パン粥を食べてから泥のように寝込み、気が付いたら朝だった。 何だか怖い夢を見たような気がするけど……頭の中が霞がかって思い出せない。「起きたか」「……んー……」 まだ……何かはっきりしてない。ここは……どこだっけか。「おい、しっかりしろ、町長」 揺さぶられるうちに、バラバラになったパズルのような頭の中が整理され、パーツが正しい位置に置かれたような感覚がして、やっと我に返れた。「ええと……ぼくはクレー・マークンで……グランディールの町長で……ここはスピティの宿で……」「おいおい、意識が飛んでたのか」「まあ、政治初心者が仮面有りとはいえ昨日の難局にぶつかったら、意識も飛ぶだろ」 呆れたサージュに応えてアパル。うん、間違いなく意識が飛んでた。今日もこれが続くかと思うとそのままベッドにインして眠り続けたいという欲望が頭をもたげてくる。「時間はあとどれくらいある~?」「一刻半はあるかな」「寝直す~……」「ダメ」 そのままベッドにインしていこうとしたら、寝巻の首を掴まれて、無理やり起こされる。「今寝たら絶対夜まで起きないだろう」「ほら、水を用意してもらったから、顔を洗いなさい」 う~……このまま寝てしまおうという秘かな企みが阻止されてしまった。 桶の水で顔を洗って手拭いで拭き、そのまま桶を覗き込む。 相変わらず赤金色の髪と翡翠の目。原型の栗色の髪と青い目はそこからは分からない。「この色、戻るよね?」「ていうかグランディールで何回も変えたり戻したりしてたじゃないか」 今は黒髪黒目のサージュが呆れ声を出す。「いや、やっぱりこの色、ぼくに合わない」「合ってると思うが?」「いや、合ってるのはグランディール町長クレー・マークンの方。普通の人間としてのクレー・マークンにはやっぱりあの髪と眼がいい」「じゃああと二日はそのままだな」「……今日入れて二日かあ……もつかなぼく……」 ◇ ◇ ◇ 今日は展示会が始まる前に、目の前の大広場でやっている即売会を見に行くことにした。……現実逃避というなかれ。せめて気分を盛り上げないとどうにもならないんだ。 即売会の方はある程度人が集まったらフライングスタートしてもいいって言ってあったんだけど、結構朝早くから見に来る人がいて、早々に始めてしまったらしい。「
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