Alle Kapitel von 氷の令嬢の転職計画〜私を追放した祖国が破産寸前ですが、今は皇帝兄弟からの過剰な愛情表現の処理で手一杯です〜: Kapitel 41 – Kapitel 50

51 Kapitel

第40話(一部完)『帝国の利益(愛)は、右肩上がりでストップ高』

 世紀の結婚式(最大規模のプロモーション)から、数ヶ月が経過した。 現在、アウグスト帝国は建国以来かつてないほどの『空前の大・黄金時代(超黒字化)』を迎えていた。 皇帝レオンハルトの完璧な治世と他国を圧倒する外交力。 第二皇子ルカによる、規格外の魔法を用いた次世代インフラ網の完全開通。 そして、私、帝国財務卿にして二人の伴侶となったエルゼ・フォン・ブラウベルトの緻密な財務管理と再投資スキーム。 トップ三人が文字通り「一心同体」となったことで、帝国の意思決定スピードは極限まで上がり、あらゆる産業が爆発的な成長を遂げていたのである。「……素晴らしい。今四半期の帝国全体のGDPは前年同期比で四百パーセント増。新設された魔導鉄道の物流効率化により、地方の税収も想定の二点五倍を叩き出しています。まさに、全セクターにおいて文句なしのストップ高ですね」 かつて『オープンイノベーション空間』と名付けられた、豪華絢爛な天蓋付きベッドが鎮座する私専用の執務室。 私は、特注のふかふかなソファに深く腰掛けながら、手元の魔導計算機を軽快なリズムで弾いていた。 かつての祖国(倒産したブラック企業)で、蝋燭の灯りを頼りに、すり減るような思いで赤字の穴埋めをしていた日々が嘘のようだ。 あの無能な元婚約者たちは、今頃極寒の鉱山で、永遠に減らない借金(金貨一億六千万枚)を返すためにツルハシを振るっていることだろう。完全に『損切り』が完了した不良債権のことなど、今の私の輝かしい帳簿には一ミクロンの影響も及ぼさない。 私が上機嫌で最終的な決算書にサインのペンを走らせようとした、その時。「エルゼ。そろそろ『定時』だ。本日の業務はそこまでにしておきなさい」「そうだよ、エルゼ! 今日は僕が南の島から、転移魔法で一番甘い完熟マンゴーを採ってきたんだから! 一緒に食べよう!」 執務室の扉が開き、この世界で最も尊く、最も私を甘やかす二人の男たちが姿を現した。 レオンハルト様は、私の手から羽ペンと計算機をふわりと取り上げ、ルカ様は色鮮やかなフルーツが盛られた銀のトレイをテーブルに置く。「お二人とも、お疲れ様です。しかし、あと五分でこの稟議書の決裁が……」「駄目だ。これ以上の残業(オーバーワーク)は、君の美しい肌と心に悪影響を及ぼす。有能な経営者は、自らの休息(メンテナンス)も仕事のう
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第41話『強制有給(ハネムーン)の発動と、次期CEO育成計画の打診』

アウグスト帝国が空前の超黒字化を達成し、私と二人の最高権力者による「三人婚」という究極の終身雇用契約(ハッピーエンド)が結ばれてから、数ヶ月の月日が流れた。 現在、帝国の全セクターにおける経済指標は右肩上がりのストップ高を記録し続け、我が社(帝国)の未来は洋々たるものである。 しかし、いかに経営が順調であろうとも、油断は最大の敵だ。有能な経営者たるもの、常に次の一手を打ち続けなければならない。 「よし。来期の南方インフラ整備予算案、決裁完了。続いて、魔導具の新規特許出願リストの精査に移ります。セバス、三番目のバインダーを」 私こと、帝国財務卿にして皇后(および皇子妃)のエルゼ・フォン・アウグストは、特注の執務デスクに向かい、今日も今日とて猛烈な勢いで書類の山を切り崩していた。 純白のレースがあしらわれた上質な室内着を纏っているが、私の手の中にあるのは相変わらずの羽ペンと魔導計算機である。 「お嬢様……。素晴らしい処理速度でございます。しかし、時刻はすでに定時を二時間も過ぎております。そろそろお休みに……」 背後に控えるセバスが、胃の辺りを押さえながら控えめに進言してくる。 「何を言っているのですか、セバス。利益の最大化に定時など関係ありません。それに、今日はまだレオンハルト様もルカ様も公務から戻られていません。お二人が不在のこの静かな時間こそが、最大の集中(ゴールデンタイム)を発揮できるチャンスなのですから」 私が鼻息を荒くして計算機を弾きかけた、その時だった。 「ひどいな、エルゼ。夫がいない時の方が集中できるなんて言われたら、私が泣いてしまうよ」 「そうだよエルゼ! 僕たち、お前のために特急で公務終わらせて帰ってきたのに!」 ガチャリと重厚な扉が開き、私がいま世界で一番愛している二人の男が、連れ立って執務室に入ってきた。 漆黒の軍服を少し着崩し、大人の色気を漂わせるレオンハルト様と、真っ白な皇子服を身に纏い、太陽のような笑顔を向けてくるルカ様だ。 「あっ、お帰りなさいませ、お二人とも! いえ、違うのです、決して邪魔だという意味ではなく、愛する夫たちがいるとつい気が緩んで(甘えたくなって)しまうため、業務効率を考慮した結果の……」 私が慌てて弁解しようと立ち上がると、レオンハルト様が足早に近づき、私の言葉を
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第42話『リゾート地での過剰防衛(水着審査)』

