Todos los capítulos de Lv1・Maxからのまちづくり: Capítulo 181 - Capítulo 190

193 Capítulos

第181話・頑張っているぼく

「しかし、どれくらいの人数が必要?」 ぼくの問いに、アパルが眉間にしわを寄せる。「それが分かれば苦労はない……だけど、町長の力をフォローするには、かなりな人数が必要になると予測できる」「空を飛ぶだろ? 人間を地上と町へ行き来させるだろ? 家や施設が建つだろ? 土地が広がるだろ? 勝手に家具や服が出来るだろ? 素晴らしい陶土が出るだろ? あとなんだ?」 指折り数えるサージュ。思えば結構無茶な力技をしてるな、この町。「それだけのことを一人のスキルで賄ってるんだから恐ろしい」「伝説になり損ねた町は町長の死後やんわりと滅びて行ったけど、グランディールは町長が弱り出したら一気に行きそうだ」「なんで?」「お前の力技でこの町はもってるんだ、お前の力技が出来なくなったら、それっきりのアウトになるのが目に見えてるだろが」「え、ぼくのせい?」「というか、この町自体がお前に頼りきりなんだ。この町を滅ぼすのは簡単、お前一人をどうにかすればいい。ミアスト辺りがこのことに気付かなければいいが」「じゃあ、ぼくが前に拉致された時は……」「大ピンチだったんだ。お前は町民……俺たちやシエルがいれば何とかなると思っているようだが、実際の所俺たちはいくらでも替えが効く。町にとって替えが効かない才能を持っているのはお前一人なんだ」 ぽかんとしていると、アパルが溜息をついて手を伸ばし、ぼくの髪の毛をくしゃくしゃにした。「自覚を持ってくれ町長。この町も、町民も、お前がいなきゃ砂の城。あっという間に波に削られて消えてしまうんだ」「……ぼく、そんな大げさなことをしたくて町を造ったんじゃないけど」 ただ、ミアストを見返してやりたかっただけで。 ぼくのスキルが無意味ではなかったと思い知らせてやりたかっただけで。「なら、大げさになりそうだから町を捨てるか?」「冗談じゃない!」 サージュの一言に、ぼくは頭に血が一気に上って思わず怒鳴ってしまった。「ぼくだけならそれでいいかもしれないけど、ぼくはここにいる人たちを守る責任がある! 思い通りにならなかったからって捨てることは出来ない! それじゃあ、ミアストと一緒になってしまう! 町の評判を自分の評判と勘違いしているあいつと!」「分かった、言いたいことは分かったから落ち着け」 サージュがぼくを宥める
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第182話・家族に例える

「そうだな、グランディール家という家があるとしよう。その家で君は父親。家の主だ」 よくわからない話に持っていかれたような気もするけど、とりあえず頷いておく。「町民は子供。父親は子供を養う義務を負う」 うん、それは分かるけど。「他の町は友達だとしよう。友達だったら、時々晩御飯の御裾分けとかが来る。子供が遊びに行っても怒らず相手してくれる。時々家族で遊びに来たりもする。近所の家とも遠くの家とも仲良くしている」 それがどうだっての?「この友達の家の一つの父親を無理やり引っこ抜いて、残った子供を家族にする。するとどうなる?」「そりゃあ、その家の父親抜いちゃったんだから、ぼくが養わないといけないだろうね」「そう。君は急いで稼ぎを増やさなきゃいけない。稼ぎを増やすこと自体はグランディール家にとっては難しくはないかもしれない。だけど、もう一つ問題が起きる」「?」「父親が大好きだった子供たちから、父親を無理やり引っこ抜いて家族にしてしまった。お父さんがいないから今日から自分をお父さんと呼べと言った。今まで友達のお父さんだったのに突然自分のお父さんになってしまった。認められるか?」「無理だよね」 ぼくも父さんが突然いなくなって別の人が父さんだよって言って来たら、父さんを探して家を出るだろうな。 あれ……。 あれ……? あ!「そう。子供が納得しない。納得せず父親を連れ戻しに行ったり家を出たりするだろうね。そして、他の家も、それまで仲が良かったのにいきなり父親を追い出して子供を家族にした家と、いつものように仲良くできるかい? 今まで友達だった子供が兄弟になると言われて納得できるかい?」「うん、無理だね。そりゃあ、無理だ」 二人の言いたいことがやっとわかってきた。「それに、それまで友達だった家も、いつ父親を引っこ抜かれてグランディール家に連れていかれると思ったら、友達付き合い出来なくなる」「そしてみんな離れて行く、あるいは敵に回る。そういうこと?」「ああ」 スピティの町民は水路で喜んでくれたけど、それと引き換えにスピティじゃなくグランディールになれって言ったらどう思ったろう。 周りの町も、町長が来て何か教えると町を併合されるなんて言われたら、歓迎はしなくなるだろうなあ。 そうなると味方がなくなる。 町の人数が少し増えるのと引き換えに、周り
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第183話・決意

