「読んだ? 読んだな? では私が怒っている理由も分かるだろうな?」 そこで、やっとミアストが自分に対してこれ以上ない怒りを覚えていることに気付いたモルだ。 鳥を殺すな……そう言われていると思っていた。 だが、ミアストは「鳥をいたぶるな」と言ったのだ。 愛玩鳥も勿論鳥の町フォーゲルから譲られたもの。スヴァーラの両親が町長の許可を得て買ったのだから、オルニスもエアヴァクセンの鳥。そしてフォーゲルは、買われた鳥の安全を第一に要求する。 そうだ……だから、ミアストは、「鳥をいたぶるな」と言った……。インコであろうとフォーゲルからエアヴァクセンに譲られた鳥なのだから、鳥が安全でないことを知られたらフォーゲルから文句を言われる。ましてやそれが安全を第一に考えなければならない町長直属の部下ならば……!「どうしてくれるんだ、あ?!」 ミアストの怒りは収まらない。「この町で飼育している伝令鳥や宣伝鳥、愛玩鳥、乗用鳥、狩猟鳥、その他色々! エアヴァクセンに何羽の鳥がいると思っている?!」「は、はあ……」「フォーゲルは本気だ! エアヴァクセンがこれまで飼ってきた鳥を、残らずすべて回収することも厭わんと! この町から鳥が失われればどうなると思うんだ、え?!」 モルは小さくなるしかない。 まさか、こんなことになるなんて。 あの鳥をいたぶっていただけなのに、事はエアヴァクセンの信用と、その日常生活にまで関わってきたのだ!「貴様を吊し上げてフォーゲルに引き渡すか? そうすればフォーゲルも怒りを引っ込めるかもしれん」「ちょ、町長~」 半泣きで一歩前に出るモルを、ミアストはぎろりと睨んで口から息を出した。「ええい汚らしい、こんな鼻水まみれの顔で私に寄るな!」「わたしは……善かれと思って……スヴァーラを自在に操る鍵と……」「エアヴァクセンの鳥は全てエアヴァクセンの町長の元に安全を保障する、それがフォーゲルとの約束だと、知っているんだろうな?! 分かっているはずだな?!」「え、エアヴァクセンから出ないと大丈夫だと……」「だからこそ大事にしろと、鳥を質草に使うなと私は言った。しかし貴様は! 私の顔に泥を塗り! エアヴァクセンに泥を塗った! 伝令鳥や宣伝鳥、狩りの鳥、全て失われるかも知れんのだぞ!」 ひぃ、と悲鳴を漏らして、モルはミアストに土下座した。
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