 巨大な白亜の豪華魔導客船が、紺碧の海を滑るように進み、大陸随一のリゾート国家『ゼムリア商業連法国』の巨大港へと滑り込んだ。「……素晴らしい港湾インフラです。クレーンの稼働率、荷馬車の動線、そして観光客と物流の分離。我がアウグスト帝国も見習うべき効率的なオペレーションですね。しかし、関税の仕組みについては少々独占的な匂いが……」 私が客船の特等室のバルコニーから、眼下に広がる港の様子を観察しながら計算機を弾いていると、背後から二つの大きな影が忍び寄ってきた。「エルゼ。入国早々、視察(仕事)モードに入るのは禁止だと言ったはずだが?」「そうだよ、エルゼ! ほら、計算機没収! 今日から一ヶ月は、僕たちといっぱい遊んで、いっぱい愛し合う『次期CEO育成プロジェクト』の期間なんだから!」 レオンハルト様が私の手から計算機をふわりと奪い取り、ルカ様が私の背中に抱きついて頬をすりすりとしてくる。 二人はすでに、帝国の豪奢な礼装から、南国の気候に合わせた軽やかで上質なリゾートウェアに着替えていた。少し胸元が開いたシャツから覗く鍛え抜かれた鎖骨や、太陽の光を受けて輝く端正な顔立ちは、すれ違う乗客たちの視線を釘付けにしていたが、当の本人たちの目は私にしか向いていない。「お、お二人とも、距離が近いです! それに、視察ではなくただの『競合他社のリサーチ』でして……」「言い訳は却下だ。さあ、私たちが貸し切ったプライベートヴィラへ向かおう。君のために、世界で一番美しいビーチを用意したからね」 レオンハルト様にエスコートされ、私たちはゼムリア随一の超高級リゾートエリアへと足を踏み入れた。 ◇◇◇ 案内されたのは、エメラルドグリーンの海を独り占めできる、広大なプライベートビーチ付きの最高級ヴィラだった。「では、私は早速『海洋活動用ユニフォーム(水着)』に着替えてまいります。お二人は先にお寛ぎください」 私は寝室へと入り、帝都を出発する前にセバスに手配させておいた水着に着替えた。 南国の強い日差しと気温を考慮し、通気性と水中での機動性を最優先した結果、選ばれたのは純白のセパレートタイプ(いわゆるビキニ)だった。私の銀髪と青い瞳に合わせたという銀糸の刺繍が施され、腰には透け感のあるパレオが巻かれている。「よし、完璧なクールビズ(熱中症対策)です。露出面積が多いのは合理的
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第43話『ゼムリア商業連法国の闇(大商会連合の暗躍)』