 それから五日経って。 スヴァーラさんの体調が完全に回復したと連絡が入り、ぼくとアパルが様子を伺いに行った。 フォーゲル会議堂の奥の仮眠室で、ベッドに腰かけたスヴァーラさんは肩にオルニスを乗せて笑顔で迎えてくれた。「グランディール、フォーゲル、両町の御親切に感謝します」 スヴァーラさんは深々と一礼。 アッキピテル町長も笑顔で頷く。「鳥を愛する人が幸せに暮らせないなど、フォーゲルの理念から言えば間違っているからね」「ぼくは鳥を保護しただけ。あとはほとんどフォーゲルがやってくれたから」「シナリオを考えたのはグランディールだろう」「フォーゲルの協力がなければ成功しないシナリオでした」「そこで我々を頼ってくれたのは嬉しいしありがたい」 アッキピテル町長、ぼくたちにも一礼。「これでフォーゲルが鳥を大事に扱わない町にどうするか、全ての町が思い出してくれたことだろう。それは全ての鳥の幸せに通じる」 さすがは鳥の町。人間と同じくらい、いやそれ以上に鳥を大事にしている。「で、スヴァーラさん、これからどうするね?」 アッキピテル町長に聞かれ、スヴァーラさんは顔を引き締めた。「オルニスはもう齢です。お別れの時がいつ来るか分からない」 アッキピテル町長が深く頷く。「その時まで、これまで一緒にいられなかった分、一緒にいてあげたい。酷い目に遭わされた分、幸せを共有したい。本当ならもっと早くやらなきゃいけなかったのに、我が身可愛さに後回しにしていた……」「理不尽な暴力ほど恐ろしい物はない」 軽く首を振って、アッキピテル町長。「それが自分と自分の大事なもの、どちらに向かうか分からないならなおさらですよ」 ぼくも付け加える。「むしろあなたは限界まで、オルニスを守るために頑張った。そうでなければオルニスがそこまであなたを心配する理由がないでしょう」「でも、飼い主として守ってあげられなかったのは事実だわ」 オルニスが小さく鳴いて、スヴァーラさんの耳たぶを噛む。違うんだよ、と言いたげに。「ありがとうオルニス。でも、ワタシがワタシを許せないの。このままアナタたちに頼って過ごしたら、それは黙ってエアヴァクセンに住んでいるのと同じことになる。だから、しばらくオルニスと一緒に旅をしようと思います。色々なことを学びながら」「どの辺りを?」「南を」 スヴァー
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第184話・感情

