All Chapters of 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない : Chapter 181 - Chapter 190

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生まれのせいで考えたこともなかった

 例年、育つのを待つだけの夏から収穫までというのはそんなに忙しくない。  ……はずなんだけど、この町はもうずっと忙しい。  農作物の育成を見守り、新たな開墾を進め、収穫後に来る男爵との対決のための軍事調練とやることが多いからだ。  人口規模が百人を超え、みんなで作業を手分けできるようになったので、ここを乗り切れば楽になる……なんて楽観視していたのは会議まで。  僕は、ここだけじゃ忙しさが緩和されることはないんじゃないかと思い始めていた。「オギン」 暑さも和らいできた晩夏、僕はオギンに隣村まで行ってもらうことにした。「何を見てくればよいのでしょうか?」「畑の広さ、村の様子、周辺の地形あたりかな?」「ご自分で視察なさるというのはいかがですか?」 ……そいつぁ気がつかなかった。  僕は転生してから一度も村を出たことがない。  おぉ!  いいじゃん、いいじゃん!  それ最高!!「じゃあ、明日朝一で出発だ」「明日はラバナルに会いに行く日ですが」「そうか。じゃあ明後日だ。イラードに連絡しといて」「イラードを連れて行くんですか?」「いや、町をイラードに任せんの」「供は?」「え? オギンだろ?」「…………」「何か、問題でも?」「……いえ、お館様の仰せのままに」「道程三日って言ったっけ?」「歩いて行けばそれくらいですね」「じゃあホルスに乗って行こう。今時期なら畑仕事には使っていないし」 ということになって、翌日ラバナルを訪ねて隣村に行く件を話す。「──で、今後そういうことも増えると思うんで、十日に一度に変更してもらえませんか?」「む? ふむ……お主が村にこもっておっては見聞も広がらん。よかろう」「ありがとうございます」「いやいや、ワシもお主との話で新しい魔法の思案に時間を使いたくなっておった頃合いじゃ。等価交換じゃよ」
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新しい悩みのタネふたつ……やれやれだぜ

「それ!」 と飛ばすと、玉はこちらも町から提供した鉄の板の的に命中する。  距離は百カルほどだろうか。「これ、この通りめり込むだけなんじゃよ。もっとこう……威力を上げられんものかの?」 なるほど。「どれくらいの距離なら貫通できますか?」「五十シャルというところかの。これでは『石の弾丸』と変わらん」「オギン」「はい」「この威力はどうなんだ?」「はい、概ね想定通りの威力です」「何? この程度なのか?」「はい、現代の戦において『鉄の弾丸』は主将の警護にあって最接近を許した際の一撃必殺手段ですから」「つまらんの」 僕もそう思う。  というより、魔法使いが接近戦なんてしちゃダメだろうよ。  だからちょっと地球知識を持ち出すことにした。「射出速度を上げることはできますか?」「速度?」 前世知識は地球の単位を前提にしているのでこっちの世界に丸々持ってくるのは難しい。  特に速度計算に必須な時間の単位が変換不能だ。  こっちで使われているのは一年=十三ヶ月、一ヶ月=二十五日、一日=二十時間までだ。  時間に関していえば正確な時を刻む装置がないんでおおよそだ。  この世界は地球でいう春分が新年で、新年の正中から翌日の正中までを二十で区切っているだけ。  人の手指が十本あることから、昼を十時間、夜を十時間で数えているわけだ。  さて、以上のことから数字で語るのは難しい。  そこで僕は落ちている大きめの小石を二つ拾い上げ、一つを軽く投げてみるとコツンと壁にぶつかる。  そしてもう一つを野球選手よろしくビュンと投げる。  カツンと鋭い音がした。「ふむふむ、気づかなんだ。矢ほどの速さがあれば十分と思っておったが、確かに矢も弓の引き手によって威力が違うことがあったやもしれん。そうか……ぐふふ。速さの……どれほどはやめれば良いと思う?」 魔法の弾丸は、サイズにもよるけど、なんとか視認できる
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無知は罪