 南国の眩しい朝陽が、プライベートヴィラの寝室に差し込んでくる。 私は分厚い天蓋付きのベッドの中で、全身を支配する心地よい疲労感と、熱を帯びたまどろみの中で目を覚ました。「……んっ……」「おはよう、私の可愛いエルゼ。昨夜はよく眠れたかな?」「おはよう、エルゼ。……ふふっ、可愛い顔。まだ眠そうだね」 目を開けると、私の左右には、すでに完璧に目を覚ましているレオンハルト様とルカ様の姿があった。 二人はそれぞれ私の両手を握り、至近距離でとろけるような甘い微笑みを向けている。「お、おはようございます……。その、昨夜は……」 昨夜の『次期CEO育成プロジェクト(という名目の過剰な夜の福利厚生)』の激しさを思い出し、私の顔は一瞬にして火を噴きそうなほど赤くなった。 二人とも「ハネムーンなのだから」と完全に理性のストッパーを外しており、私は朝方まで休む間もなく彼らの激重な愛を受け止め続けるという、物理的にも体力的にも過酷すぎる労働(愛の共同作業)を強いられたのだ。「あ、朝食の前に、本日のスケジュール確認(アジェンダ)を……」「仕事の話は禁止だと言っただろう? さあ、今日はゼムリアの誇る世界最大の市場『グランド・バザール』にショッピングへ行くぞ。君に似合うものをすべて買い占めてあげよう」「僕はエルゼにゼムリア特産のスイーツを全部食べさせてあげる! ほら、着替えを手伝うよ!」 私の抗議も虚しく、二人の最高権力者によって至れり尽くせりの身支度を整えられ、私たちはヴィラを後にしてゼムリアの中心街へと向かった。 ◇◇◇ ゼムリア商業連法国の首都の中心に位置する『グランド・バザール』は、世界中のありとあらゆる品物が集まる、まさに欲望と金貨のるつぼだった。 色とりどりのテントが立ち並び、香辛料のむせ返るような香りと、商人たちの威勢の良い呼び込みの声が響き渡っている。「……凄まじい活気ですね。一日の経済波及効果は、軽く金貨数百万枚に上るでしょう。しかし……」 私は計算機をレオンハルト様に没収されているため、脳内で猛烈な速度で暗算をしながら周囲の店舗を観察していた。「エルゼ、あそこの宝飾店の蒼水晶(サファイア)、君の瞳と同じ色だ。店ごと買い取ろうか」「兄上、あっちのシルクのドレスもエルゼに絶対似合う! よし、あの織物ギルドをまるごと買収して、エルゼ専用のブ
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第44話『敵対的買収(誘拐未遂)と、最凶の護衛たち』

 ゼムリア商業連法国の華やかな大通りから一歩外れた、薄暗い路地裏。 私たちを取り囲む十数人の黒装束の男たちは、手にした鈍く光る石——魔力を阻害する『封魔石』を掲げ、下劣な笑い声を上げていた。「へっ、いくらアウグスト帝国の皇子サマが天才魔導士だろうと、この『特級封魔石』の前ではただの無力なガキだ! 魔法が使えなきゃ、俺たち数人に勝てるわけが……」 リーダー格の男が勝ち誇ったように宣言した、その直後だった。「……ふふっ、あはははっ!」 私の周囲に絶対防御の結界を展開しているルカ様が、腹を抱えて笑い出した。 その黄金の瞳は、まるで路傍の石ころでも見るかのように冷え切り、しかし同時に残酷なまでの愉悦に満ちていた。「すごいな、ゼムリアの裏ギルドってそんなにポンコツなの? その程度の魔力吸収石で、僕の魔法を封じられるって本気で信じてるんだ。……あまりに無知すぎて、同情しちゃうよ」「なんだと……!?」 ルカ様がパチン、と軽く指を鳴らした。 ただそれだけの動作。 しかし次の瞬間、男たちが誇らしげに掲げていた十数個の特級封魔石が、ピキピキと嫌な音を立ててひび割れ、一斉に粉々に砕け散ったのだ。「なっ……!? ば、馬鹿な! この特級封魔石の魔力許容量を、一瞬でオーバーロードさせたってのか!?」「言ったろ? ポンコツだって」 男たちがパニックに陥る中、ルカ様の足元から黄金の暴風が巻き起こった。 それはただの風ではない。極限まで圧縮された魔力の刃(カマイタチ)だ。 暴風は意思を持っているかのように男たちの間をすり抜け、彼らの手首や足首、そして武器だけを正確に切り刻んでいく。「ぎゃあああっ!!」「ひぃっ! 腕が、剣が……!」 あっという間に、十数人の刺客たちは武器を失い、路地裏の壁や地面に無残に叩きつけられた。「くそっ、ならば直接殺るまでだ! 魔法使いじゃない皇帝の方なら……!」 リーダー格の男が、隠し持っていた短剣を抜き放ち、狂乱の形相でレオンハルト様へと飛びかかった。 しかし、レオンハルト様は腰の剣を抜くことすらしない。「……気安く近づくな。君たちのような羽虫の血で、私と妻のハネムーンを汚すわけにはいかないからな」 ドンッ!!! レオンハルト様の全身から放たれた、漆黒の『威圧の覇気』。 それは物理的な質量を伴うほどのすさまじい重圧となっ
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第45話『有給休暇の返上(独占禁止法による反撃開始)』