「アッキピテル町長からお聞きしました。グランディールはスキル学を学んだ側近が二人いると。そしてその二人が町長へ意見できて、町長も二人を尊重して意見を聞き入れてくれるのだと」「いやいや側近だなんて」 慌ててそれまで黙っていたアパルが首を横に振る。「我々のスキル学は独学なんです。町を追い出される時こっそり書物を持ち出して、役にたつか分からない知識を詰め込んだだけ。本当ならばあなたが学ぼうとしているスキル運営学を大きな町でしっかり学んだ学者がいればいいのだけれど」「グランディールにはアナタたちが相応しいということでしょう」 スヴァーラさんは笑顔。「学問を修めただけではダメなんだと思います。見極める目、言葉にできる口、そして町長からの信頼。この三つの内一つでも足りなければ、町の頭脳とはなり得ない。そしてお二人は町をよく見て、忠言を出せ、それを町長は受け入れる」「二人の言う意見や疑問は、絶対に聞き逃しちゃいけないものだと思っているから。ぼくはね」 アパルが困ったような照れたような表情をした。これがサージュだったらするっとスルーしただろうなあ。「ええ。そうして、エアヴァクセンにはそれがない。モルをはじめとする町勤めは町長のイエスマンでしかない。今回の一件だって、ワタシを何も言えない状態で差し出せばフォーゲルを騙せると思ったミアストとモルに、誰もフォーゲルはそんなこと見抜けるはずだなんて言わなかった。ただはいはい言って、ワタシを置いていった使者もアッキピテル町長の嫌味すら気付いていなかった」 ククッとアッキピテル町長が喉で笑う。「あれは酷かった。こっちは真犯人を知っているのだと言外に臭わせて警告も合わせてしてやったが、多分今回はこれで不問、という言葉しか伝わっていないだろうな」「何かを言える町民に、なります」 スヴァーラさんは笑顔で言った。「あちこちの町の来し方行く末を見て、町を存続させるために何か言える町民になって、戻ってくると誓います。そうして、ワタシを必要だと言ってくれる町に行こうと思います」「グランディールはいつでも歓迎します」「フォーゲルもだ。鳥スキルで鳥に夢中な町民だらけで、スキル学を学ぼうとする町民が少ない」 クスクスと笑い声を漏らすスヴァーラさん。「餞に、旅道具を揃え
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第185話・旅立ち

 アッキピテル町長の言葉にこれまた胸を反らすエキャル。「他の町と違うって、どう違う?」「他の町では、大抵鳥飼が伝令鳥もまとめて面倒を見ているからな」「ああ、そう言えば」「町長がここまで一人で可愛がってくれて相手してくれて連れ歩いてくれるというのは大陸的に見ても珍しい」「いや、店で言った通り三日間傍においといただけなんだけどな」「普通町長は鳥を頭に乗せない」 アパルの一言。「いや、頭に乗せた時の方が機嫌よかったから」「自分の印を彫りに行った時も頭に乗せてたし」「彫りの師匠が頭に乗っけておくと首が痛むって言ったからその時は机に乗ってた」「ファヤンスから移住してきた人は、最初の頃、町長のことを「頭に赤い鳥を乗せてる人」と認識してたよ」 うん。仕事中とかは止まり木に大人しくしてるけど、一緒に出掛けたりするときに頭の上に乗りたがる。ぼくも構わない時は頭に乗っけしたままにしている。「ああ、本当に可愛がられていたんだな。良かったなエキャルラット。お前は伝令鳥の中でも一番の町に辿り着いた」 それまでオルニスの周りにいたエキャルが、ぼくの頭の上に乗って羽根を広げた。うん、これならアッキピテル町長じゃなくても分かるぞ。「いいだろう」のポーズだ。 クスクスとスヴァーラさんが笑って、自分の肩に乗っているオルニスを指先でくすぐり、静かな笑いが部屋に満ちた。「出発は?」「早ければ早い程」「では、道具と鳥の手配をして、明後日の早朝で」     ◇     ◇     ◇ スヴァーラさんがスキル運営学を志すために、一番最近まで存在した大国ディーウェスを目指すと聞いたサージュは羨ましそうな……じゃないな、本当に羨ましいという顔をしていた。「自分の目で「富める大国」を見て、その滅びの理由を知るか。同じくスキル学を志す者として羨ましい」「サージュも行く?」「行って帰ってきたらグランディールが滅んでたらどうする」 思わず飲みかけたお茶を噴き出すぼく。「ぼく、そこまで信用がない?」「信用はしている。信頼はしない」「どう違うの?」「信用は過去の結果。信頼は未来に為すこと」「つまり未来に何をしでかすか分からないと」「というか、これまで何をしでかすか分からないの繰り返しだったろうが。結果として成功しただけで」 はいはい、他所の町
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第186話・別れと飛び込んできた手紙