 道はデコボコの砂利道でとりあえずキャラバンが通った轍が草の中に見えている程度。  最近は人の往来がそこそこあるっていうのにこれが道かという有様だ。  一応、原生の森を切り開いて作られた「道」ではあるけど、ここまで獣道然としたものだとは思ってなかった。「これを徒歩で歩くのか……そりゃあ三日はかかるよなぁ」 下手したら迷子だよ。「この辺りはモンスターが出ないのでマシな方です」 と、オギンが答える。  そうか、この世界はモンスターもでるんだよね。「悪いことしたな」「何がですか?」「あー……いや、ちょくちょくオギンを一人で行かせてるじゃない? こんなだと思ってなかった。僕は元々村で生まれ育って村から出たことがなかったし、野盗に襲われて以降は村の復興で手一杯だったのもあるんだけど、これからは町の外のことも考えていかなきゃダメだ。うん」「……具体的にはどうなされるんですか?」「ん? そうだね……もう少し往来を増やすのがいいかな? 片道三日は遠すぎるから間に二箇所、駅を作るのが先かな?」「……エキ?」 ん?  ああ、そうか。  駅伝制度があるならこんな道路事情な訳がないよな。「ええと……宿場?」「道の半ばに宿を作るのですか?」「そうだよ。野宿は大変だろ?」「確かにナルフやバヤルなどの獣におびえながら夜を過ごすのは神経をすり減らしますから、宿があるのなら助かりますね」 ホント、ごめん。 しばらくすると道脇の林の下草がやたらとハゲ散らかした感じのところに出くわす。「お館様、そろそろ休憩の時間です」「休憩?」「はい、ホルスを休ませる時間です」 ああ、なるほど。  ホルスをおりて木に繋ぐと、オギンが桶を持ってこういった。「水を汲んできます」「一緒に行こうその方が早いし……」「いえ、一人が水を汲み、一人がホルスの番をする。
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お館様は気配感知を覚えた。 弓の命中精度が上がった。 いつの間にかじゃない、努力は実を結ぶんだ。

 僕はちょっと目を閉じて深くゆっくりと呼吸を繰り返すと大自然の音に耳をすます。  葉を揺らす風の音。  虫の鳴き声。  ホルスが草を食む音。  遠く、せせらぎも聞こえる。 あれ?「これは人の気配?」「え?」 小川の側かな?  ってことはオギン?「あれ、僕結構すごくない?」「本当に感じているんだったら確かにすごいわね。他にも感じられる?」 リリムに促されて、再び心をすます。  小さな気配がせわしなく動くのが判るぞ。  リリムの言ってたラバトってこれか?  だとしたら近づいてきてるな。  僕は、弓を取り出し矢を番え、気配のする方角へ向ける。  林の奥に目をこらすと……うん、ラバトだ。  僕だって神様から少しは優遇されているらしいじゃないか、当たるさ、絶対。  きりきりと引き絞って狙いを定めると、ヒョウと矢を放つ。  狙い違わず命中する。  よしっ!  草をかき分けラバトを取ってくると、オギンが戻ってくるまでの間に血抜きなどをする。「お館様」「おかえり」「どうしたのですか? そのラバト」「たまたま近くに来てたんで仕留めた」「村へのいい手土産になりますね」「ん? そうだね」 すっかり忘れてたよ、礼儀がなってないと思われるところだった。「でも、だったらあと二、三羽は仕留めたいかな?」「欲張りですね」「そうかな?」 休憩は半時間ほどで終わる。  ホルスが水を飲み干したら出発だ。  移動と休憩を何度か繰り返して進むと、途中で野営の跡が何カ所かに見て取れた。  この何カ所かを全部宿にするのは無駄だな。あんな奥の村には早々用もないしね。  ま、それもこれも男爵との戦が一段落してからだけど。  もしかしたら男爵が道を整備してくれるかもしれないし。  道々そんなことを考えたり、オギン
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常識から逸脱していた