 路地裏での「害虫駆除」を数秒で終わらせた私たちは、大商会連合の裏帳簿(オリジナル)を回収し、貸し切りのプライベートヴィラへと帰還した。 ヴィラの豪奢なリビングに戻るなり、私は南国特有の軽やかなリゾートウェアから、急遽手持ちの衣服の中で最もフォーマルに近い、ダークブルーのドレスに着替えた。 南国の熱気とハネムーンの浮かれた空気は、完全に私の脳内からシャットアウトされている。現在の私の頭脳(プロセッサ)は、冷徹な『帝国財務卿』としての最高稼働状態へと移行していた。「さあ、ルカ様。先ほどの『超・遠隔魔導通信機』を起動してください。帝都の財務省本局と緊急のホットラインを繋ぎます。これより、私の強制有給休暇は一時返上し、ゼムリア大商会連合に対する『敵対的買収(M&A)』および『経済的制裁』の特別プロジェクトをキックオフします」「うん、分かった! エルゼが本気になった顔、すっごく綺麗でかっこいいよ!」 ルカ様が嬉しそうに黒い魔導板をテーブルに置き、魔力を注ぎ込む。 すると、空間に青白い光が投影され、等身大のホログラム映像が浮かび上がった。 そこに映し出されたのは、書類の山に埋もれながら、血走った目で羽ペンを走らせている我が腹心、セバスの姿だった。『……ハッ!? こ、これはルカ殿下の超遠隔通信……! お、お嬢様! それに陛下と殿下! ご無事でいらっしゃいましたか!? ハネムーンの初日だというのに、何かトラブルでも!?』 突然の通信に、セバスが慌てて立ち上がり、背後にいた若手官僚たちも一斉に敬礼の姿勢をとった。「ええ、セバス。少々厄介な『羽虫』が、我が社(帝国)の最高リソースである私を不当に独占(拉致)しようと企てまして。物理的な排除は夫たちが完了しましたが、彼らの背後にあるゼムリアの裏ギルド『大商会連合』を、このまま野放しにするわけにはいきません」 私は手に入れた分厚い裏帳簿をテーブルにドンッと置き、氷のような笑みを浮かべた。「市場の健全な競争を阻害し、不当な利益を貪るブラック企業(独占禁止法違反者)は、徹底的に駆逐する必要があります。これより、大商会連合を合法的に破綻させ、彼らの市場シェアをアウグスト帝国が完全買収します」『なっ……!? ハ、ハネムーン先で、他国の裏社会をまるごと買収(M&A)されるおつもりですか!? さ、流石はお嬢様……旅行先でも
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第46話『夜の福利厚生は激しさを増して(子作り合戦)』

 ゼムリア商業連法国の裏社会を支配する『大商会連合』を合法的に破滅へと追い込むため、本国の財務省本局へと「経済的兵糧攻め」の指示を飛ばした私は、そのまま流れるようにレオンハルト様の手によってベッドへと運ばれてしまった。 ヴィラの寝室に鎮座する、南国特有の最高級シルクを用いた特大の天蓋付きベッド。 昼間のリゾート仕様の眩しい光はどこへやら、間接照明の淡い琥珀色の灯りだけが、部屋の中にひどく淫らで濃密な影を落としている。「レ、レオン様……ルカ様。先ほども申し上げた通り、私はまだ本国からの『第一報』の進捗状況を、データとして確認する必要が……」 私はベッドのふかふかなシーツの上に押し倒された状態で、必死に視線を泳がせながら論理的な抗議(言い訳)を試みた。 しかし、私の右側に滑り込んできたレオンハルト様の大きな手が、私の細い手首をベッドに優しく縫い付けるように固定する。彼の漆黒の正礼装の上着はすでに床へ脱ぎ捨てられており、薄いシャツ越しに見える鍛え抜かれた胸筋の熱が、私の肌に直接伝わってきて頭の芯がカッと熱くなった。「エルゼ。君との『契約』において、定時後の業務の延長は認めない。今の君の唯一のタスクは、夫である私たちからの投資(愛)を余すことなく受け取ることだけだ」 レオンハルト様が私の耳たぶを薄い唇で甘く噛み、そのまま首筋へと熱い口づけを這わせていく。 大人の男の低く掠れた声が鼓膜を震わせるたびに、私の背筋にゾクゾクとした甘い電流が走り、指先から力が抜けていくのが分かった。「んっ……ぁ、レオン、様……っ」「ほら、兄上ばっかりずるい。エルゼ、僕のこともちゃんと見てよ」 今度は私の左側から、ルカ様が這い上がってきた。 白と銀の皇子服を乱れさせた彼は、私の左手を自らの両手で包み込み、その熱い掌を自身の引き締まった胸板へと押し当ててくる。彼の黄金の瞳は、昼間の無邪気な少年のものではなく、完全に獲物を捕らえた肉食獣の鋭さと、ドロドロとした独占欲に満ちていた。「昼間、あの裏ギルドの男たちに『無給で監禁する』なんて言われてるのを聞いた時、僕、本当に頭の中が真っ白になって、あの街ごと全員塵にしようと思ったんだ。……それくらい、お前を誰にも渡したくない。お前の体も、心も、声も、全部僕たちのものなんだから」「ルカ、様……ひゃうっ!?」 ルカ様が私のパレオの結び
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第47話『悪党の資金源を完全に絶ちます(経済的兵糧攻め)』

