葉酸を飲み続けて2年。だが、それが避妊薬にすり替えられていたと知ったその日、神谷遥(かみや はるか)は雷に打たれたような衝撃を受けた。すぐさまタクシーを拾い、神谷怜(かみや れい)に真相を問いただそうとバーへ向かう。個室の前までたどり着いたその時、中から神谷汐里(かみや しおり)の責めているような声が聞こえてきた。「怜!どうして何の理由もなく私の彼氏を殴ったの?彼は今も病院にいるんだよ。今すぐ謝りに行って!」そんな汐里を見つめながら、怜は険しい表情のまま黙り込んでいる。気まずい空気に耐えきれなくなったのか、怜の友人がかわりに口を開いた。「その男の浮気現場を見たんだ。だから、怜はお前のためを思って……」それでも納得できない様子の汐里は、やはり怜に対ししつこく謝罪を強要し続け、最後には悔しさのあまり目を赤く潤ませた。汐里の泣き顔を見た瞬間、怜の心は揺らいだ。険しい表情のまま、汐里の携帯を取る。電話が繋がった途端、受話器の向こうからは、おどおどとした男の声が聞こえてきた。「怜さん、すみませんでした。二度とあんな真似はしませんから」相手の声に不快感を露わにしながらも、涙を浮かべる汐里を見て、怜は怒りを押し殺し、渋々謝罪の言葉を並べた。「手を出して悪かったな」「あ、え?い、いえ……骨折だけだから、すぐに退院できるって言われたので大丈夫です」骨折していると聞いた汐里は、慌て始める。怜の手から携帯を奪うように取り返すと、電話の相手にすぐ行くと言い、個室を飛び出していった。汐里の姿が見えなくなるや否や、怜の友人たちは一気に不満を爆発させた。「怜、なんで謝ったりなんかしたんだよ?浮気してたのは汐里の彼氏の方だぞ。それに、お前は汐里のために殴ったのにさ」「ったく、汐里のやつ。お前の家に養子で迎えられたとはいえ、本当に昔から何一つ変わってないな。いつだって自分のことしか考えていない。あの頃、お前たちは確かに両想いで、お前があいつのために家に逆らった時だって、何も言わずに黙ってた。それだけじゃない。お前が汐里を助けるために視力を失ったというのに、別れを切り出したかと思えば、あっさり別の男と海外へ行ってさ。このままあいつのわがままを聞いてたら、お前が駄目になっちまうぞ?」「もう汐里のことなんか、ほっとけよ。それよ
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