 村に着くとオギンがテキパキと来訪を告げ、いかにも村長って感じのおじいちゃんが出てきた。「すいません、こんな夜中に訪ねることになって」 一通りの挨拶が終わって村長の家に腰を落ち着けた僕が開口一番発した言葉だ。「なんのなんの。噂には聞いておりましたが、これはまたえらくお若い村長ですな」 うん、もう村の規模じゃないという自負があるんだけど、元の村のイメージを引きずってるだろう村長にはそのままの認識でも仕方ないかと諦める。「で、このたびはどういった要件で?」「はい、村の復興が一段落いたしましたので、ご挨拶に伺うべきかと思いまして」「それはそれはご丁寧なことで」 などと互いに社交辞令を交わす。  夜も遅いということで、その日は挨拶だけで寝ることになったんだけど……。「…………」 僕が無言で立ち尽くす中、黙々とオギンが客室で荷物の片付けやベッドメイクを行なっている。「……あー……いいかな?」「何か?」「一応ツインルームになっているけど、一緒の部屋で寝るってこと?」「『ついんるうむ』というのがどういうものかは知りませんが、同じ部屋で寝るということで間違いありません」「あ・やっぱり」 頭の上ではリリムが腹を抱えて笑っている。  いや、家の規模からいって部屋数は想像できたか。  あまりにも今の館に慣れてたもんで、すっかりこの世界の村ってものの水準を忘れてたよ。  なるほど、オギンが同行をなんとなく嫌がっていたのはこれが原因だったか。  キャラバンの野営でも、男女は別々のテントで休むっていってたもんな。「お館様はそのようなことはなされないと思いますが、なさるつもりならお覚悟なさってください」 しねーよっ!  あ、いや……不自由してるから間違いが起きる可能性も否定はできないけど、キレイだとは思うけどタイプじゃないし、おっかないからやらないよ!  うん、たぶん……。(どーだか?) うるさい!
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そこはそれ、二人は若いわけでして

 翌朝、朝日とともに目がさめる。  初めての旅の疲れと眠りの魔法でぐっすり眠れたからか、とても心地よい寝覚めになった。  いつもは僕より先に起きている(というか、いつ寝ているのか判らない)オギンが珍しくベッドの中で寝息を立てている。「珍しいな」「なかなか寝付けなかったみたいだから、サービスで彼女にも魔法をかけてあげたのよ」 それはいいことだったのか?  護衛として同行したオギンが正体なく寝ていて一朝事があったらどうするつもりだったんだ?「あー、考えてなかったわ。ごめんね」 ごめんじゃないよ。  僕の使命はこの世界を生き抜くことなんだから。  それをサポートするのがリリムの役目じゃないか!  くそっ、おでこコツンにてへぺろなんてしやがって。  似合うんだよなぁ。  納得いかない気分でモヤモヤしていたら、ガバと起き上がったオギンがいきなりベッドの上で頭を下げる。「申し訳ございません!」「な、なに? いきなり」 寝間着姿のオギンはやっぱ若い女なわけで、朝であることも手伝ってムズムズするんだよ。「護衛として同行している立場にありながら正体なく寝入ってしまいました。あまつさえ、お館様より後に起きるなど、あってはならない不始末」(…………)(……ごめん、ジャン)「それはいい、初めてのことでもあるし、緊張し続けて精神的に疲弊していたんだろう」 ホントは魔法のせいなんだけど。「それより、その……目のやり場に困るというか……」 そこまでいうと、オギンは頬を朱に染めて掛け布団にもぐりこむ。  その時チラッと見えちゃったんだよねぇ、思ってた以上に大きな乳房が。  着痩せするタイプなんだ。  やばいな。  もう一晩泊まる予定なんだけど……。(今晩もジャンには魔法をかけなきゃだめね) う……ヨロシクオネガイシマス。 …………。 なんか
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ジャン、下剋上を狙う

