◆ 悠斗は、スマホの画面を伏せた。 真琴から郵便物が届いたのは、昨日のことだった。 封筒には、丁寧な字で自分の名前と住所が書かれていた。 中には、こちらに紛れていた郵便物が一通。 それだけ。 メモはなかった。 余計な言葉もなかった。 必要なものを、必要な距離で送ってくれた。 それが少し寂しくて、でも同時にありがたかった。 悠斗は届いた郵便物を処理し、封筒を捨てられずにテーブルの端に置いていた。 真琴の字。 長く一緒にいたから、見慣れているはずだった。 けれど今は、それがもう自分の日常の中にないものとして目に入る。 悠斗は封筒を裏返した。 差出人の住所は、新しいものだった。 真琴の新しい住所。 そこに、真琴の生活がある。 自分の知らない部屋。 自分の知らない窓。 自分の知らない食卓。 悠斗はその住所を見つめて、胸の奥に鈍い痛みを感じた。 でも、画面を開いて何かを送ることはしなかった。 ありがとうは、昨日送った。 それで終わっている。◇ 夕飯は、冷凍していたご飯と味噌汁、焼いた鶏肉だった。 鶏肉は少し固くなった。 味噌汁は、前より少しまともになった気がする。 豆腐とわかめ。 味噌の量も、ようやく分かってきた。 悠斗は一人で食卓に座った。 向かいの席には何も置かないようにしている。 以前はそこに、真琴の席の気配を勝手に残していた。 半券を置きかけたこともある。 でも今は、できるだけ置かない。 そこを真琴の不在の飾りにしないために。 食べながら、スマホが震えた。 高瀬からだった。『味噌汁作った?』 写真つきのメッセージ。 高
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