいぶん冷静ね?」 うん、思いのほか冷静だ。  でもすこぶる冷静だったともいえない。  リリムに声をかけてもらわなかったら思考の海の底に沈んでいた。  僕は音の方向を見定めて森の奥を注視しながら思考を再開する。  おっとその前に……。
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論理的に考えて

「カイジョー、指揮を頼む! サビー、ペギー」 と、カイジョーに指示を出して、二人の名を呼ぶ。  僕の護衛にあたってもらうためだ。  ペギーを選んだのは戦闘経験豊富でカシオペアのリーダーであるカイジョーを呼ぶわけにはいかないのと、今回の捜索隊の中で唯一魔力感能力があり索敵能力が高いからだ。  残念なのは魔法が使えるわけじゃないってところかな。「ペギー、魔力って感じられる?」「ええ、ビンビンに」 む。  ビンビン……いやいや、中学生かっての。  今はそんなところに反応している暇はないだろ。  さて、これで散漫にならざるを得ない周囲への注意を補った。  主の考察再開だ。  そういえば、この間一度も咆哮が途切れたことがない。  ゆうに三分は経っているぞ。  そこから考えると肺呼吸するような生き物じゃないってことが判る。  音は、この世界でも振動によって発生する。  これは体験的に間違えようのない事実だ。 とすれば、発声でこれだけの音を出し続けるには……なんて考えていたら、音が止んだ。  捜索隊は警戒態勢のまま身構える。  カシオペアや僕の側近とも言えるメンバーは多少の緊張もあるだろうけど、ちゃんと地に足がついている。  けれど反お館派はみんな一様に浮き足立っているようだ。  そこに追撃のように咆哮が響く。  あれ?  これって、初めてのことだな。  そこはいい。  今は、咆哮の考察だ。  音の鳴り方はでも、「咆哮」なんだよなぁ……。  なんとなく角笛のような…………角笛?  そうだよ! 吹奏楽器のような響きがあるんだ。  あ・でも、楽器を使うにしたってこんな音量は拡声器でも使わな……きゃ? …………。 なんてこった。  結論出てるようなもんじゃないか!  この世界の文化水準に対する先入観と、身近に魔法がなかったせいでそこに思い至らなかっただけなんだ。  これは吹奏楽器と拡声器的な魔法で作り出された
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捻り出せ知恵

 あ・逆にヤバくない?「やばいかもね?」 うん、リリムもそう思うよな。  僕ら魔法に対する知識ほとんどないよ。  相手が魔法使いだとして、僕らどう対処すればいいのさ。  いざ戦闘なんてなった時、相手がモンスターの類だって言う方がむしろ戦いやすいんじゃないの?  どうすんのこれ。「お館様」 またまた思考に没頭しかけた時、ペギーが声をかけてくれた。「魔力が一点に集まってます」 そんなことが判んの?  魔力感知すげーな。  いやいや、今はそんな感想どうでもよくて。「ペギー、指示を出せ!」 カイジョーがその報告を受けて命令する。  僕がすべてを担当しなくてよくなるのはありがたい。  ペギーの指示を受けてカイジョーがカシオペアの三人を散開させる。「イラード!」「承知」 僕が名前を呼んだだけでイラードが三人の後を追う。  頭の回転が早い人は助かるよ。「お館様!」 あ・集中してなかった。  気づくと咆哮が止んでいる。  ペギーの鋭い声を受けて例の場所に視線を向けると、なにかがキラリと光って一直線に僕の方に飛んできた。「ぬぉっ!」 胸に激しい衝撃と金属音、鈍痛が走る。  なにが飛んできた!?  足元を見てもなにが飛んできたのかよく判らない。  ってことは、自然物か純粋に魔法的ななにかってことか?  痛む胸に手を当てると、胸の鉄板が親指くらいの範囲で凹んでいる。  鎧様様だ。  これがなかったら死んでたかもしれない。  そう安堵の息を吐くか吐かないかと言うタイミングで、なんともしわがれた、そのくせ大きな声が森の奥から発せられた。「その鎧はなんじゃ!?」
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知りたくなかった…