 スヴァーラさんを見送って、ぼくはアッキピテル町長に頭を下げた。「半月近い間、ありがとうございました」 そう。スヴァーラさんが去ったら、グランディールもここにいる用はない。 そろそろスピティでストップしている各町ご招待を進めないと、いつ頃おいでいただけるのか、と文句が出てきそうな勢いで質問の伝令鳥が来ている。「なに、そんな町長たちより早くグランディールを訪れることが出来たし、鳥を愛する人を救うことも出来た。スキル学について語る同士まで出来た。感謝するのはこちらだ」 最初はおっかないと思っていたアッキピテル町長は笑顔で応えてくれた。「あの子たちに何かあったら、連絡してくれたまえ。エキャルや宣伝鳥たちがあれだけ懐いている君たちならばいつでも歓迎しよう」 アッキピテル町長は手を差し出した。ぼくがその手を握ると、固く握り返された。「個人的に、応援している。伝説になり損ねないようにと祈っている」「ありがとうございます」 本の本来の持ち主はかなりの量があるスキル関連の本にきちんと目を通していた。だけでなく、気に入った本があればと写本の許可まで出していただけた。おまけに町に写本師なる本を増やすのに絶対必要な「複写」なる字や絵を別の紙にそのまま写し出すスキルの持ち主がいないことを知って、その人まで紹介して写してくれた。ありがとうございます、おかげでいつでも読み返せます。「町長として色々話せることもあって楽しかった。あと数年すれば、もっと深い話が出来るだろうな。楽しみに待っているよ」     ◇     ◇     ◇ それから数刻後に、グランディールもフォーゲルを離れた。 こちらも手を振って見送ってくれるアッキピテル町長に、頭上にエキャルが乗ったまま、門にしがみついて手を振り返す。「いいとこだったな」 門番として交代で立ち続けていたソルダートがぽつっと呟いた。「だね」 多分、町長の人柄によるところが大きいんだろうな。 自分の仕事に厳しく、他人に労りの心を持ち、知識を分け与えることに何のためらいもなく、遊び心まで持っている。 多分、今まで見てきた町長の中でも一・二を争う人だろう。「ああいう町長になりたいな」「そうだな、町長は人を見る目があると思うぞ。あの人はいい奴だと、俺様も思ってたからな!」「じゃあ、番を頼むね。移動中だけ
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第187話・弱った鳥と必死の手紙

 んんん? これはここで読んじゃダメな話だ。「相談しないと返事返せないから、ついてきて」 伝令鳥が頷く。よく見ると、特徴の緋色が少し色褪せたみたいで、痩せてもいる。ぼくの後について飛び上がろうとして、ヘロヘロと落ちた。 ポリーティアーなる町は、どうやら相当ヤバいみたい。こんな伝令鳥を飛ばすしかないなんて。そして、その伝令鳥がここまで必死になって飛んでくるほどの願いを託されているなんて。 しかし、もう少し早く来れば、フォーゲルで診てもらえたんだが。運が悪いなあ。 ぼくは片手で伝令鳥を抱え、もう片手に手紙を持つ。 エキャルが憤慨したように頭の上から羽根でぼくを叩く。「お前は一番の場所取ってるだろー?」 バサバサと翼を動かすエキャルを宥めるのに声をかける。「ぼくの頭に乗れるのはお前だけ。それじゃダメなのか? それともこいつを頭の上乗せた方がいいのか?」 頭の上は静まった。 アパルとサージュは会議堂にいるんだろうか。しかしここでエキャルに呼んでもらおうとすると怒られる気がする。何で他所の鳥を抱えて自分は飛ばせるんだとか思われそう。 とにかく急いで会議堂に行かないと。 サージュは久しぶりに家に帰っていて、アパルは会議堂で写本してもらった本を読んでいた。「おや、早かったね」「遅かった」「?」 ぼくはぐったりとした伝令鳥を見せた。「……弱ってるね」「必死で飛んできたみたい。ぼくに手紙渡してぐったり」「サージュと……ティーアを呼んでくる」「ごめん、助かる」 ぼくは水皿を持ってきて伝令鳥の前に置く。 伝令鳥は体を起こしているのもしんどいのか、胴体を机にぺたりとつけたまま、首を伸ばして水を嘴の中に入れる。「大丈夫か?」 首を起こして上を向き、長めの喉に水を流し、ふぅ、と息を吐く。 伝令鳥は自分の運んでいるものの大切さを理解しているという。 これだけ疲れ切っているのに、ぼくが手紙を受け取って読むまでは伝令鳥らしく止まって見届けていたこの鳥は、どれだけの願いを持ってきたんだろう。 そこにティーアがすっ飛んでくる。「伝令鳥が弱っていると聞いたが?!」「……早いね」 家に帰ってるんだろうか、家族持ち。サージュですらたまに奥さんと散歩とかしてるのに。「弱ってるな……いや、鳥の方じゃないな……」「
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第188話・荒野の手前

