「脱いで、横になってください」低く冷えた男の声が響いた。一ノ瀬詩葉(いちのせ うたは)の胸がどくんと跳ねる。いつからこんな、言葉にできないほど恥ずかしい病気にかかってしまったのだろう。発作が起きるたび、どうしようもなく欲しくなってしまう。いつ襲ってくるかも分からず、仕事にも日常生活にも深刻な支障が出ていた。耐えきれなくなった詩葉は、勇気を振り絞ってこの私立病院の婦人科を予約した。ここは秘匿性が高いことで有名だった。その代わり、診察料は普通の病院の何倍もする。だが、予約したのは、確か四十代くらいの女性医師だったはずだ。なのに、なぜ診察室にいるのは、こんな若くて背の高い男性医師なのだろう。「ほ、本当に……脱がないとダメですか?」詩葉は極度に緊張しながら、おずおずと尋ねた。見知らぬ男の前でズボンを脱ぐなんて、相手が医者だと分かっていても、どうしようもなく気まずい。神代蒼空(かみしろ そら)は真面目な口調で言った。「脱がなければ、どうやって診察するんです?」「でも、わ、私は……」詩葉は顔を真っ赤にして、もじもじと視線を泳がせる。目の前の男はマスクをしているが、その鋭い眼差しには、どこか底知れないものがあった。突然、彼に押し倒され、そのまま抱かれてしまうような気がした。詩葉は慌てて頭を振った。――何を考えてるの、私!彼はただの医者だ。一日に何十人もの患者を診ている。これは彼にとって日常業務にすぎない。そう何度も自分に言い聞かせながら、詩葉は羞恥を堪え、ゆっくりとズボンを下ろして診察台に横になった。「どこが不調ですか?」蒼空は消毒器具を準備しながら尋ねる。詩葉は再び顔を赤くした。「わ、私……あの辺が少し……」どうしても続きが言えない彼女を見て、蒼空は淡々と聞き返した。「性行為をしすぎて、傷つけましたか?」彼女くらいの若い女性が婦人科を受診する場合、大抵はそういう理由だった。だが詩葉は真っ赤になりながら首を振る。「ち、違います……私、性経験がなくて……」蒼空の手が止まった。彼は振り返り、驚いたように彼女を見た。目の前の女性は、整った顔立ちをしていた。肌は透けるように白く、きめ細かかった。愛らしさの中に艶っぽさもあり、華やかなのにどこか無垢さも感じさせる、不思議な色気のあ
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