 なんじゃと言われても鎧は鎧よね。  どう答えていいものやらと迷っている間にもう一度問いかけが来る。  今度は見るからに怪しい人物とともに。「その鎧はなんじゃと聞いておる! はよう答えい!」 いや、いかにも魔法使い然としたこすけたローブ姿でフードを深々と被ってるとか、怪しすぎて返答に困るんだってば。  あ、「こすける」は北海道弁だっけ?  とはいえ、なにも答えないというのも問題だな。  まずはコンタクトを取らなきゃ始まらない。「革の鎧ですが……」「革の鎧で石の弾丸を防げるわけがなかろう!」 知らんよ、そんなこと。  てか、ストーンバレットってなんぞ?  こっちが聞きたい。「胸に鉄のプレートがあるからじゃないですか?」「鉄? 鉄がそんなに硬いわけなかろう! 青銅をも砕くワシの石の弾丸を受け止めたその鎧はなんじゃ!?」 話が通じない……いや待て、青銅?「青銅?」 試しに問うてみた。「そうじゃ、青銅じゃ。人の加工できる最も硬い金属じゃ。知らんとは言わせんぞ」 歴史オタクが青銅を知らないわけないんだけどさ……古代人出てきちゃったよ。  さて、どうコミュニケーションをとったもんやら……。「きちんと説明するといえば、冷静に話を聞いてくれますか?」「む!?」「僕と交渉してくれますか?」 ローブのおじさん(たぶん)は「むむむ」と唸ってしばらく考え込んだ後、大きな声でこういった。「よかろう! 人との交渉は五百年ぶりじゃ!」 …………。 とにもかくにも、交渉が始まった。  僕は護衛と世界情勢の補足のためにオギンを残し、捜索隊を返す。  ギランたちがちょっと反対したけど、一対多数で交渉とか冷静に考えてダメでしょうが。  僕らはローブのおじさんの住処に案内されることになった。  道々も大事な交渉の機会だ。  まずは自己紹介から。
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知識の等価交換

 案内されたのは樹齢千年とかじゃないかと思われる大樹である。  洞に扉がつけられていて、中に入ると思ってもみないほど整頓されたリビングルームが広がっていた。  ラバナルは半ば僕たちを無視するように階段を上がっていく。  二階は書斎っていうのかな?  乱雑に本なんかが広げられている。  三階は寝室か?  そこからは外に出て屋上?  いや、ツリーハウスになってるな。  調理器具的なものがあるからキッチンスペースってことか。  ここで煮炊きをするんだな。  ラバナルは無造作に水瓶からひとすくい鍋に水を汲むと、コンロ的なところに指で魔方陣的なものを書いて鍋を乗せる。  鍋の下に火がつき、お湯が沸く。  ……便利だなぁ。  カップにお湯を入れ、なにやら葉っぱを入れると僕らの前に出してくれた。「毒は入っとらん」 その言葉、信用するよ?「あ!」「なんじゃ?」 これ、ハーブティーじゃん。  美味っ!「美味しいです」「お主、人族のくせに味覚が肥えとるの。前に振る舞ったやつは『葉っぱくさい』などといっておったぞ」「残念なやつですね」 ラバナルはガハハと笑って「気に入ったわい」 と、肩を叩いてくる。「さて、その鎧じゃ」 駆け引きもなにもあったもんじゃないな。「その前に」「なんじゃ?」「こちらが一方的に情報を提供するのは……」「判っとる、判っとる。等価交換じゃ」 話は早いが、こっちのペースにならんなぁ……ったく、やりにくいったらありゃしない。「価値基準は?」「ワシじゃ。文句あるか?」 ……まぁ、いいか。  でも、こっちの条件も多少良くしとかなきゃ割りに合わんよ。  まずは、五百年ぶりの人族との交渉だって言っていた。  で、相手の文化水準が青銅器時代止まり……てことは鉄
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その男、異端につき

「では、こちらから質問させてください」 先手必勝。「なぜ五百年もの間、人との交流を絶って森に棲んでいたのですか?」「単に人族が嫌いだからじゃよ。なにか問題でも?」 う……なにも言い返せない。「こちらからの質問じゃ。五百年の間になにが起きた?」 こりゃまた等価交換とは言えない質問だな。  いやいや、ほんとにやりにくい相手だ。  クソが。  そうか!「じゃあ、こちら人族の五百年の歴史をお話ししますので、あなたが森に住むようになった経緯から今日までをお話ししてください」「ふむ、それは正しき等価交換。では、ワシが先に話すとしよう」 ラバナルの話すところによれば遡ること六百年前、若きラバナルが古臭いナルフ族のしきたりを嫌って村を飛び出した後、大陸各地を旅してた。  旅の道々で当時の人族と交流を持ち、時にはドゥワルフ族とも誼を通じていたそうな。  ちなみにドゥワルフとナルフは相性がよろしくないと物の本には書いていた。  もっともドゥワルフ族とオルグ族のように合えば殺しあうような中の悪さじゃなく、なんとなくいけ好かないって間柄のようだ。  そのうち人族の使う魔法に興味を持ち出した。  人族の魔法は生命力の根源と定義されている魔力を呪によって顕現させる技だが、ナルフ族の魔法は人族からは一般に精霊魔法と呼ばれ、精霊から力を分け与えられて業を使う。  人族の魔法と精霊魔法は相性が悪く……というか精霊が人族の魔法を嫌っているようで、魔法を使えるようになる代償として異端・闇落ちしたようだ。  まぁ、元々ナルフ族のしきたりが嫌で村を飛び出したくらいだし、そこは気にしていないようだけど、とにもかくにも魔法適性が高くて当時の魔法を瞬く間に習得していったという。  やがて一通り覚えたラバナルは実際に使ってみたくなって、人族の争いに加わっては魔法を行使していたらしい。
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