 午前中は村長の孫という少年に案内してもらって村の視察をする。  まぁ、村なんて観光的に見るとこないんだけど、僕が知りたかったのはそういうとこじゃない。  まずは村の様子。  村人は事前にオギンから三十二名と教えてもらっていた。  村の中に家が点在していて、それぞれの家に自分家用の畑があるという、元の僕の村と同じ作りだった。  そして、村の外に畑。  昨日は暗くなってから村に着いたので判らなかったんだけど、この村の畑は僕の町側、方位でいうと北側に広がっていた。  広さはうちと変わらない。  そりゃそうだ。  三十人規模の村で維持管理できる規模ってのは決まってる。  うちは人口の増大に対応するために村の北側に新しい農地を広げているから、現状は三対二でうちの方が広いか。  農作物の育成状況は地球由来の知識を持ったルダーが指揮をとるうちの畑の方が断然いい。  きっと収穫量で十五パーセントは差があるだろう。  畑を囲む森は原生林のようだ。  この辺の地形は、町の周りと違って比較的なだらかだから、もっと農地を拡げられそうだ。  生活用の薪などを集める雑木林は南側の街道の左右に広がっている。  この村の雑木林の方が倍以上広い。  そりゃそうだ。  僕の町は西側が断崖で、東側にある雑木林の奥には主の森が広がっている。  南の街道は僕の町までのそれと違って、なんかそれなりに整備されているようだった。  村人の様子は普通か?  子供達は元気だ。  一通り見るべきものは見ましたが、さてどうしたものやら。  昼食の際、僕はどう話を持っていくのが最善かを考えていた。  今は国が乱れ始め、戦乱の時代に突入したばかり。  統一までには何年もかかるだろう。  だからと言って辺鄙な村が戦乱と無縁でいられるはずがない。  それは重税を課しに代官が僕の町にまでやってきたことでも明らかだ。  秋の攻防で負ける気はない。  しかし、最奥の村一つでは町の規模になったと言ってもたかが知れている。  そう何度も
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交渉の始まり

「何か悩み事ですかな?」 あまりにも悩みすぎて深刻な顔をしていたようだ。  村長に心配されてしまった。  ええい、ままよ。  僕は意を決して、ズバリと懐に飛び込む決心をした。「村長。税についてですが、いかがですか?」「……いかがと言われましても、税のなんの話ですかな?」 おっといけね。  そうだよな、ちゃんと順を追って説明しなきゃ判んないよ、そりゃ。「ああ、失礼。今年の税負担、だいぶ重くなっているようですが、この村は耐えられますか?」 村長は「ふむ」と唸って腕組みをする。「収穫の半分を持っていかれるのは正直厳しいの。しかし、わしら農民には他にできることはない」 それで命が助かるならめっけもんってか?  地球じゃ、それで済んだ歴史はないぞ。  仮に僕が領主になったって兵糧に限って思案しても六割は取る。  徴した穀物が国家予算にも使われるってんなら八割だって取りたいくらいだ。「村長は、他領の話はご存知ですか?」 僕は難しい顔のまま問う。「いや、知らん」「夏の初めにご領主のお使者が来られたでしょう?」「ああ、オルバック様のご子息とかいうのがきておったの」「お付きのルビレルという方が申していたのですが、戦が始まっているところでは収穫の八割も取られているところがあるとか」 数字は嘘だ。  ルビレルは「戦をしているところなど……」 と濁したに過ぎない。  これは危機意識を持ってもらうためのブラフである。  でも、こういうのは有効なんだよね。「わたしも旅の中でそのような話を聞き及んでます」 すかさず、オギンが援護射撃に入ってくる。  オギンには度々外の情勢を探りにいかせているから、通り道であるこの村の長ならその信憑性はかなり高いと思ってくれるはずだ。  案の定、「ムムム」と唸って二の句が継げなくなった。
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選択肢なんて多くない

