僕はトラックの周囲を何度も回り、荷台に積まれたガラクタの山を見上げる。 トラックの荷台に積まれたガラクタは、どれも本当に役に立たないジャンク品ばかりで、他の人が見たらゴミの山としか思えないだろう。しかし「改装」のスキルで様々な物資から異世界での冒険に役立つ「装置」を作製できる僕にとっては、これらはいずれも貴重な資源だった。 だが、そうした価値のある資材の山を前にしても、僕はドラゴンに対して、ドラゴンが守るダイヤ宝箱を僕が奪い取る一瞬の隙を作る方法は見出せなかった。「やっぱり今は無理かな……。なにせ相手はドラゴンだ。ダイヤ宝箱は欲しいけど、諦めた方がよさそうだね……」 僕は肩を落とすが、最初の《天使》の《審判》で異世界に転移させられ、命懸けのサバイバルを生き抜いて、現世に生還した父と母からこう言われていた。「異世界では決して無理をするな」 「異世界では自分の命を最優先にするんだ」 「異世界では状況を見誤るな」 「異世界では身の丈で生きるんだ」 「異世界では決して欲に負けるな」「父さんと母さんの言う通りだ。ダイヤ宝箱は諦めよう」 そう自分に言い聞かせ、トラックの運転席に戻ろうとした僕は、トラックの荷台に積まれた一際大きな物資───スポーツカーが目に留まる。「……そうか。このスポーツカーを使えば……」 僕は妙案を閃き、顔を輝かせた。 ※ ※ ※「せっかくのスポーツカーだし、もったいない気はするけど……」 僕はピカピカの高級車を眺める。 このスポーツカーは誰もが知る高級車で、街でこの車が公道を走っていたら、誰もが振り返る「憧れのステータス」だった。「でも、異世界では役に立たないし、宝の持ち腐れになるくらいなら……」 僕は意を決して、スポーツカーに黄銅宝箱から獲得したエネルギーの少ない魔力石をセットする。 そしてギアを操作し、ドライブモードにセットすると、鉄パイプと重りで作った装置でアクセルを全開にする。 そしてハンドルを操作して、車の車首をドラゴンに向けると───。「上手くいってくれよ……ッ!」 僕はブレーキにセットしていた重しを一気に取り払った。 するとスポーツカーは轟音とも言うべきエンジンの唸りと共に駆け出し、解き放たれた暴れ馬の如くドラゴンに向かって突き進んだ。 ドラゴンの
最後更新 : 2026-08-29 閱讀更多