「これはこれは、騎士副団長殿。……それと、リジェット」 「ども」 リジェットはあまりの気まずさに、突き出していた拳をそっと下ろし、煌びやかな夜会に視線を戻した。 オルスはリジェットからヴィクトルへ視線を滑らせ、大真面目な顔で言った。「……あの輪の中に入りたいですか?」 「……!」 図星を刺され、ヴィクトルがピクリと眉を動かす。オルスは淡々と言葉を続けた。「しかし、あなた方ではあの中には入れませんよ」(確かに俺は魔術師から見ればよそ者だが、そんな悲しいことを面と向かって言わないでくれ) とヴィクトルが内心で凹みかけた瞬間、オルスから衝撃の事実が語られた。「アルバ魔術師長の奥様が、お話しになれないことはご存じですか?」 「いいえ……」 「奥様は、脳に直接話しかけるテレパシーの魔術を使っていらっしゃるのです。ただ、その会話に参加するには、ある一定の『魔力規定値』に達していなければ、大変なことになります。副団長殿は、騎士としては規格外の魔力をお持ちですが、魔術師の規定値には達しておりません。したがって、あの中に入って談笑することは不可能です」 なるほど――俺がよそ者だから、追い出されたわけではなく、魔術量の問題だったのか、とヴィクトルは少し救われたような気持ちになった。オルスはさらに周囲を見渡す。「例えば、あそこの右奥にいらっしゃいます魔術師貴族のユージリア男爵。彼の魔術レベルはそこそこ高いですが、奥様に直接脳内へ話しかけられては、大変なことになります。そして、左奥のアイリス子爵令嬢。彼女も高いですが、やはり大変なことに」 オルスの視線が、会場の中央で華やかに女性貴族たちに囲まれている銀髪の男へと向いた。「そして中央に立つエドガー伯爵。彼もまた非常に高い魔力を持っていますが……ギリギリ規定値を超えそうで超えていない。したがって、彼であっても大変なことになります」 「……オルス攻術長。結果的に、団長と魔術師長とミラ以外、全員が大変なことになるのでは?」 ヴィクトルの冷静なツッコミに、オルスは深く頷いた。「
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