 窓の外から聞こえてくるのは、夜の帳が下りた南国の穏やかな波の音。しかし、特注の薄型魔導板から投影された青白いホログラムの向こう側——アウグスト帝国の財務省本局では、朝日を浴びた若手官僚たちが、限界を超えた「社畜ハイ」の熱気に包まれていた。『お嬢様! ロンドール国より、先ほど緊急の機密電信が入りました! 陛下からの「親書(物理的脅迫)」が文字通り国家中枢を直撃した模様です!』 寝不足で目が完全に据わったセバスが、鼻息を荒くして報告書の束を掲げる。『ゼムリアの裏ギルド「大商会連合」がロンドール王立第一銀行に隠匿していた全口座、計七十二口座の資産が、たった今「国際法上の緊急凍結措置」により完全凍結されました! 奴らの手元に残った自由なキャッシュ(流動資産)は、今この瞬間から完全にゼロでございます!』「素晴らしい仕事ぶりです、セバス。これで彼らの心臓(キャッシュフロー)は止まりました。人間も組織も、血液が巡らなければものの数分で壊死するしかありません」 私はベッドの上に座り、乱れた髪をかき上げながら、冷徹な財務卿としての微笑みをホログラムへと向けた。 ……ちなみに、現在の私の服装は、昨夜の「過剰生産プロジェクト(朝までの激しい溺愛)」のせいで、パレオはおろか水着のブラトップすらどこかへ消え去り、レオンハルト様の漆黒の上着を一枚だけ、だらしなく羽織っただけの極めて破廉恥(クールビズ)な状態である。 太ももや首筋には、二人の夫からこれでもかと刻み込まれた赤い愛の印(キスマーク)が散りばめられており、動くたびに腰の奥がジンと熱を持つ。しかし、そんな羞恥心など、ビジネスモードに入った私の脳内からは一シリングのコスト(無駄)として即座に削除されていた。「ルカ様。北方の無人島に建設していただいた『超・巨大関税フリーポート(直轄新港)』の進捗はいかがでしょうか」「うん、完璧だよエルゼ」 私の左隣から、寝起きの少し掠れた、しかし酷く色っぽい声が聞こえた。 シャツのボタンを半分以上外したルカ様が、私の細い腰を後ろから腕でしっかりと抱き込み、その引き締まった顎を私の肩に乗せてくる。「僕の最高出力の土木魔法と空間固定魔法で、港湾の造成は二時間前に完了したよ。アウグスト帝国の全最新鋭魔導商船が同時に五十隻は接岸できる、世界最高水準のメガポートだ。今頃、大陸中の主要商会に
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第48話『最終監査(ギルド長の破産宣告)』