「……以上」 ぼくが手紙を置くと、サージュが手を伸ばして便箋を眺める。「必死だな」 文面を見てぽつっと呟く。「分かるの?」「字でわかる」 ……てかどうして字でわかる?「力が入ってる。その割に文字が震えて、吊っている。焦っている。ついでに言えば伝令鳥もここまで必死だしな。多分この伝令鳥に全てを賭けてきたんだろう」「……どういう意味、だと思う?」「どういう意味もこういう意味も」 サージュが水を飲みながら一言。「助けてくれ、だろう」 いやそれは分かるよ。助けてくれって書いてあるんだから。だけど。「そんなにまずい町って、ヤバくない? 確かに今ぼくたちグランディール町民を増やそうとしてるけど、そこまでヤバい町入れたらまずくない?」「衰退した理由は分かる。日没荒野の近くなら、最近は旅人もいないだろう。水と引き換えにする品もないはず」「サージュ、ポリーティアー知らなかったんじゃなかったの?」「日没荒野を知っていれば予想はつく。日没荒野は知っているだろう?」 苦笑してアパルがフォローに入ってきた。「大陸の西の果てにある、ひたすら荒れ地が続く場所でしょ? 誰もその荒野の果てを見たことがない、日没だけが知っているって」「そう。荒れ地だから当然何もない。獣も草もない。水すらないという不毛の地だ。ただ、その荒れ地を乗り越えた先に精霊神の大神殿があるという伝説があって、伝説を信じた者や町が、天災なんかの時に救いを求めて踏み込むけど、誰一人として帰ってきていない」 ん?「確か、ペテスタイって」 空飛ぶ町ペテスタイは、十代町長が大神殿の伝説を求めて、共に行くと言った人々と共に旅立ったという。その後のことは誰も知らない。大神殿に辿り着いて神の町になったとか、途中で墜ちたとか。「そっか、ペテスタイが向かったっきり戻ってこないのが日没荒野なんだ」「ポリーティアーはそんな荒野の手前にある。水すらない荒野の手前で、雨が降らなければもう何も生えやしない」「つまり、本当に何もなくて、自分の町じゃ暮らしていけなくって、移動できる町に救助を求めて来たってことだ」 グランディールなら水もあるし。「どうしよう? 町長が逃げちゃってるんだよね。そのまま取り込んでいいのかな?」「大丈夫だとは思う。ただ町長の正体も滞っているからな」「西にもいくつか待
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第189話・ワガママに弱い

