村の税は秋に穀物で納税していた。 収穫量ではなく畑の大きさで収める量が決められていて、例年だと収穫量の四割くらいを納めていたはずだ。 これが不作の年なら収穫量が減るわけで、僕が十二歳の年は総収穫量の六割近くを徴税されて大人たちが青くなってた。 納税額が三割り増しになったら平年どおりの収穫量だったとしても半分以上をもっていかれることになる。 数字でしかものを見ていないだろ。 こっちは生活がかかってんだ。 そんな横暴許されると思ってるんなら、早晩下から追い落とされるんだからな。「しかと申し渡したぞ」 若様はそれだけ言い残してとっとと帰っていく。 お連れのおじさんはじっと僕を見下ろしてこう言った。「これでも他領に比べるとましな方と聞いた。戦をしているところなど……いや、お前に言っても詮ないな」 この人は話が通じそうだ。「あの、お名前は?」「ワシか? ズラカルト男爵様の側近オルバック様に使えるルビレルだ。お世継ぎ様の失礼はワシが謝る。では」 と、頭を下げて後を追う。 苦労してるんだな。 うん、ありゃあ典型的な世間知らずの坊ちゃんだ。 都市からも出たことがないと見た。 この旅が初めてで田舎のあばら家(この村は違うけど)は汚くて入りたくないとか思ってたんだろ? だからって野宿もできそうにない。 てか、そもそも野宿の準備をしてたように見えないからな。 隣村まで歩きで三日くらいだったろ? ホルスを飛ばしゃ日暮れまでには着くはずだ。 だから用件だけ済ましてとっとと帰ったんだぜ、きっと。 さて。 僕はリリムを見る。「なに?」「秋までの時間が稼げた」「うそ? あんなやり取りで?」「な? あんなやり取りでさ」「でも、秋までなのね?」「それは仕方ないな。覚悟してたことだ。だけど、デッドラインが決まったことは悪いことばかりじゃない」「そうなの?」
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