自衛隊の駐屯地には、僕のような若者を乗せた車両が続々と到着していた。 その数は見る見る膨れ上がり、その結果、この駐屯地だけでも僕と同じく《天使》の《審判》に臨む若者が、千人近く集結することとなった。「私の見送りはここまでだ。傑。お前を信じている。必ずや《天使》の《審判》に打ち勝ち、生きて帰ってくるんだぞ」 母は僕の目の前で起立すると「敬礼」を行う。 自衛隊の高官(=陸将補)である母が答礼(=敬礼に対する返答)ではなく「敬礼」を行うことは稀だ。そして重みがある。僕は母の、母なりの最大限の愛情表現に感謝しつつ、答礼を返すと「任せてよ。それじゃあ、行ってくる」と、まるで普段通り学校に登校するかのような軽いノリで母に背を向けた。 しばらく歩いて自衛隊の建物に入る前、もう一度、母を振り返ると、母は先ほど、僕と別れた敬礼姿勢のまま、微動だにせず気をつけの姿勢を保ち続けていた。「あれで子煩悩で涙もろく、子離れができていない母親なんだから驚いちゃうよね」 僕は最後に母に小さく手を振って建物の中に入った。 ※ ※ ※ 建物の中には僕と同年代の若者がひしめき合っていた。そして全員、誘導する自衛官の指示に従い、緊張した面持ちで歩みを進めていた。 案内された先は自衛官が室内で訓練をする体育館のような場所だったが、そこでは早速、問題が発生していた。「嫌です! 《天使》の《審判》に臨むことは容認しますが、《戦争》の《派閥》の人とは同じ飛行機に乗りたくありません! 断固拒否です!」「こっちも願い下げだ。《服従》の《派閥》の奴らは信用ならない。途中で自爆して飛行機を墜落させるかもしれない。《天使》の《審判》に辿り着く前に、墜落死なんてまっぴらごめんだ」「ふざけないで! 私たち《服従》はそんなことはしません! あなたたち《戦争》こそ、巨人を攻撃するようなことをしなければ「《消失12》」なんて惨事は起こらなかったのに……!」 僕は「やれやれ……」と溜息をついて肩を落とした。「でも、仕方がないね。考えの違う《|派
Última actualización : 2026-09-13 Leer más