All Chapters of Lv1・Maxからのまちづくり: Chapter 191 - Chapter 193

193 Chapters

第191話・乾季前

 リジェネさんは、ぐい、と顔を上げた。 決意に満ちた目で。「確かに、ポリーティアーは古い町、神殿からの依頼を受けて冒険者の支援をしていた町です。でも」 その目に悔しそうな光が宿る。「今は荒野に踏み入る冒険者も神殿の支援もありません。町の存在理由すら危うく、このままでは町どころか、町を形作る町民の命が危ない。いえ……町長でさえ町と町民を残して去ってしまった。荒野に向かって行ったのであれば、私たちは町長を誇りとし、帰りを待ち続けたでしょう……が、町の子供が見たのです……町長……最後の長が……残った馬に乗って、東に駆け去って行った所を……!」 うわ。日没荒野を守る責任者みたいな人が真っ先に逃げてたよ。「それを聞いて、それでも私は信じたかった。町を守るため、東の神殿に救いを求めようとしたのだと……。だけど、それだったら伝令鳥を飛ばせば済むこと。オルドナンツを神殿に飛ばせば、如何に見捨てられた町と言えど反応を返してくれるはず。なのに、伝令鳥は残り、代わりに町の印がなかったのです……! 町の存続を示す印が失われた、それはこの町が町と成り立たなくなったことを意味します……」 ……悔しそうな、失望したような、残念そうな、とてもとても複雑な顔をしたリジェネさん。「ですから、私も覚悟を決めました。もうこの町はダメだと。町長代理として残された私の仕事は町民だけでも生き延びさせて、せめてこの町に住んでいた者の血を後世に残すことだと。しかし、どの町もこんな辺境の印を失った町を手に入れようとはしないでしょう……ですから」「噂に聞いたグランディールを頼った、と」 リジェネさんは大きく頷く。「私はオルトに頼んであちこちの町に、我々を引き受けてくれないかと依頼の手紙を出しておりました。しかし、どの町も、私たちを招いてくれませんでした。ですが、その中の一通に、あったのです。グランディールと言う、ペテスタイにも似た空飛ぶ新しい町があると。新しいゆえに町民の少ないあそこならもしかしたら、と……」 新しい町が一番必要とするのは、町を構成する最小単位。つまり、町民。 町民を選り好みして受け入れが少ないと、伝説になり損ねた町のように町スキルを継承する人間が減り、町は消えていく。だからって大勢を入れようとして町民の出身地が偏ると、内部崩壊が始まり兼ねないという、一人一人は小さいけど五十
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第192話・感謝

「クレー町長様?」「様はいりません」 町長に様までつけられると、町長の仮面をつけていてもこそばゆい……ってか喜ぶのはミアストくらいじゃなかろうか。 ありがたがられているのは間違いないんだろうけど。「失礼しました……他の町、とは、もしや」「神殿に連絡を入れたところ、最早神殿は日没荒野は危険地帯とし、踏み込むかどうかは当人の判断に任せるとのことでした。ペテスタイが向かってから早三百年、誰も何も戻ってこないということは、危険地帯でしかない。そして死出の巡礼の旅に出る者もここ百年現れていない」 死出の巡礼の旅とは、日没荒野に大神殿を求めて踏み入ること、だと、アパルに教わった。 精霊神の加護を祈った者も大神殿を見つけてそこにあるという秘宝を手に入れようとした冒険者も人が暮らせる町として完全装備で乗り込んだペテスタイの町も、誰一人として帰って来てないから、だって。「よって、神殿は日没荒野に向かう人を奨励することは出来ず、本人の意向によってのみ決めるものだと判断、祈りの町を援助し続けることは出来ないと」「…………!」 捨てると決めた町でも、無用と言われれば辛いだろう。リジェネさんは俯く。 ちなみに祈りの町とは聖地の近くにあって、聖地を訪れる旅人の準備などを整える町のこと。ポリーティアーもそう。だから神殿の援助を受けていたけど、もう日没荒野は聖地ではないということだ。「よって、グランディールに神殿からの依頼がありました。日没荒野の祈りの町から、住民にその旨伝えるようにと。援助がなくても住むというのであれば神殿はこれ以上口出しはしない……だが、出たいというのであれば、スキルに合わせて町を紹介する」 リジェネさんに、ぼくがここに来る前にエキャルを飛ばしてもらって来た手紙を渡す。 精霊神の神殿を表す二重クロスの紋章を使えるのは、Sランク以上の町にある神殿だけ。ぼくらはフォーゲルの神殿にこの一件を知らせて、町民の救出を頼まれた。もちろん町は出るけど知らない町に行くのは嫌だと言われたらグランディールで引き受けても構わないとのお墨付きで。「よって、今から宣伝鳥を飛ばして、この付近一帯の町にこの件を伝えます。もちろんポリーティアーもです。神殿の紹介する町に行くというのであれば、神殿の町までお送りしますし、グランディールに移住するというのであればいつ
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第193話・辿り着く人々

 グランディールの初の成人式はもうちょっと待ってもらうことにして、とりあえずポリーティアー含む日没荒野の祈りの町全引っ越しに集中することにする。 今度はサージュがポリーティアーに降りて、町民にグランディールの法とかを教える予定。何も聞かずに絶対グランディールに入る! と言っている人もいるけど、サージュの町講座を聞き終わって質問を全部終えてじゃないとダメだと言ってある。 まだグランディールに人を入れていないのは、ポリーティアーが空っぽになるのを防ぐため。ポリーティアーに誰も居ないでグランディールが上空に浮いていたら、見捨てられたと思うだろう。幸せはもう手に届かないという意味に取られる可能性だってある。 とりあえず今は太陽が遮られて水もあるし食糧も持っていくので、今までよりずっと過ごしやすいはず。 あと一つ分かったこと。グランディール町民にはぼくを含め暑さに弱い人間が多い。どっちかって言うと北系の人間が多かったからね。窯の前にいるのは平気でもポリーティアーは無理っていう人が結構いた。     ◇     ◇     ◇ 数日後に、宣伝鳥は全部帰ってきた。 各町からの返事は、大体まず疑問。出してくれるのはありがたいけど本当? みたいな。あと神殿が見捨てたってマジか、的な話が。祈りの町ってプライドがあるからね。 それでもこの聖地という名の不毛地帯、生きていくには辛い場所。神殿が何もやらなくなったらここにいる理由もなくなる。 と言うわけで、宣伝鳥が戻ってから更に数日後、あちこちからぞろぞろと白い布を被った隊列がポリーティアーを目指してやってきた。 その時ぼくはグランディールにいたんだけど、グランディールで一番背の高い建物、時計塔(いつの間にか出来てた。誰が望んだかは分からないけど、趣味の良さから多分シエルが絡んでいるものと思われる)から荒野を見ていたポルティアが塔から会議堂まで突っ走ってきて、旅の一団発見の報を伝えてくれた。 ぼくとサージュも時計塔まで走って、見下ろすと、荒野のあちこちから繋がる崩れかけの街道に沿って、力なく歩いてくる3・4の集団。でもその小さな影がこちらを認めたのか、歩きが早くなるのも分かる。「サージュ、食糧班に連絡、出迎えの準備」「おう」「ポルティアは生活班の所に行って、人数とか調べる人を下ろして」「分かった」 うちの町の
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