 村長の悩むのも無理はない。  身分制度のある社会で、下層階級にいる人間に与えられている選択肢なんて多くない。  今回の場合だと、「甘んじて増税を受け入れる」「死を覚悟して減税を訴える」「死を覚悟で叛乱する」「死を覚悟して逃散する」の四択だろう。  村人ならいざ知らず、村長が逃散というのは選択しにくいよな。(てかそれ、四択って言えんの?)(うーん……言えない?) っていうか、思考に割って入ってくんじゃないよ、リリム。  八方塞がりの、抜き差しならない事態に今よりマシな選択肢を与えてあげられる。  僕ならね。  今の僕、相当悪い顔してる自覚あるな。「ご領主様が本格的な戦でも始められたらまだまだ課税されますよ」 と、追い打ちをかけてみる。  さらに「戦で兵が足りなくなったら男手を取られることもありましょう。戦火がこの村に及ぶことも考えられます」 ま、実際はこんな山奥の村まで兵を動員する物好きは……あぁ、僕が秋に反旗を翻したらここも平穏じゃいられないかもしれないや。  ここは正直に打ち明けるのが誠意ってもんだ。「ここだけの話、私どもの町はこの秋の徴税を機にご領主様の支配を抜けようと思っています」「なんと!?」 村長はそりゃあ驚いたよ。  同席していたのは孫の少年ただ一人、息子さん夫婦は畑で昼食をとっているようだ。 …………。 この少年、口軽くなきゃいいな。  と、言ってから思ったことは言うまでもない。「……それで、わしらに何をさせたいのじゃ?」 さすがは村長、察しがいいね。「我々に合力していただきたい。いや、戦を手伝えと言っているのではありません。この辺境の地が、末長く平穏であるために我々に協力して欲しいのです」
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有利に交渉を進めたいけど

 こっちから戦を仕掛けておいて「末長く平穏であるため」もへったくれもないのは重々承知してる。  けど、静かに暮らしたくても勝手に「うぇ〜い」てな具合でちょっかいを出される局面は少なくない。  この国の現在の状況はまさにそれだ。  調子に乗っているやつほど、大人しく目立ちたくないやつにちょっかいを出してくる。  いわゆるマウントってやつだ。  弱いやつに言うことを聞かせ、自分の思いのままに振る舞い、周りに対して勢力を誇示し、ヒエラルキーの頂点を目指す。  権力なんてそんなもんだ。  弱いままだと虐げられる。  平穏に過ごすためには力の誇示が必要なんだ。  てなことを懇々と説得する。  村長は難しい顔のまま黙って聞いているだけだったが、僕は気づいているぞ。  孫の少年の瞳が爛々と輝き出したのに。  やがて村長が重い口を開く。「で? 具体的になをさせたいのじゃ?」 うん、条件闘争に入ったとみたね。  僕らが争うのは既定路線だ。  ここはすでにこの村がどうこうできるものじゃない。  あと一、二ヶ月で戦になると言うことが避けられないならば、少しでも村の被害が少なくなる道を選ぶ。  村長の選択は間違っていない。  ただし、考え方は間違ってるぞ。  被害を減らす方向で交渉しちゃダメだ。  どさくさで利益を得る算段を考えなきゃ乱世じゃ生き残れないよ。  僕は心の内でこの村の長の首をすげ替える方策を考えつつ、この話し合いで一気に同盟を取り付けるための条件提示を始める。  もともとある程度考えてきてる。  当たり前だけど、こちら側に少しでも有利な取引にしたい。  それも互いにwin=winの関係に見えるようにだ。  最悪6:4出来れば7:3の関係が望ましい。(悪党) リリムになんて言われようが構わんよ。「男爵に対して何もしないと言うのが理想です」 無理を承知で言っている。  ここらへんは相手
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