 ゼムリア商業連法国の裏社会の象徴であり、富の権化とも謳われた『大商会連合』の総本部。その最上階にある豪華絢爛なギルド長室は、今やまるで沈没しかけた泥舟の船底のような、絶望とパニックの悲鳴で満ち溢れていた。「報告しろ! なぜロンドールの銀行口座が凍結されている!? 資金が動かせんなどという冗談が、この大商会連合に通じると思っているのか!!」 巨漢のギルド長が、高級なマホガニーのデスクを叩き壊さんばかりの勢いで咆哮する。その額からは、油ぎった冷や汗が滝のように流れ落ちていた。「わ、分かりません、ギルド長! ロンドール国からの電信によれば、アウグスト帝国からの『国際緊急要請』が発動したとのことで、我が連合の全資産、計七十二口座が完全にロックされています! 現在、手元の金庫にあるわずかな現金のほかは、一シリングすら引き出すことができません!」「バカな……! なぜ帝国がそんな真似を……! 待て、ならばグランド・バザールの店舗からの本日の上納金はどうした!? 港の停泊料をかき集めれば、数百万枚の金貨が——」「それが……その港が、完全に干上がっております!!」 別の配下が、紙切れを震える手で差し出しながら悲鳴を上げた。「本日未明、ゼムリアの北方に位置する無人島に、アウグスト帝国の第二皇子ルカが『一晩で世界最大の超・巨大関税フリーポート』を建設したという大々的なプレスリリースが大陸中に同時配信されました! 関税はゼロ、帝国の魔導騎士団による完璧な治安維持つきです! 大陸中の商船がすべてそちらの新港へと進路を変更し、我が連合の管理するゼムリア港には、本日一隻の船も入港しておりません!」「な、何だと……!? 一晩で港だと!? 狂っている、そんな御伽噺のような魔法があるわけが——」「ギルド長、大変です!!」 さらに息を切らせた幹部が、部屋の扉を文字通り蹴破るようにして飛び込んできた。「下部組織の中小商会たちが、一斉に我が連合への謀反(裏切り)を宣言しました! アウグスト帝国の財務省から『負債の全額肩代わり、および帝国流通網への特別アクセス権』という圧倒的な救済買収案(TOB)を提示され、現在九割以上の構成員が帝国への臣従契約書にサインをしております! 我々大商会連合は、完全に孤立しました……!!」「がはっ……!?」 資金源の凍結、流通網の完全破壊、そして身内
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第49話『悪党の末路と、体に生じた「未知のエラー」』

 ゼムリア商業連法国の事実上の完全買収(M&A)および裏組織『大商会連合』の解体、ならびに全資産の凍結という、帝国財務省の歴史に残る超大型出張案件の第一フェーズは、実質的にわずか二十四時間足らずで完全なクローズを迎えた。 大商会連合の本部から回収された金塊、美術品、ならびに不正な裏帳簿に記載されていた他国への隠匿資産は、エルゼの迅速な指示(オペレーション)によって、すべてアウグスト帝国の臨時の特別徴税口座へと「合法的」に振り替えられた。その総額は、ゼムリアの国家予算の数年分に匹敵する、金貨一億枚という天文学的なストップ高である。「……ふぅ。これで現地の資産査定(デューデリジェンス)および不良債権の処理(悪党の強制連行)は、すべて滞りなく完了いたしましたね。本国の財務省本局へ、最終決算報告のデータを送信します」 帰路につくために乗船した、帝国の最新鋭魔導客船『アウグスト・グロリアス号』の最上階に位置する最高級スイートルーム。 エルゼは、デスクの上に広げられた膨大な書類と、ルカ様が開発した薄型魔導板のホログラム映像を交互に睨みつけながら、いつものように目にも留まらぬ速さで羽ペンを走らせていた。「おいおい、エルゼ。せっかく悪党どもを完膚なきまでに叩き潰して、ハネムーンの後半戦が始まったっていうのに、船に乗ってまで帳簿を叩くなんて、あまりに熱心な仕事人間(社畜)じゃないか?」 デスクの隣にスッと影を落としたのは、上質な白と銀のリゾートシャツを緩く纏った、ルカ様であった。 彼はエルゼの肩を後ろから愛おしげに抱きしめると、その細い首筋にスリスリと自身の額を擦り寄せてくる。黄金の瞳には、昨夜の「朝まで続いた濃厚な福利厚生」の余韻を含んだ、甘くドロドロとした独占欲がこれでもかと湛えられていた。「ルカ様、何を仰っているのですか。国を一つ丸ごと買収したのです、その後の流通網の再配置や、旧ゼムリアの商人たちへの暫定税率の適用など、山のようにタスク(宿題)が残っています。これを処理するまでは、私の脳内サーバーは一秒たりとも休止(シャットダウン)できません」「ふふっ……相変わらず、私の可愛い財務卿は、世界を経済的に支配してもなお計算機を離そうとしないな」 カチャン、と心地よい音を立ててデスクに上質なハーブティーのカップを置いたのは、レオンハルト様であった。 彼は黒いシ
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