 グランディールは、一旦エキャルを某所に飛ばして、帰ってきたのを確認してから町民の許可を得て西に向けて移動を始めた。 リューのスキルで「場所特定」して、それを町スキルと「合わせ」て進む。 そこから行ける道筋にある町に招待状を送り、ポリーティアー到着予定から計算してその町に行く予定を立てる。ポリーティアーで予想外に時間を取られても大丈夫なようにして。 町長室の机には鳥の巣が置かれていて、そこに置いたポリーティアーの伝令鳥が移動するグランディール内でまだるっこそうに進行方向に首を伸ばしている。「今全速で目指しているからね。あと五日……五日で着く」 言い聞かせると、伝令鳥は小さく首を垂れた。 そして頭の上のエキャルが髪の毛を引っ張る。「お前は、先輩にちょっと譲ろうとか思わないのか?」 思わないらしい。「町長、伝令鳥の餌を……うわおい」 ティーアが餌の豆を持ってきて、顔面にエキャルが貼りついたぼくを見て絶句し、呆れ、その上でエキャルをはがしてくれた。「ありがとうティーア」「エキャルの嫉妬ですか」 ティーアに掴まれてバサバサと文句ありげに羽根を動かすエキャルの背中を軽く叩いてやる。「お客様と相棒とは違うだろー? こっちの子はお客様。預かりもの。弱ってる。だからみんなが気にかけるの。そしてお前はぼくのでグランディールの鳥だろ? 全然違うだろ?」「宣伝鳥と一緒に置いた方がいいのでは?」「いや、何処に置いといても変わらないよ」 頭の上に乗り直したエキャルに手を伸ばして撫でている。「名前を知らないけど、この子は町が心配で仕方がない。鳥の場所に置かれても、人の場所に置かれても、心配で仕方ない。なら慰められる誰かがいて、情報が真っ先に入ってくるここが一番安心かなって……」 エキャルがまだ不服そうにぼくの頭を軽く突く。 伝令鳥がそんなぼくの頭上を見ている。「…………?」 ぼくの視線に気付いて、俯いて溜息吐く鳥。「溜息吐く鳥って初めて見たな」 エキャルはワガママだけどこの子は心配性。いや事実居場所が危ないから心配はするよな。でも普通溜息吐かないよね。「グランディールの速度自体は全力なんでしょう?」「うん。可能な限りね。中にいると分からないけど、外を見に行ったらキーパが門にしがみついてた」 フォーゲルの乗用鳥の全力に
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第190話・役割

 サージュが会議堂の準備に去って行った後に、ぼくとアパルが並んで、門番の今回は二人揃っているソルダートとキーパが囲んだ間に金色の輪が出来る。ここまではぼくの外見は広まっていないだろうから、頭から白い布を被って、二人の衛兵とアパルを連れて下降門に入る。 パッと景色が変わった途端に、ぼくらを包み込む熱気。いや、直射日光がない分いいのかもしれない。 空気は乾いていて、光を遮る木すら見当たらない。「ここはポリーティアーで間違いないでしょうか?」 ぼくは声を張り上げる。「グランディール町長、クレー・マークンです」 伝令鳥を抱えていた、白い布を被っているけど多分母さんより年上の、よく日焼けした女性が前に進み出た。「グランディール……本当に来てくださったんですね……」 声がカサカサ。「オルドが帰ってこなかったから、辿り着かないか、それとも存在しなかったかと諦めていたのです……」「オルドと言うんですか」 伝令鳥を抱きしめながら女性が頷く。「オルドナンツ……この町に唯一残った宝です……」「すいません、本当ならオルドナンツを先に帰さなければならないと思っていたのですが、彼が酷く弱っていて、飛ばすのがためらわれて……」 ちなみにエキャルは未だに出てきていない。最初は頭に乗っていたけど、サージュがぼそっと「エキャルが飛べば話が早かったのにな……」と呟いたのを聞いて引っ込んでいった。ワガママ言った自覚があったんだ。「いえ……来ていただいただけで充分です……! グランディール、本当に存在したんですね……!」「とりあえず必要なものは何でしょう?」「水……を……」 ぼくは頷いて、背後で太陽を遮るグランディールを見上げる。 向こうから見下ろしているのはヴァダーだ。 この回答は十分に想像できた。だから。 ぼくは上に向かって、招くように腕を上げた。 次の瞬間。 さああっという軽やかな音と共に、乾ききった水汲み場に多めの水が、周囲に薄い霧のような水が降り注ぐ。 ヴァダーが水路天井の水を流したのだ。 あ、気温下がった。「み……水だあ!」 三十人近い町民が水汲み場に行って、掌で掬ったり、持っている器に入れたり、直接口をつけたりして飲んでいる。 伝令鳥を抱えていた女性も、水の誘惑……というか人間の生存本能に勝てなかったんだろう、水を飲む一団に加
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